運送業が人材育成・賃上げに使える補助金は?採択された使い方と事例

この記事の要点

運送業の人材育成・賃上げに使える補助金は、採択事例ではものづくり・新事業進出補助金が中心です。採択事例3件(前身のものづくり補助金を含む)をもとに、多い使い道と実例、補助上限や間違えやすい点を整理しました。

この記事の目次
  1. ものづくり系補助金が3件すべて
  2. 3件すべてで設備導入と新事業を組み合わせる
  3. 運輸業の基準で中小企業か確かめる
  4. 補助上限は従業員数と賃上げ特例で変わる
  5. 間違えやすい点
  6. 採択率は公募回で変わる
  7. 専門家から見たポイント
  8. よくある質問
結論

採択事例のうち、運送業で人材育成・賃上げを挙げた例は、2026年10月時点で3件あり、3件すべてがものづくり・新事業進出補助金(前身のものづくり補助金の公募回を含む)でした。

件数が3件と少ないため、参考として読んでください。3件すべてに設備導入と新事業・研究開発が挙がっています。

人材育成や賃上げに使う設備や研修を補助金で考えたいが、どの制度で採択された例が多いのか分からない。運送業の採択事例を使い道別に整理し、御社に近い実例を知りたい方に向けた記事です。

ものづくり・新事業進出補助金は、新しい設備やシステムの導入、新しい事業への進出などを補助する国の制度です。公募要領の内容は公募要領の台帳で確かめられます。

ものづくり系補助金が3件すべて

採択事例のうち、運送業で人材育成・賃上げを挙げた例は3件で、2026年10月時点ではいずれもものづくり・新事業進出補助金に分類されています。ただし3件の公募回は平成25〜26年度で、前身のものづくり補助金の採択事例です。地域は奈良県・佐賀県・和歌山県に1件ずつです。

区分 名前 件数 割合
補助金 ものづくり・新事業進出補助金(前身のものづくり補助金を含む) 3件 100%
地域 奈良県 1件 33%
地域 佐賀県 1件 33%
地域 和歌山県 1件 33%

割合は運送業で人材育成・賃上げを挙げた3件に対するものです。

1尿素水の自社製造装置

3引っ越し用の作業設備

引っ越しで出る大量の不要品を粉砕機とハンドソーで処理し、作業を効率化

川端運輸株式会社

成果不要品処理の効率化により引っ越しに伴う作業の効率が高まり、安全管理と作業効率の向上、高齢者に安心と癒しを与えるコミュニケーションが実現されました。

設備導入ベンダー・プレス粉砕・リサイクル新事業・研究開発パッケージ・ブランド販路拡大・集客ホームページ人材育成・賃上げ

3件すべてで設備導入と新事業を組み合わせる

運送業で人材育成・賃上げを挙げた3件は、すべてに設備導入と新事業・研究開発が挙がっています。販路拡大・集客は奈良県の1件でした。

やりたいこと 件数 割合
設備導入 3件 100%
新事業・研究開発 3件 100%
人材育成・賃上げ 3件 100%
販路拡大・集客 1件 33%

割合は3件に対するもので、1つの事例が複数の使い道に当てはまるため合計は100%を超えます。件数が少ないため、近い業種や使い道の事例も合わせて見てください。

運輸業の基準で中小企業か確かめる

運送業は運輸業の基準で、資本金又は常勤従業員数が基準以下の中小企業者であれば対象になります。御社が当てはまるかは、次の表の3点で確かめます。

確かめること 公募要領の決まり
本社と事業を行う場所 日本国内に本社及び補助事業実施場所を有する(1)中小企業者~(6)対象リース会社(小規模企業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、農事組合法人を含む)
中小企業者の基準 資本金又は常勤従業員数が基準以下:製造業・建設業・運輸業 3億円/300人、卸売業 1億円/100人、サービス業 5,000万円/100人、小売業 5,000万円/50人 等
小規模企業・小規模事業者の基準 小規模企業者・小規模事業者:常勤従業員数 製造業その他20人以下、商業・サービス業5人以下(宿泊業・娯楽業は20人以下)

車両や作業設備の導入と、社員の育成・賃上げを一緒に計画するとき、御社が運輸業の中小企業者に当たるかは、AIで3分ほどで確かめられます。

AIで対象か確認する

補助上限は従業員数と賃上げ特例で変わる

補助上限は従業員数で区切られ、地域別最低賃金の引き上げに応じた賃上げ特例を使うと上限が上がります。新事業進出枠の上限は次のとおりです。

従業員数 補助上限 賃上げ特例適用時
1〜20人 2,500万円 3,000万円
21〜50人 4,000万円 5,000万円
51〜100人 5,500万円 7,000万円
101人以上 7,000万円 9,000万円

革新的新製品・サービス枠の上限は、従業員数1〜5人なら750万円、6〜20人なら1,000万円です。賃上げ特例を適用すると、それぞれ850万円と1,250万円になります。

新事業進出枠の補助率は中小企業者(小規模企業・小規模事業者、再生事業者含む)1/2(地域別最低賃金引上げ特例適用時 2/3)です。対象経費は、機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費などです。申請の締切は2026年10月30日(金)18:00(この回は締切済み)です。

