伝統建築に精通した宮大工が製造する神社仏閣向け建具の製造事業

株式会社石原建築

この事例のポイント

  • 熟練の建具職人が80歳を超え後継者がおらず、建具制作を任せられなくなる不安があった。
  • 2022年9月、建具制作の内製化を目指し、組子細工用の最新鋭機械として全自動NCラジアルソー(KMC-76ZF)と組子用自動一面かんな盤(DGM-250THD)を導入しました。
  • 大工が建具制作も担える体制を確立し、外注に頼らず建具を内製できるようになりました。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社石原建築
所在地島根県 大田市
業種家具・装備品製造業
技術分野精密加工
従業員数8人
資本金1,000万円
設立1956年

事業の背景

株式会社石原建築は1956年に創業し、社寺建築を専門に手掛ける宮大工集団として、島根県内を中心に全国で新築・改修・文化財修復を手掛けてきました。全国的に宮大工の数は減少しており、文化財の建築補修には建具職人など多くの専門職人が必要ですが、いずれも深刻な人材不足に陥っています。

同社は宮大工7人が在籍する一方、建具工事は長年依頼していた大田市の職人が後継者不在のまま高齢化していました。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能熟練の建具職人が80歳を超え後継者がおらず、建具制作を任せられなくなる不安があった。
  • コスト・採算建具制作を外注しようにも新たな外注先が見つからず、京都や奈良など需要が高い地域では外注費が現状の約2倍に跳ね上がることが分かった。
  • 人手・技能建具制作には約10年の経験が必要で、建具職人の人材不足が深刻だった。

やったこと

2022年9月、建具制作の内製化を目指し、組子細工用の最新鋭機械として全自動NCラジアルソー(KMC-76ZF)と組子用自動一面かんな盤(DGM-250THD)を導入しました。全自動NCラジアルソーは数値を入力するだけでプログラムが自動作成されるため、経験が少ない大工でも高度な組子の刻みが可能になりました。

組子用自動一面かんな盤は1mm以下まで薄く削ることができます。導入後は、ベテラン職人の指導を受けながら導入した機械を使って建具を制作しています。

機械操作に慣れれば、従来の半分から3分の1のスピードで制作できるようになる見込みです。

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

  • 全自動NCラジアルソーKMC-76ZF組子用自動一面かんな盤DGM-250THD設備の種類:木工機械

事業の効果

大工が建具制作も担える体制を確立し、外注に頼らず建具を内製できるようになりました。経験の浅い大工でも組子加工ができるため、技術習得期間を短縮できます。

大工仕事で出た端材を建具に活用でき、コストダウンも図れます。同業他社との競争力も高まり、伝統建築技術の継承にも貢献できると考えています。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.6 / 514観点のうち12観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性1956年創業で宮大工として文化財修復に注力してきた実績があり、建具の内製化は既存の大工事業の延長として位置づけられている。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性外注先の高齢化や廃業で県内外の確保が難しく、京都や奈良では外注費が約2倍に跳ね上がる状況を踏まえ、内製化で競争力を高めようとしている。
  • 4
    課題の認識と解決職人の高齢化と外注費の上昇という課題を認識し、機械導入で制作を従来の半分から3分の1の時間にする具体的な解決策を示している。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    1956年創業で宮大工として文化財修復に注力してきた実績があり、建具の内製化は既存の大工事業の延長として位置づけられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    外注先の高齢化や廃業で県内外の確保が難しく、京都や奈良では外注費が約2倍に跳ね上がる状況を踏まえ、内製化で競争力を高めようとしている。

  • 課題の認識と解決4

    職人の高齢化と外注費の上昇という課題を認識し、機械導入で制作を従来の半分から3分の1の時間にする具体的な解決策を示している。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    従来の半分から3分の1のスピードで制作可能になると示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載がない。

  • 事業を進める体制4

    従業員8名で大工7名の在籍があり、ベテラン職人の指導を仰ぎながら機械を使う体制を確立している。ただし研修時間は限られている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    文化財の建具需要は今後も増えると見込まれ、外注費高騰の地域で内製化する理由が示されている。顧客ターゲットの整理は限定的。

  • 事業化までの道筋3

    機械操作に慣れれば制作速度が上がるとし、ベテラン職人からの技術継承という遂行方法が示されているが、スケジュールは明示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    神社仏閣向けの伝統建具という専門性の高い分野で、建具制作を大工が担う点に独自性があり、高付加価値の文化財分野を狙っている。

公的補助の必要性3.5
  • 波及効果・雇用4

    国宝松江城の耐震工事など文化財の保存・修復を担い、伝統技術の継承に貢献する公共性が示されている。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献3

    最新鋭の自動機械を導入し、経験の浅い大工でも組子加工を可能にする仕組みを作るなど、技術継承の面で工夫がある。

政策面4.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及4

    島根県の伝統建築技術を地域で継承し、大田市の職人の後継者不足を地域内で解決する点で、地域の特性を活かしている。

今後の展望

文化財は今後も増えていくため市場には安定した需要が見込まれ、事業の成長につながると考えています。

事業者の声

一つとして同じ状態の材はなく、マニュアルが通用しない世界。現場ごとの対応力が求められる

手道具で木を扱うという共通点から、かつては建具仕事も大工が担っており、木の扱いに慣れた弊社の大工なら、通常10年弱の経験が必要な建具制作の技術を比較的短期間で習得できると考えた

文化財は今後も増えていくので市場には安定した需要が見込まれ、事業の成長につながっていくと考えている。最新鋭の機械を活用しつつ、高い技術力を持つベテラン職人から伝統的な建具製造技術を学ぶことで、数百年の歴史がある文化や技術の継承にも貢献したい

公式の事例集より(原文のまま)

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。