補助金の相見積もりはいくらから?制度ごとの金額基準と社数
この記事の要点
補助金の相見積もりは、1件の発注が一定額を超えると2社以上、新事業進出・ものづくり補助金では3社以上が必要です。制度ごとの金額基準の違い、認められない見積書、理由書で済む場面、見積を集める時期を公募要領で整理しました。
この記事の目次
補助金の相見積もりは、多くの制度で1件の発注が50万円前後を超えると必要になり、社数は2社以上、新事業進出・ものづくり補助金だけは3社以上です。金額を税込で見るか税抜で見るか、「超」か「以上」かも制度ごとに違います。
相見積もりを取ったら、いちばん安い見積の会社に発注するのが原則です。取れない場合や高い会社を選ぶ場合は、理由書と価格が妥当だと示す書類を交付申請のときに出します。
補助金で設備やホームページを発注する前に、何円から何社の見積が必要か、どの見積書なら通るかを知りたい方に向けた記事です。
持続化補助金、新事業進出・ものづくり補助金、省力化投資補助金、成長加速化補助金、事業承継・M&A補助金の5つについて、相見積もりの金額の基準、認められない見積書、理由書で済む場面、集める時期を公募要領の記載で整理します。
相見積もりが要る金額と社数の制度別の違い
相見積もりが要る金額は制度ごとに違い、同じ50万円でも税込と税抜、「超」と「以上」の差で、必要かどうかが分かれる発注があります。相見積もりとは、同じ内容の発注について、複数の会社から同じ条件で見積書を取り、値段を比べることです。
| 制度・枠 | 相見積もりが要る発注と社数 |
|---|---|
| 持続化補助金 通常枠 | 発注総額(1件あたり)50万円超(税込)は2者以上から見積。中古品は金額に関わらず2者以上 |
| 新事業進出・ものづくり補助金 | 契約(発注)先1件当たりの見積額合計が50万円(税抜き)以上の場合は3者以上の同一条件による見積もりが必要 |
| 省力化投資補助金 一般型 | 契約先・発注先1者あたりの見積額の合計が50万円(税抜)以上の物件等は、同一条件による相見積もりを取るのが原則 |
| 成長加速化補助金 | 原則として2者以上の同一条件による相見積(建物、機械、ソフトウェアは100万円(税抜き)以上、外注費・専門家経費は1件あたり50万円(税抜き)以上の場合) |
| 事業承継・M&A補助金 事業承継促進枠 | 1件(案件・発注)50万円以上(税抜)は原則2者以上の相見積。外注費・委託費は50万円未満でも原則相見積 |
出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.54『4-1. 補助事業者の義務・注意事項(2)価格の妥当性の確認』台帳で見る
金額の基準より下でも、相見積もりが要る経費があります。持続化補助金の中古品、新事業進出・ものづくり補助金の広告宣伝・販売促進費、事業承継・M&A補助金の外注費・委託費は、金額にかかわらず複数の見積が求められます。
「1件」は1回の発注先ごとの合計で数えます。同じ業者への発注を49万円ずつに分けても、合計が基準を超えれば相見積もりが要ると考えておきます。
経費の区分ごとの使い道は補助金の対象経費で比べています。
2社目・3社目の見積書で認められない例
相見積もりは社数がそろっていても、相手の会社や見積書の書き方によって「取っていない」と判断されることがあります。比べる相手は、その品物や工事を普段から売っている会社でなければなりません。
- 販売できない会社の見積:新事業進出・ものづくり補助金は、建設業許可が必要な規模の建物で許可のない業者から見積もりを取るなど、その経費を販売できない業者の見積もりが発覚した場合は、虚偽の内容を含む申請として不採択又は交付決定取消となるとしています。
- 関係の深い会社の見積:ペーパーカンパニーや販売実績のない業者の見積もりは不可。金融機関確認書を発行した金融機関や事業計画作成支援者(みなし同一事業者を含む)への発注・見積もりも不可とされています。計画書づくりを手伝ってもらった会社に設備も発注する形は避けます。
