補助金と融資はどちらが先?つなぎ融資の相談時期と申請の順番
この記事の要点
補助金は後払いなので、設備の代金を立て替えるお金を融資などで先に用意します。補助金と融資を使うときの全体の順番、つなぎ融資を早めに相談する理由、金融機関の確認書が見られる補助金を公募要領で整理しました。
この記事の目次
補助金と融資を両方使うなら、補助金の申請の準備と同時に、金融機関へ融資の相談を始めます。補助金は事業が終わってから払われる後払いなので、設備の代金をいったん全額払うお金を、融資などで先に用意しておく必要があるからです。
順番は「融資の相談 → 補助金の申請 → 採択・交付決定 → 融資の実行 → 発注・支払い → 実績報告 → 補助金の入金 → 返済」が基本です。
補助金を使って設備を入れるとき、融資とどちらを先に進めればよいか、立て替えのお金をどう用意するかを知りたい方に向けた記事です。
持続化補助金、成長加速化補助金、事業承継・M&A補助金の公募要領と、日本政策金融公庫の公開している情報から整理します。
補助金は後払いで立て替えが必要になる
補助金は、申請した時点や採択された時点では入金されません。持続化補助金の公募要領は「補助事業の実施には自己負担が必要で、補助金は後払い」と最初に注意しています1。
そのため、発注して支払う時点では、補助される分も含めて全額を御社が払います。補助金が入るのは、実績報告で金額が確定した後です。実績報告から入金までの流れは実績報告で差し戻される証憑の不備でも取り上げています。
補助金と融資を使うときの全体の順番
補助金と融資を組み合わせるときの順番を、手順ごとに表にします。
| 順番 | やること | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 1 | 金融機関に融資の相談をする | 補助金を使う予定と、設備の見積を見せる |
| 2 | 補助金を申請する | 制度によっては金融機関の確認書を出す |
| 3 | 採択・交付決定を受ける | 交付決定の前に発注しない |
| 4 | 融資を受ける | 支払いの日に間に合うように実行してもらう |
| 5 | 発注・支払いをする | 補助事業期間の中で支払いを終える |
| 6 | 実績報告を出し、補助金が入る | 入ったお金で融資の一部を返す計画も立てられる |
補助金の申請から入金までの日程は補助金の準備はいつから始める?で取り上げています。
つなぎ融資を早めに相談したほうがよい理由
補助金が入るまでの間だけ借りる融資を「つなぎ融資」といいます。事業承継・M&A補助金の公募要領は「補助金が入るまでの事業資金につなぎ融資を使う場合は、早めに金融機関等に相談する。」としています2。
融資の審査には時間がかかります。日本政策金融公庫は、創業の融資を申し込んでから決まるまでの期間の目安を平均3週間程度としています。交付決定が出てから相談を始めると、支払いの日に間に合わないことがあります。補助金と融資の違いそのものは起業・創業時に創業融資は借りるべき?でも取り上げています。
金融機関の確認書が審査で見られる補助金
大きな補助金では、金融機関がその計画を支えるかどうかが審査で見られます。成長加速化補助金の審査項目には「③ 実現可能性:経営体制、ローカルベンチマークによる財務状況のスコアリング、金融機関のコミットメント」があります3。
金融機関から資金を借りる予定がある場合は、金融機関による確認書を出します。融資の相談を補助金の申請より前に始めておくと、確認書を出せる準備も整います。金融機関と補助金の審査に同じ数字で説明できるよう、売上の見込みの作り方は補助金の事業計画で売上予測はどう作る?で確かめてください。
補助金を受け取る権利を担保にする方法
交付決定で得た補助金を受け取る権利は、原則として他の人に渡せません。ただし例外があり、持続化補助金の交付規程は第14条で「第14条(債権譲渡の禁止):交付決定で生じる権利は、事務局の承諾なしに第三者へ譲渡・承継できない。信用保証協会・特定目的会社・一定の金融機関への譲渡は例外。」としています4。
金融機関によっては、この例外を使って補助金を受け取る権利を担保にし、つなぎ融資を出すことがあります。使えるかどうかは金融機関ごとに違うため、相談の最初に聞いておきます。交付決定で何が決まるかは交付決定通知書とは?で取り上げています。
専門家から見た補助金と融資の順番のポイント
補助金と融資は、どちらか一方ではなく、組み合わせて資金の計画を立てるものです。新事業進出・ものづくり補助金の採択事例97件のうち80件が機械装置・システム構築費を使っており、まとまった立て替えが要る計画が中心です。
融資を先に相談したほうがよい会社
手元の資金だけでは設備の代金を払いきれない会社です。金融機関と話しておくと、補助金の計画の数字も現実に合わせて直せます。
手元資金で進められる会社
設備の代金を手元の資金で払えて、補助金が入るまでの資金繰りにも余裕がある会社です。その場合も、補助金が入る時期を資金繰り表に入れておきます。融資の条件は創業融資を借りられる人・借りられない人で取り上げています。
間違えやすい点
補助金と融資の組み合わせで間違えやすいのは、入金の時期と、支払いの名義です。
補助金が入る時期は、実績報告の後の検査が終わってからです。成長加速化補助金も「補助金の支払いは原則、補助事業完了後、実績報告書の提出を受け額の確定後の精算払い」としており、入金を当てにした返済の日は余裕をもって決めます。
融資で借りたお金で払う場合も、支払いは補助事業者の名義の口座から行います。別の会社や家族の口座から払うと、補助の対象にならないことがあります。
補助金が減らされる場面は交付決定額が採択額より減るのはなぜ?で取り上げています。
よくある質問
補助金が不採択になったら、借りた融資はどうなりますか?
融資は補助金と別の契約なので、そのまま返します。採択の前に融資を実行してもらうより、採択や交付決定を見てから実行してもらうほうが安全です。
補助金の入金で融資を一括で返す必要はありますか?
決まりはありません。つなぎ融資として借りた場合は入金で返す約束が多く、設備資金として長く借りた場合は、決めた返済の計画どおりに返します。
自己資金が少なくても補助金と融資を組み合わせられますか?
ほかの質問も見る補助金のよくある質問出典(4件)
- 持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版 p.1『注意事項』
- 事業承継・M&A補助金 16次 事業承継促進枠 公募要領 p.40『17.1. 補助金の交付』
- 中小企業成長加速化補助金(3次公募)公募要領 p.22『8.主な審査内容』
- 持続化補助金 通常枠 交付規程 p.4『第14条(債権譲渡の禁止)』(公募要領の台帳)
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