交付決定額が採択額より減るのはなぜ?対象外にされやすい経費の例
この記事の要点
交付決定額が採択額より減るのは、交付申請の審査で経費ごとの中身と価格が確かめられるからです。外されやすい経費の例、金額が妥当でないと判断される見積、大きく減ったときの扱いと減額を防ぐ準備を公募要領で整理しました。
この記事の目次
交付決定額が採択額より減るのは、交付申請の審査で経費1件ずつの中身と価格が確かめられ、対象外の経費や根拠の弱い金額が外されるからです。採択は計画の考え方が認められたという意味で、計画に書いた金額すべてを約束するものではありません。
減りやすいのは、既存の事業と共用できる経費、パソコンや車両のような汎用品、相見積で一番安くない発注先の見積です。応募の前にこれらを外しておくと、交付決定での減額を小さくできます。
採択されたのに交付決定額が申請より少なかった、またはこれから交付申請をするので減額を避けたい方に向けた記事です。
新事業進出・ものづくり補助金と成長加速化補助金の公募要領・説明会資料から、交付申請の段階で金額が減る仕組みと、外されやすい経費に絞って整理します。
採択額と交付決定額が別の数字になる理由
採択の審査と交付申請の審査は、見ているものが違います。採択では計画の中身が評価され、交付申請では経費ごとに対象になるか、金額が妥当かが確かめられます。
新事業進出・ものづくり補助金の公募要領は冒頭の注意事項で「採択は事業計画に記載したすべての経費・金額の交付決定を保証するものではない。交付申請時の精査で、申請額から減額又は全額対象外となることがある」と書いています1。成長加速化補助金の説明会資料も、応募時の補助金交付申請額(採択額)がそのまま交付額になるわけではなく、採択額≧交付決定額≧交付額となると説明しています。交付申請の手続きそのものは補助金の交付申請とは?で取り上げています。
交付申請で外されやすい経費の例
外されやすいのは、補助事業のためだけに使うと言い切れない経費と、公募要領が対象外と決めている経費です。
| 外されやすい経費 | 公募要領の決まり |
|---|---|
| 今の事業でも使う設備 | 既存事業に活用する経費、既存事業と共用される経費等、専ら補助事業のために使用されると認められない経費 |
| パソコン・タブレットなど | 汎用性があり目的外使用になり得るもの(事務用PC、プリンタ、タブレット、スマートフォン等)の購入費・レンタル費 |
| 車両 | 自動車等車両、船舶、航空機等の購入費・修理費・車検費用・内装費用 |
| 家賃や光熱費 | 事務所等に係る家賃、保証金、敷金、仲介手数料、水道光熱費等 |
| 申請書類の作成費 | 事業計画書・申請書・報告書等の事務局提出書類の作成・提出に係る費用 |
出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.32『1-6-2. 補助対象外となる経費』台帳で見る
応募のときに計画に入れていても、交付申請でこれらに当たると判断されれば外されます。経費区分ごとの考え方は新事業進出・ものづくり補助金の対象経費でまとめています。
金額が妥当でないと判断される見積
経費そのものは対象でも、見積の金額に根拠が足りないと、その差額が外されます。公募要領は「計画に対して過度な経費、価格の妥当性の根拠が十分でない経費、補助金の目的や計画に不適当な経費は補助対象経費として認められない」としています2。
- 相見積のうち一番安くない発注先を選び、その理由を書いていない。
- 「一式」の見積で、内訳や単価がわからない。
- 市場の価格より明らかに高く、仕様の違いで説明できない。
海外から買う設備は、為替でも金額が動きます。よくある質問は外貨の扱いを「Q:外貨建ての交換レートは → A:申請時は見積取得日、実績報告時は実際の支払日(送金日)の公表仲値(TTM)を使う。三菱UFJ銀行の仲値が原則で取引金融機関の仲値も可。使った日付と金融機関名を必ず書く。円安になっても補助金額は交付決定額が上限」と答えており、円安で支払いが増えても交付決定額は増えません。相見積の取り方は補助金の相見積もりの決まりで取り上げています。
大きく減ると交付決定が出ないこともある
経費が大きく外されると、計画そのものが成り立たなくなることがあります。成長加速化補助金の説明会資料は、採択後、対象経費の大幅な減額等で応募時の投資計画・成果目標・事業の趣旨等に影響が出る場合は、交付決定を行わないことがあるとしています。
成長加速化補助金の公募要領も「申請時の補助金申請額(補助率を含む)がそのまま交付決定額になるものではない」と書いています。補助金が減っても投資を続けるか、規模を小さくするかは、資金繰りとあわせて交付申請の前に決めておきます。補助金と融資の組み合わせは設備投資は補助金と融資のどちらで?で取り上げています。
専門家から見た減額を防ぐポイント
減額の多くは、応募の前に経費を1件ずつ公募要領と照らし合わせれば避けられます。新事業進出・ものづくり補助金の採択事例97件のうち、機械装置・システム構築費を使った事例は80件あります。設備の仕様と相見積の比べ方を見積の段階で書きそろえておくことが、減額を防ぐいちばんの準備です。
交付決定額が採択額に近くなる会社
応募の前に相見積を取り、最安の発注先で計画を書いた会社です。設備は新しい事業のためだけに使うことを、置き場所や使う工程まで計画に書いています。
減額が大きくなりやすい会社
応募のときに概算で金額を書き、汎用品や今の事業と共用する設備も計画に入れた会社です。採択の後で見積を集めると、値上がりと対象外の両方で減額が重なります。採択された計画の経費の組み方は採択事例のデータで確かめられます。
間違えやすい点
交付決定額で間違えやすいのは、増やせるかどうか、減った分の扱い、確定額との関係の3つです。
交付決定額が減っても、ほかの経費を足して元の額に戻すことはできません。応募のときに計画に入れていない経費は、交付申請で新しく加えられません。
交付決定額は受け取れる額の上限で、事業を終えた後の確定検査でさらに減ることがあります。成長加速化補助金の公募要領も「確定額(精算額)は交付決定額に至らない場合もある」としています。
確定の段階で減る仕組みは補助金の確定通知書とはで取り上げています。
よくある質問
減額の理由は教えてもらえますか?
交付申請の審査では、事務局からどの経費のどこが問題かを問い合わせられることが一般的です。返事の内容しだいで、外されずに済む経費もあります。
減った額に納得できないときは辞退できますか?
できます。交付規程に決まった日数のうちに取下げの届出を出します。日数を過ぎると、決まった額で事業を進めることになります。
減額された経費を自己負担で買ってもよいですか?
ほかの質問も見る補助金のよくある質問出典(2件)
- 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.1『【重要:注意事項】』
- 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.54『4-1.(2)交付申請~交付決定』
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