地域資源活用製品等の開発・販売促進事業|東京都の開発助成と要件
この記事の要点
東京の地域資源を使った製品や、防災・子育てなど東京の課題を解決する製品を開発する都内の中小企業やNPOが使える東京都中小企業振興公社の助成です。対象の製品、開発の経費、プラン作成支援から交付決定までの流れを募集要項で整理しました。
この記事の目次
地域資源活用製品等の開発・販売促進事業は、東京の地域資源を使った製品や、防災・子育て・環境など東京の都市課題を解決する製品・サービスを開発・改良する都内の中小企業などに、東京都中小企業振興公社が開発の経費を最大1,500万円、助成対象経費の3分の2以内で助成する制度です。
申請の前に公社の専門家によるプラン作成支援を受け、書類の完成を確かめてもらう必要があり、申請の受付は2026年10月1日(木)~10月26日(月)17時です。
東京の伝統工芸や都内産の素材を使った商品、地域の困りごとを解決する製品を開発したい会社が、この助成を使えるか、どの経費に使えるか、申請までに何が要るかを知りたい方に向けた記事です。公社の公式ページと募集要項で確かめた範囲で書いています。
東京都の地域資源活用製品等の開発・販売促進事業とは?
東京発の小さなイノベーションを生み、東京の産品のブランド力を高めることを目的にした助成です。開発・改良フェーズで製品を作り、そのあと販路開拓フェーズで売り出す、2段階で使えます。
申請できるのは次の人です。株式会社などの会社のほか、一般社団法人・一般財団法人・NPO法人も対象になる点が、公社のほかの助成金と違います。
- 中小企業者(会社・個人事業主)
- 中小企業団体など
- 一般財団法人、一般社団法人、特定非営利活動法人
- 都内での創業を具体的に計画している個人
都内での事業の条件は、基準日(2026年10月1日)時点で都内に登記上の本店か支店があり、都内で1年以上事業を行っていることです。決算をまだ迎えていない法人や個人は、都内で創業していることが求められます。開発の場所は原則として都内の自社の事業所で、開発する製品は原則1種類です。
公社のほかの助成金と並べて比べたいときは、東京都中小企業振興公社の助成金一覧で制度ごとにまとめています(東京都中小企業振興公社「地域資源活用製品等の開発・販売促進事業(開発・改良フェーズ)募集要項」 p.4『申請要件』)。
「東京の地域資源」と都市課題の製品とは?
対象になる製品・サービスは、東京の地域資源を使ったものと、東京の都市課題・地域課題の解決に役立つものの2種類です。
東京の地域資源は、都の「TOKYOイチオシナビ」の地域資源の一覧に載っている資源を使って作った製品が基本です。一覧に無くても、東京の歴史・文化や独自の製造技術・デザインを生かし、東京ならではの特徴が消費者にある程度知られているもの、都内産の農林水産物や鉱工業品を原材料にしたもの、都内の複数の事業者の技術を集めたものなどは対象になり得ます。
農林水産物そのもの、料理のレシピ、アート作品、旅行商品、Webサイトは対象外です。
都市課題の製品は、次の12分野のどれかで、普及すると東京全体か一部の地域の課題の解決につながるものです。
- 防災・減災・災害予防
- まちづくり
- 安全・安心の確保
- スポーツ振興・障害者スポーツ
- 子育て・高齢者・障害者等の支援
- 医療・健康
- 環境・エネルギー
- 産業振興
- 交通・物流・サプライチェーン
- 地域コミュニティ
- 教育・働き方・女性活躍
- 文化・エンターテイメント
新商品の開発に使える国の制度の例は持続化補助金で新商品・新メニューを開発するで取り上げています。
開発・改良フェーズで使える経費と上限は?
開発・改良フェーズの対象経費は原材料・副資材費、機械装置・工具器具費、委託・外注費、専門家指導費、産業財産権出願・導入費(商標権を除く)、直接人件費です。量産のための設備投資や、デザイン・翻訳のように技術の開発を伴わない外注は対象になりません。
| 経費の区分 | 中身の例 | 主な注意 |
|---|---|---|
| 原材料・副資材費 | 試作品の部材、試験に使う資材 | 事業が終わった時点で使い残した分は対象外 |
| 機械装置・工具器具費 | 試作の金型、検査の機器 | 中古品と汎用のパソコンなどは対象外 |
| 委託・外注費 | 開発・試験の請負 | 主要な部分の再委託は対象外 |
| 専門家指導費 | 外部の専門家への謝金と交通費 | 開発の指導に当たるもの |
| 産業財産権出願・導入費 | 特許権・実用新案権・意匠権の出願 | 商標権の出願は開発・改良フェーズでは対象外 |
| 直接人件費 | 役員・正社員が設計・試作・テストに携わった時間分 | 上限は1,000万円(従事時間は1人1日8時間・年1,800時間まで)。この経費だけでは申請不可 |
出典:東京都中小企業振興公社「地域資源活用製品等の開発・販売促進事業(開発・改良フェーズ)募集要項」 p.9『助成対象経費』
機械装置と委託・外注は、税抜100万円以上は原則2社以上の見積が必要です。直接人件費は、時間給の単価に従事時間をかけて計算し、開発の取りまとめや資料集め、残業・休日の作業、個人事業主本人への報酬は含まれません。
人件費が助成の対象になる制度は限られていて、ほかの選択肢は人件費に使える補助金はある?で取り上げています。
プラン作成支援から交付決定までの流れは?
