日本の伝統技術である宮大工の基礎を支える加工工程の生産性向上による対応キャパシティの強化

京都府の宮大工向けに部材を作る製造業が、ものづくり補助金で自動カンナ機を導入し、加工の効率を大きく高めた採択事例です。

伸和建設株式会社

成果リードタイム 7営業日→2営業日

この事例のポイント

  • 自然災害の復旧対応と改修案件の増加により、加工工程がボトルネックとなって失注が生じていました。
  • 最新の自動カンナ機等を3台導入しました。
  • リードタイム 7営業日→2営業日。自動カンナ機により角度と板厚精度を補正作業なしで出せるようになりました。

事業者のプロフィール

事業者名伸和建設株式会社
所在地京都府 京都市右京区
業種木材・木製品製造業(家具を除く)
技術分野デザイン,精密加工
従業員数13人
資本金7,500万円
設立1879年

事業の背景

当社は清水寺をはじめとする国宝や重要文化財の社寺建築の修復や新築を全国で手掛けています。近年は災害による修理の依頼が急増し、人手不足を含む生産体制の強化が課題となっていました。

草津温泉の光泉寺五重塔では約1万5千点の部材を工場で加工する必要があり、部材加工は手作業が多く時間がかかっていました。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力自然災害の復旧対応と改修案件の増加により、加工工程がボトルネックとなって失注が生じていました。
  • 品質・精度既存のカンナ機では角度と板厚の精度が出にくく、手作業で補正を行っていました。
  • 人手・技能材料を手動で投入する必要があり、従業員がつきっきりになるため生産効率に課題がありました。

やったこと

最新の自動カンナ機等を3台導入しました。目標とする角度を90°±0.1°、板厚精度を±0.2mmとし、補正作業なしで実現できるようにしました。

機械化できる部分は自動化し、材料の自動送りにより生産効率を大幅に改善しました。また、トラックの荷台への積み方と順序を綿密にシミュレーションし、現場での作業効率も高めました。

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

  • リードタイム 7営業日→2営業日

自動カンナ機により角度と板厚精度を補正作業なしで出せるようになりました。材料の自動送りにより生産効率が大幅に改善し、リードタイムを7営業日から2営業日へ短縮しました。

この効率化により1万5千点、109㎥の部材加工に目途が立ち、2022年に五重塔の組み上げを完成させました。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.8 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 5
    課題の認識と解決リードタイムを7営業日から2営業日へ短縮し、精度目標を補正なしで実現する課題解決が示され、失注削減と高付加価値化につながる計画になっている。
  • 5
    新しさ・高付加価値純木造の五重塔は全国で50基程しかなく、部材1万5千点、109㎥の加工を伴う希少性の高い高付加価値な施工である。
  • 4
    これまでの取組との一貫性過去の寺社修復の実績と、五重塔建築を宮大工の夢として受注してきた取組が一貫しており、生産体制強化を経営課題として位置付けている。
経営戦略との整合性4.3
  • これまでの取組との一貫性4

    過去の寺社修復の実績と、五重塔建築を宮大工の夢として受注してきた取組が一貫しており、生産体制強化を経営課題として位置付けている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国宝・重要文化財の修復を全国で手がける実績と、手作業の加工工程がボトルネックとなっていた自社の弱みを踏まえ、機械化で対応している。

  • 課題の認識と解決5

    リードタイムを7営業日から2営業日へ短縮し、精度目標を補正なしで実現する課題解決が示され、失注削減と高付加価値化につながる計画になっている。

事業の実現可能性3.6
  • 付加価値・賃上げの目標4

    リードタイムが7営業日から2営業日に短縮された実績があり、角度90°±0.1°、板厚精度±0.2mmの目標を自動カンナ機で実現する計画が具体的。

  • 事業を進める体制3

    宮大工の技術者が在籍し、五重塔の施工実績を持つ体制があるが、補助事業の遂行に向けた事務体制の記述は限定的。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ボトルネックによる失注が起きていたという顧客機会の損失と、五重塔の組み上げ依頼という明確な需要が示されている。

  • 事業化までの道筋4

    冬季は作業不可のため1年目基礎、2年目組立、3年目内装という工程を設定し、トラックの積載順序までシミュレーションしている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性5.0
  • 新しさ・高付加価値5

    純木造の五重塔は全国で50基程しかなく、部材1万5千点、109㎥の加工を伴う希少性の高い高付加価値な施工である。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用4

    国宝・重要文化財の修復を支える伝統技術の継承と、若手宮大工の育成に寄与し、文化財維持という公共的意義がある。

  • 費用対効果3

    リードタイムの短縮や加工効率化が示されるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は記載されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    自動カンナ機の導入と搬送のシミュレーションでデジタル技術を活用しているが、地域やサプライチェーン全体への波及は限定的。

政策面4.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及4

    草津温泉の光泉寺五重塔が地域の住民にも喜ばれ、地域の文化資源として高付加価値な施工を地域で実現している。

今後の展望

今後も伝統の技を次代へ伝えていきます。

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。