- 条件がそろっていない見積:成長加速化補助金は、見積取得では補助事業者自身が見積業者に同一の仕様内容を提示して公正に価格競争を行う。ペーパーカンパニーや販売実績が全くない業者等からの相見積は認められないとしています。型番・数量・納期・保証を同じにして各社に頼みます。
- 「一式」だけの見積:省力化投資補助金は、システム構築費は積算根拠が明確な見積書と仕様書を提出する。「システム開発一式」のような見積もりは認められず、価格に疑義があれば見積先に問い合わせることがあるとしています。
事業承継・M&A補助金は、見積書に書くべき項目まで決めていて、見積書は、発行者、見積金額(内訳)、業務受託期間、受託業務の範囲、見積の前提条件が書かれたものに限る。としています1。仲介会社やFAの見積は書き方の決まりが細かいので、専門家活用枠の見積は事業承継・M&A補助金の専門家活用枠で別に取り上げています。
相見積もりを取れないときの理由書の出し方
相見積もりを取れないときや、いちばん安い会社を選ばないときは、選んだ理由を書いた理由書と、価格が妥当だと示す書類を出せば認められる制度があります。ただし理由書は相見積もりの代わりにならない制度もあります。
省力化投資補助金の一般型は、発注内容の性質上2者以上から見積もりを取るのが難しい場合は随意の契約先にでき、その理由書が必要としています2。理由として通りやすいのは、特許や独占販売で国内に1社しか扱っていない、今ある設備と規格をそろえる必要がある、といった客観的に確かめられる事情です。
反対に、事業承継・M&A補助金は、理由書を出しても相見積もりの代わりにならないことがあり、決められた条件のときだけ相見積もりを省けます。条件の1つは「相見積が不要な条件①:選定先以外の2者以上に見積を頼んだが全て断られた。断られたことが分かる書面(メールの写し等)が必須で、明らかに業務外の業者に頼んだ場合は認めない。」です。理由書で済むと思い込まず、制度の公募要領で省ける条件を確かめます。
理由書に書くのは、①選んだ会社しか対応できない理由、②ほかの会社に頼んで断られた経緯、③市場価格と比べて高くないことの根拠の3つです。「付き合いが長い」「対応が早い」は理由として認められません。
見積や発注の時期を誤って対象外になる例は交付決定前の発注・契約で取り上げています。
見積書を集める時期と交付申請までの段取り
見積書は申請の準備の段階で集め始め、採択後の交付申請で正式に出します。多くの制度は申請の時点で見積書そのものの提出を求めませんが、計画書の金額は見積をもとに書くので、申請前に一度そろえておきます。
- 計画書を書く段階で、発注する品物や工事の仕様を決め、2〜3社に同じ仕様で見積を頼む。
- 計画書の経費は、いちばん安い見積の額で書く。高い見積で書くと、採択後に最低価格の会社を選んだときに額が下がるだけでなく、価格の妥当性を問われます。
- 採択後、交付申請の時点で見積の有効期限が切れていれば取り直し、相見積もりの書類と一緒に出す。
- 交付決定の通知が届いてから、最低価格の会社に発注する。
成長加速化補助金は、申請の準備段階で複数者から見積書を取得しておくと、採択後に円滑に交付申請し、交付決定後に事業を開始できると案内しています3。持続化補助金でも見積書の提出には期限があり、見積書等の提出期限:2028年2月29日。期限までに提出がない場合は採択取消しとされています。
交付申請から入金までの流れは補助金の入金時期で取り上げています。
専門家から見たポイント
相見積もりでつまずきやすいのは、設備よりも、仕様を比べにくい外注やホームページの発注です。採択事例では、持続化補助金の事例364件のうち、ウェブサイト関連費を使った事例が32.7%、委託・外注費を使った事例が12.9%あります。
ホームページの制作や外注は、ページ数や作業の範囲を各社が自由に書くため、同じ条件の見積になりにくい経費です。最初に頼む会社と一緒に仕様書を作り、その仕様書をほかの会社にも渡して見積を取ると、条件がそろいます。