この助成は、申請の前に専門家の支援を受けることが条件です。開発を始められるのは交付決定のあとなので、受付から開発の開始までには数か月かかります。
- プラン作成支援を受ける。専門家が事業計画と申請書類の準備を手伝い、回数は1申請年度につき最大8回です。初回を除いてオンラインでも受けられます。
- 事務局に書類の完成を確かめてもらう。確認が済んだ人だけが申請に進めます。
- Jグランツで申請する。GビズIDプライムが要り、取り方はGビズIDプライムの取得方法で取り上げています。
- 一次審査(書類審査)を受ける。結果は2026年12月中旬(Jグランツで通知)です。
- 二次審査(面接)を受ける。時期は2027年1月下旬(秋葉原周辺で対面)です。
- 交付決定を受ける。時期は2027年2月下旬です。
- 助成対象期間(2027年3月1日~2028年11月30日)の中で開発し、途中で遂行状況の報告と中間検査を受ける。
- 実績を報告し、完了検査で額が確定してから助成金を受け取る。
審査では、申請の条件と決算書の財務を確かめたうえで、事業の目的に合っているか、新しさと優れている点、体制・資金・スケジュールから見た実現性、市場性、事業の波及性が見られます。
間違えやすい点
この助成では、締切の前の準備の段階で間に合わなくなる例が目立ちます。
プラン作成支援で書類の完成が確かめられていないと、申請の受付期間の中でも申請できません。専門家の人数と日程には限りがあり、公社も締切までに確認が終わらない場合があると書いています。
開発した製品を売り始められるのは、開発・改良フェーズの完了検査の翌日からです。助成対象期間の途中で販売を始める計画は組めません。
申請書に書く開発の達成目標(機能・性能を1〜3つ)は、提出したあとに変えられません。面接に顧問や経営コンサルタントは同席できず、助成は1年度に1社1件までです。同じテーマ・経費でほかの公的な助成にも採択された場合は、どちらかを辞退します(東京都中小企業振興公社「地域資源活用製品等の開発・販売促進事業(開発・改良フェーズ)募集要項」 p.23『事業の実施』)。
試作品の開発費に使えるほかの制度は開発費・試作品開発費に使える補助金で並べています。
販路開拓フェーズとの併用はどう使う?
開発・改良フェーズで製品ができたら、続けて販路開拓フェーズで売り出しの経費の助成を受けられます。両方を使う場合の上限は3,000万円(開発・改良フェーズ1,500万円+販路開拓フェーズ1,500万円)で、販路開拓フェーズは開発・改良フェーズの完了検査の翌日から1年9か月以内です。
販路開拓フェーズの経費は、次の6つです。
- マーケティング費(市場調査、ブランド戦略づくり、商標権の出願など)
- 店舗等整備費(店舗の賃借料、工事費、設備・備品)
- 展示会等出展費(出展料、資材費、輸送費、通訳費、海外の展示会の旅費、運営の委託費)
- ECサイトの出店の初期登録料
- イベントの開催費
- 広告宣伝費(動画、Webサイト、紙の媒体、広告の掲載、プレスリリースの配信)
商標権の出願は、開発・改良フェーズでは対象外ですが、販路開拓フェーズのマーケティング費では対象になります。展示会への出展だけを助成する公社の別の制度は東京都の市場開拓助成事業で取り上げています。
専門家から見たポイント
この助成は、開発の経費と販路開拓の経費を1つの流れで受けられる、公社の中でも期間の長い制度です。その分、審査では東京らしさや課題の解決が、製品の売れる理由とつながっているかが問われます。
向いている会社
伝統工芸の技術や都内産の素材を持ち、それを今の生活に合う新しい製品に作り直したい会社に向いています。都内の複数の事業者と組んで技術を持ち寄る開発も、地域資源として認められる道があります。
防災用品、子育て・介護の支援機器、地域の移動を助けるサービスなど、東京の課題に結びつく製品を持つ会社は、都市課題の側から申請できます。一般社団法人やNPO法人が使えるのも、この助成の特徴です。
迷う会社
すでにできあがった製品を売り出したいだけの会社は、開発の要素が弱く、この助成の対象になりにくくなります。開発期間の途中から売り始めたい会社や、量産の設備に投資したい会社も、計画を組み直すか別の制度を探します。
プラン作成支援の1回目の前に、使う地域資源か解決する課題、売る相手、開発で達成したい機能・性能を1枚にまとめておくと、限られた回数で書類の完成まで進めやすくなります。
国の補助金で新しい製品を開発する枠は新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠で取り上げています。
御社の製品が地域資源か都市課題のどちらで申請できるかは、専門家に無料で相談できます。
よくある質問
創業前でも申請できる?
都内での創業を具体的に計画している個人も対象です。プラン作成支援を受け、申請の条件を満たしているか事務局に確かめてもらいます。
プラン作成支援を受けずに申請できる?
できません。専門家のプラン作成支援を受け、事務局が申請書類の完成を確かめた人だけが申請できます。
Webサイトを作る費用は対象になる?
開発・改良フェーズでは対象外です。販路開拓フェーズの広告宣伝費として作る場合は対象になります。
製品を2種類開発してもいい?
開発する製品は原則1種類です。複数の製品を開発したい場合は、どれを申請するかを絞り込みます。
Jグランツ以外の方法で申請できる?
できません。持参・郵送・メールでの提出は受け付けられず、Jグランツの電子申請だけです。
ほかの質問はよくある質問にまとめています。
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