木材型枠の製造事業における収益拡大に向けた施策の実施

山口県の従業員6人の製造業が、ものづくり補助金で木材型枠用のガントリー型NCルーターを導入し、製造時間を約30%短縮した事例です。

吉富木材株式会社

成果2回以上の切削が必要な製品の割合 80%→20%

この事例のポイント

  • 従来の設備では型枠製造のリードタイムが長く、増産体制を整えることが難しかった。
  • 課題解決のために新しいガントリー型NCルーターを導入しました。
  • 2回以上の切削が必要な製品の割合 80%→20%。新しいNCルーターの導入により、穴あけ加工やR加工を含む複数の加工を一工程で行えるようになりました。

事業者のプロフィール

事業者名吉富木材株式会社
所在地山口県 周南市
業種木材・木製品製造業(家具を除く)
技術分野精密加工
従業員数6人
資本金1,000万円
設立1995年

事業の背景

木材の卸売を行う同社は、橋梁やビル・マンションなどのコンクリート用木材型枠の製造を30年以上請け負ってきました。木材卸売の売上原価率は9割ですが、型枠製造は5割と利益が出やすいため、収益性を高めるために型枠製造事業の拡大を目指していました。

型枠大工の人手不足も進んでいました。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力従来の設備では型枠製造のリードタイムが長く、増産体制を整えることが難しかった。
  • 人手・技能材料の位置合わせや切削軸の角度調整、高さ調整といった段取りに精密な手作業が必要で、熟練の技術者以外が担当できなかった。

やったこと

課題解決のために新しいガントリー型NCルーターを導入しました。丸鋸軸1つ、傾斜軸2つ、直行軸1つを備え、一工程で4つの加工が可能で、機械を止めて軸をセットし直す必要がありません。

一般的な木材であれば45mmの厚さまで切削できます。切削軸の負荷や温度を監視しながら切削速度を自動調整し、切削軸が破損しないようにしました。

段取り支援機能により、材料の位置や切削軸の角度・高さ調整を半自動化しました。設定通りに稼働する高精度の制御プログラムにより、同一の製品を何度でも作れるようになりました。

新しい製品・サービス:木材やアクリル板への文字入れ、ロゴ彫刻などのオリジナル製作(テスト段階)

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

  • 2回以上の切削が必要な製品の割合 80%→20%

新しいNCルーターの導入により、穴あけ加工やR加工を含む複数の加工を一工程で行えるようになりました。段取り支援機能によって熟練工による調整が不要になり、熟練に依存しない製造体制を確立しました。

工程数が減ったことで、切削のみの型枠と組立が必要な型枠を合わせて約30%の製造時間を短縮しました。作成したデータは保存できるため、増産にも対応しやすくなりました。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.3 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性中国地方で同等の型枠製造は2社のみ、大手型枠大工と取引済みで、曲面R型枠や解体容易型枠のノウハウを強みとしている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標工程集約により約30%の製造時間短縮を見込み、増産対応も可能とする具体的な目標と根拠が示されている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け大手型枠大工との既存取引や紹介による新規開拓の環境、人手不足による外注ニーズを具体的に示し、選ばれる理由が整理されている。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    木材型枠製造を30年以上請け負ってきた実績があり、その収益拡大策として新切削機を導入した一貫した流れが読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    中国地方で同等の型枠製造は2社のみ、大手型枠大工と取引済みで、曲面R型枠や解体容易型枠のノウハウを強みとしている。

  • 課題の認識と解決3

    段取りの熟練依存と従来の製造リードタイムの長さを課題と認識し、2回切削を8割から2割以下に減らす対策を取っている。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標4

    工程集約により約30%の製造時間短縮を見込み、増産対応も可能とする具体的な目標と根拠が示されている。

  • 事業を進める体制3

    熟練工に依存しない段取り支援機能を備え、若手育成の障壁も取り除かれると記載され、担当できる人材の広がりが読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    大手型枠大工との既存取引や紹介による新規開拓の環境、人手不足による外注ニーズを具体的に示し、選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    ロット生産からオリジナル製作(文字入れ・ロゴ彫刻)へのテスト段階など、今後の展開と進め方が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    型枠製造は木材卸売の原価率9割に対し製造5割と利益が出やすい高付加価値分野で、曲面R型枠など高水準の製造ノウハウを持つ。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    橋梁・ビル・マンションなど地域のインフラ構築を支える製造であり、地域の型枠大工の取引先にも波及する。

  • 費用対効果3

    製造時間を約30%短縮し、利益率の高い型枠製造の拡大で収益向上を図るとしているが、投資額と効果の比率は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    NCルーターと段取り支援機能などのデジタル技術を活用し、熟練工に頼らない製造体制を構築している。

政策面4.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及4

    周南市を拠点に中国地方の型枠大工を中心に納品し、地域のインフラ構築を支える地域密着型の事業である。

今後の展望

中国地方で同等の型枠製造を行う会社は同社を含めて2社しかなく、地元の大手型枠大工の会社との取引があるため、その紹介で新規開拓がしやすい環境にあります。曲面を有するR型枠や解体が容易な型枠の製造ノウハウは高い競争優位性となります。

高齢化により型枠大工の退職が増え人手不足が加速すると見込まれるため、得意先を中心に型枠製造の外注ニーズを捉えて収益拡大につなげていきます。

同じ業種・悩みの採択事例

出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。