出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.8『1-2-2. 新事業進出枠』台帳で見る

経費ごとの細かな条件は、ものづくり・新事業進出補助金の公募要領の台帳で確かめられます。

間違えやすい点

間違えやすいのは、機械の単価や借用の条件、同じ支出先の経費です。

  1. 単価の下限がある。補助対象となる機械装置等は単価10万円(税抜き)以上
  2. 借用は交付決定後の契約。借用(リース・レンタル)は交付決定後に契約したもので、補助事業実施期間中の経費のみ(期間超過分は按分)
  3. 中古品は相見積もりが必要。3者以上の古物商許可を得た中古品流通事業者から型式・年式記載の相見積もりを取得している場合は中古設備も対象
  4. 同じ支出先の経費。技術導入費、外注費、専門家経費の支出先に同一の事業者(みなし同一事業者を含む)を含めることはできない
  5. 事例は過去の公募回のもの。紹介した3件は平成25〜26年度の採択で、補助上限や経費は今の公募要領で確かめます。

賃上げ特例の仕組みはベースアップに使える補助金は?賃上げ特例で上がる補助と届かないときの返還で取り上げています。

採択率は公募回で変わる

旧ものづくり補助金の採択率は、最新回(23次)で35.1%です。回ごとの推移は、次のグラフのとおりです。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の採択率(公募回ごと)

ものづくり・全23回の平均46.8%
主要7制度の平均47.9%

最新の23次は35.1%(全23回の平均は46.8%)

棒の下の数字は公募回・応募数・採択数です。横にスクロールすると過去の回が見られます。

公募回応募採択採択率
23次 2026/08/071,27544835.1%
22次 2026/04/301,55258237.5%
21次 2026/01/231,87263834.1%
20次 2025/10/272,45382533.6%
19次 2025/07/285,3361,69831.8%
18次 2024/06/255,7772,07035.8%
全23回の平均4,3472,03446.8%

出典:ものづくり補助金 事務局「採択結果」・中小企業庁「採択結果」(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、各回の公表資料)。採択率は採択数÷応募数で当社が計算しています。公募回の名前から各回の発表ページを開けます。

ほかの補助金の採択率と採択事例を見る

※ グラフと採択率は、今のものづくり・新事業進出補助金になる前の、旧ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)の採択結果です。今の制度の採択結果は、公表されたら差し替えます。

採択されなかったときに理由を聞けるかは、補助金の不採択の理由は教えてもらえる?で取り上げています。

専門家から見たポイント

採択事例のうち人材育成・賃上げを挙げた例は3件で、いずれも設備導入を含んでいました。件数が少ないため、設備と新事業を組み合わせる計画が中心だと読むのが安全です。

参考として、旧ものづくり補助金の同じ回では、応募1,275件に対して448件が採択されました。使い道ごとの実例は人材育成・賃上げの採択事例で確かめられます。

設備と人材を一緒に計画したい会社

車両や機械を入れながら、社員の育成や賃上げを計画に組み込んだ例が3件とも見られます。設備の経費と人材の計画を並べて考えると、計画の筋道をつかみやすくなります。

作業の効率化で販路も広げたい会社

引っ越しの不要品処理を効率化し、作業の安全と高齢者へのコミュニケーションを実現した例があります。作業の流れを変えて、お客様との接点も増やしたい会社は、この型を参考にできます。

新事業の試みから始めたい会社

車体に印刷する観光PR広告の例は、輸送量の30%程度の増加を図るとしています。新しい事業の売上の見通しを数字で示す計画の作り方を、この例から学べます。

3件では使い道の幅が限られるため、近い使い道の事例も合わせて見ると判断しやすくなります。車両や設備の組み合わせが補助対象の経費区分に入るかは、専門家に無料で相談して確かめられます。

よくある質問

運送業でも申請できますか?

運送業は運輸業の基準で、資本金又は常勤従業員数が基準以下の中小企業者なら対象になります。基準の数字は公募要領の台帳で確かめられます。

紹介された事例は、今も同じように使えますか?

紹介した3件は平成25〜26年度の公募回の採択事例です。補助上限や対象経費は公募回で変わるため、今の決まりは公募要領の台帳で確かめてください。

人件費は補助金の対象になりますか?

人件費を補助金で賄えるかは、制度ごとに決まりが違います。人件費に使える補助金・助成金はある?対象になる制度と条件で取り上げています。

賃上げ特例を使うと、何が変わりますか?

地域別最低賃金の引き上げに応じた特例を使うと、補助上限が上がります。特例の条件はベースアップに使える補助金は?賃上げ特例で上がる補助と届かないときの返還で取り上げています。

ほかの質問も見るものづくり・新事業進出補助金のよくある質問
出典

公募の受付状況

新事業進出・ものづくり補助金

公募回
第1回
締切
この回の受付は終了しました

公募要領の台帳より(2026年10月30日確認)

よく採択されているテーマ

ものづくり補助金で採択された計画39,169件を、やりたいことで分けました。

ものづくり補助金では「設備導入」が24%で一番多く、次が「新事業・研究開発」(17%)です。

業種ごとのテーマを見る ›

「設備導入」で採択された計画名の例

  • ウォーターPPP対応の下水道管理・運営サービス向け設備の導入
  • 匠の技の技術承継と自動化による生産性向上を実現する
  • 最新ベンダー導入によるボイラー向け大型特殊煙道の製品化事業

まだ相談は早いと感じる方は、まず資料で全体をつかんでください。

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