持続化補助金の経営方針・目標の書き方|狙う客の絞り方と数字の示し方
この記事の要点
持続化補助金の審査項目「経営方針・目標と今後のプランの適切性」で見られるのは、強みを踏まえているか、狙う客の要望をつかんでいるか、売上高と粗利を増やす目標かです。採択事例の方針の例と、目標とプランの書き方をまとめました。
この記事の目次
持続化補助金の審査項目「経営方針・目標と今後のプランの適切性」では、方針が自社の強み・弱みを踏まえているか、狙う市場と客の要望をつかんでいるか、売上高と売上総利益を増やす目標になっているかが見られます。
採択事例で評価が高い計画は、「誰に」を一言で言えるほど客を絞り、強みをその客に届ける方針を書いています。
持続化補助金の経営計画書で、経営方針・目標と今後のプランの欄に何を書けば審査で伝わるかを知りたい方に向けた記事です。
小規模事業者持続化補助金(通常枠)の公募要領の審査の観点と、採択事例の公開された内容を観点ごとに見た結果から、方針の決め方と書き方を整理します。
方針は強みと狙う客の2つから決める
経営方針は「自社の強み」と「狙う市場・客の要望」が重なる所に置き、そこで売上高と売上総利益を増やす形で書きます。公募要領は審査の観点として、方針が強み・弱みを踏まえているか、市場(商圏)や顧客のニーズを捉えているかの2つを挙げています1。
| 審査の観点 | 方針に入れること | 書けていない例 |
|---|---|---|
| 強み・弱みを踏まえた方針 | 分析で書いた強みをどう伸ばし、弱みをどう補うか | 強みと関係のない新商品を始める |
| 市場・顧客のニーズを捉えた方針 | 狙う客、その客が困っていること、商圏の広さ | 「幅広い客層に」「地域の皆様に」と書く |
| 売上高・売上総利益の増加 | 方針を進めた結果の数字の目標 | 売上の目標だけで、粗利に触れない |
方針の土台になる強みと弱みの書き方は経営状況分析の書き方で取り上げています。
狙う客と商圏を一言で絞った方針の例
方針を伝わる形にするいちばんの近道は、狙う客を一言で言える所まで絞ることです。客を絞ると、どの媒体で知らせるか、どの商品を作るかが自然に決まります。
- 飲食店:座敷を嫌う高齢のグループのランチ会に絞り、椅子席と昼の新メニューで迎える
- 宿泊業:ペットが理由で旅行をためらう人に絞り、ペットと泊まれる部屋をつくる
- 製造業:北米のコーヒー専門店の市場に絞り、現地の専門家の意見で商品を改良する
- 理容業:散髪に行けない在宅介護の人に絞り、出張の理容を始める
- 菓子店:結婚式の引き出物や内祝いに絞り、日持ちのする詰め合わせを作る
どの例も、「誰が」「何に困っていて」「自社のどの強みで応えるか」が1文に収まっています。商圏も、店から何km、どの地区、どの国と具体的に書くと、狙う客の数を見積もれます。
業種ごとの方針の実例は飲食店・宿泊業の持続化補助金など業種別の記事でも読めます。
目標は売上高と粗利の両方で書く
目標は、方針を進めた結果として、売上高と売上総利益が何年でどれだけ増えるかを数字で書きます。審査の観点はどちらも「売上高・売上総利益の増加を目指すもの」かを問うています。
粗利まで書く理由は、値引きや原価の高い商品で売上だけを増やす計画を見分けるためです。新しい商品の原価率や、外注に出す分の費用を見込み、粗利の増え方も年ごとに示します。
| 目標の項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 売上高 | ランチ会の客を月8組増やし、昼の売上を年に約200万円増やす |
| 売上総利益 | 新メニューの原価率を3割に抑え、粗利を年に約140万円増やす |
| 途中の目安 | 補助事業が終わる時点と、その1年後の数字を分けて示す |
伸び幅の目安を採択事例で見たい場合は持続化補助金で売上はどれだけ増えた?を参考にしてください。
今後のプランと補助事業の線をつなぐ
今後のプランは、方針を何年かけてどの順に進めるかを書く欄で、その最初の一歩が補助事業になるように組み立てます。プランと補助事業が別の話になっていると、審査の「補助事業計画の有効性」でも筋が通らなくなります。
- 1年目:補助事業で設備や広報を整え、狙う客に知らせる
- 2年目:反応の良かった商品やサービスを定番にし、客を増やす
- 3年目以降:同じ客層に向けた次の商品や、隣の地域への展開
補助事業で買ったものを、2年目以降も使い続けることを書いておくと、審査の「取得した資産を事業終了後も継続して使用するか」の観点にも答えられます。持続化補助金の審査項目の全体は持続化補助金の採択率・審査基準で確かめられます。
専門家から見た経営方針のポイント
経営方針で評価が分かれるのは、客の絞り方です。採択事例の公開された内容を観点ごとに見ると、「狙う客やその要望が書かれていない」事例は評価が低く、客を一言で絞った事例ほど評価が高くなっていました。
採択事例の課題では「集客・繁閑」が22.3%で、飲食・宿泊に限ると47.8%まで上がります。平日や昼の空きを埋めたい店は、空いている時間に来られる客を名指しする方針が書きやすくなります。
方針が書きやすい会社
常連客の中に、特によく来る層や、遠くから来る客がいる会社です。その層を広げる方針にすれば、強みと客の要望が最初からそろっています。
方針を絞り直したほうがよい会社
新しい客も今の客も全部増やしたい、と考えている会社です。狙う客が広すぎると、補助事業の広報や商品がぼやけます。補助事業の期間に狙う客を1つに決め、ほかの客は今後のプランの後半に回します。
課題ごとの採択事例は採択事例のデータで探せます。
間違えやすい点
経営方針の欄で間違えやすいのは、方針と分析のずれ、抽象的な目標、補助事業と関係の無いプランの3つです。
分析で書いていない強みを、方針で急に持ち出さないでください。方針で生かす強みは、分析の欄にも事実で書いておきます。
「地域一番店を目指す」「お客様に愛される店に」だけでは目標になりません。売上高と売上総利益の数字と、それを達成する時期を書きます。
今後のプランに補助金の対象外の取り組み(人の採用だけ、車の購入など)ばかり並べると、補助事業との関係が見えにくくなります。
使える経費と使えない経費は持続化補助金の対象経費一覧で確かめられます。
よくある質問
経営方針と補助事業計画は何が違いますか?
経営方針は数年先までの会社全体の向かう先で、補助事業計画はその中で補助金を使って行う取り組みです。方針の一部を補助事業で進める関係にします。
目標の数字が達成できなかったら返還ですか?
売上の目標を下回っただけで返還を求める決まりは、公募要領に書かれていません。ただし賃金引上げ特例や賃上げの加点を選んだ場合は、賃金の目標に別の扱いがあります。
新しい事業を始める方針でも申請できますか?
申請できます。持続化補助金は販路開拓の取り組みが対象で、既存の強みを使った新商品や新サービスもその中に入ります。大きな設備投資を伴う新事業は、別の補助金のほうが合うこともあります。
商圏はどのくらいの広さで書けばよいですか?
ほかの質問も見る持続化補助金のよくある質問出典(1件)
- 持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版・商工会議所地区 p.33『12. 採択審査 Ⅱ.計画審査』
参考資料
- 全国商工会議所「持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区)」
- 全国商工会連合会「持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会地区)」
- 公募要領の台帳(持続化補助金)
確認日:2026年10月17日
専門家が内容を確認しました(2026年10月17日)
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