早めに相見積もりを始めたい会社
新事業進出・ものづくり補助金で機械や建物を入れる会社です。3社以上の見積が要り、建物は建設業の許可がある会社に限られるので、地方では見積を出せる会社を探すだけで数週間かかることがあります。
中古の設備を考えている会社も、制度によって中古品の販売業者から2〜3社の見積が要るため、気に入った1台が見つかった時点で比較の相手を探し始めます。
相見積もりの手間が少ない会社
持続化補助金で、チラシの印刷や広告の出稿など、1件ずつの発注が小さい会社です。基準の金額を超えない発注が中心なら相見積もりは要りません。ただし交付決定までに価格が妥当だと分かる見積書は出すので、1社の見積は発注ごとに取っておきます。
経費ごとの採択事例は持続化補助金の対象経費別の採択事例から探せます。
間違えやすい点
間違えやすいのは、金額の数え方、選ぶ会社、見積を取る人の3つです。
基準の金額が税込か税抜かは制度ごとに違います。持続化補助金は税込、新事業進出・ものづくり補助金や省力化投資補助金は税抜で数えるので、同じ発注でも必要かどうかが変わります。
相見積もりを取っても、いちばん安い会社以外を選ぶと、その差額や経費全体が対象外になる制度があります。高い会社を選ぶなら、交付申請の前に理由書と価格の根拠をそろえます。
相見積もりは御社が自分で各社に頼みます。発注先の業者に「ほかの会社の見積も取ってきて」と頼むと、公正な比べ方にならず認められません。
採択後に経費が減る例は採択後に補助金が減額・返還になるケースで取り上げています。
よくある質問
相見積もりの見積書に押印は必要ですか?
正式な書面であれば、押印がなくても認められる制度が多くあります。日付、宛名、金額の内訳、発行した会社が分かることのほうが大事です。
ネット通販の価格画面を相見積もりにできますか?
同じ型番の価格を比べた画面の写しを認める制度もありますが、扱いは制度ごとに違います。ネット通販で買う予定なら、交付申請の前に事務局へ確かめます。
応募のときに見積書を出す必要はありますか?
多くの制度では応募の時点で見積書そのものは出さず、採択後の交付申請で出します。ただし計画書の金額は見積をもとに書くので、応募前に集めておきます。
見積の有効期限が切れたらどうしますか?
交付申請の時点で期限が切れていれば、同じ仕様で取り直します。値上がりしていた場合、補助の額は採択時の額が上限です。
同じ会社の別の支店から見積を取ってもよいですか?
ほかの質問も見る補助金のよくある質問出典(3件)
- 事業承継・M&A補助金 16次 事業承継促進枠 公募要領 p.54『21.3. その他』
- 省力化投資補助金 一般型 第8回 応募申請の手引き p.42『5-2 補助対象経費における留意事項』
- 成長加速化補助金 3次 公募要領 p.13『2.【補助対象経費にかかる注意事項】③』
参考資料
- 中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領」
- 全国商工会議所「持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区)」
- 中小企業基盤整備機構「省力化投資補助金 一般型 第8回 公募要領」
- 中小企業基盤整備機構「省力化投資補助金 一般型 第8回 応募申請の手引き」
- 中小企業基盤整備機構「成長加速化補助金 3次 公募要領」
- 事業承継・M&A補助金事務局「16次 事業承継促進枠 公募要領」
- 公募要領の台帳(新事業進出・ものづくり補助金)
- 公募要領の台帳(持続化補助金)
- 公募要領の台帳(省力化投資補助金)
- 公募要領の台帳(成長加速化補助金)
- 公募要領の台帳(事業承継・M&A補助金)
確認日:2026年10月16日
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