無垢材の特徴を活かした高強度・軽量化実用家具の新展開

大分県の製造業の会社が、ものづくり補助金で5軸制御対応のNCルーターを導入し、無垢材の曲面加工や軽量化を進めた事例です。

日東木工株式会社

成果自動化により90%以上の歩留まりが可能になった。

この事例のポイント

  • 普及価格帯の商品を求める一般ユーザーの要望が高まり、新たな生産体制の構築が必要になった。
  • 日東木工は、シンクス社製の5軸制御に対応したNCルーターを導入した。
  • 自動化により90%以上の歩留まりが可能になった。5軸NCルーターの導入により、無垢材と日田杉の特長を活かしたデザインの差別化が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名日東木工株式会社
所在地大分県 日田市
業種家具・装備品製造業
技術分野デザイン,製造環境,機械制御
従業員数23人
資本金1,000万円
設立1964年

事業の背景

大分県日田市は「脚物の日田、箱物の大川」と言われる家具の一大産地で、同地には森林資源を活用して技術を磨いてきた家具製造会社が多数ある。家具・インテリア業界は住宅市場に左右されるが、近年はリフォームブームや巣ごもり需要、リモートワークの普及が追い風になっている。

一方で、海外製造の製品を安価に販売する国内大手チェーンや海外メーカーが躍進し、ファストファーニチャーを求めるユーザーも増えている。日東木工は良質な素材と伝統職人技、デザインによる高級家具で評価を得て、高級ホテルや金融機関のロビー、モデル住宅、オフィスのオーダーメイド家具に採用されてきた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術普及価格帯の商品を求める一般ユーザーの要望が高まり、新たな生産体制の構築が必要になった。
  • 品質・精度強度は高いが重い日田の無垢材家具のデメリットを解消し、細くて丈夫な脚を表現できる加工が課題だった。
  • 人手・技能高難度のホゾ加工などの製造工程は熟練工の技術に頼っており、技術伝承の課題があった。

やったこと

日東木工は、シンクス社製の5軸制御に対応したNCルーターを導入した。設計図面を取り込んで高精度な切断加工を自動化でき、X軸・Y軸・Z軸に加えて傾斜軸と旋回軸の5軸で刃物を作動させながら切削するため、無垢材の3D曲面加工が可能になった。

これによりホゾ加工も短時間で施せるようになり、金具を使わない結合と曲線切断を用いた設計で全体の軽量化を図った。搭載するCAD/CAMソフトは最新の5軸加工に対応し、滑らかな曲面や複雑な造形もプログラム入力で容易に作れるため、熟練工の技術に頼らず加工データを落とし込めるようにした。

新しい製品・サービス:日田杉を用いた軽くて丈夫なダイニングテーブルセットや在宅ワークデスクチェアの製造を開始した。「日田杉ねじれ台形スツール」は複数台をつなげるとベンチにもなる。

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

  • 自動化により90%以上の歩留まりが可能になった。
  • プログラム入力により手加工の1/10の短時間で作業を完結できるようになった。

5軸NCルーターの導入により、無垢材と日田杉の特長を活かしたデザインの差別化が可能になった。軽くて丈夫で温かい家具の製造を始め、高品質・高付加価値の日田家具を普及価格で提供できる体制を構築した。

コスト面では自動化により歩留まりが90%以上になり、リードタイムも手加工の1/10に短縮された。挟み脚の構造も加工できるようになり、新製品開発にも取り組んでいる。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.4 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 5
    地域経済への波及大分県日田市の無垢材や日田杉という地域資源を活かし、地場産業の振興と新ブランドづくりを進めている点が際立つ。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性日田の無垢材の重さというデメリットを5軸NCルーターで解消し、軽量で丈夫な家具を作る点で、産地の強みと自社技術を組み合わせている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標歩留まり90%以上、手加工の1/10の時間での作業完結など数値目標と効果が示され、実現性が高い。賃上げ目標の記載は薄い。

もう一歩だった観点

  • 2
    事業を進める体制従業員23名の企業だが、導入設備を扱う人材の確保や熟練工に頼らない体制の具体的な記述が少ない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    高級家具で評価を得てきた既存事業の延長に、普及価格帯への新生産体制を位置付けており、過去の取組との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    日田の無垢材の重さというデメリットを5軸NCルーターで解消し、軽量で丈夫な家具を作る点で、産地の強みと自社技術を組み合わせている。

  • 課題の認識と解決3

    普及価格帯を求める一般ユーザーの要望に応えるため、手加工からの自動化で課題を解決する計画が示されている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標4

    歩留まり90%以上、手加工の1/10の時間での作業完結など数値目標と効果が示され、実現性が高い。賃上げ目標の記載は薄い。

  • 事業を進める体制2

    従業員23名の企業だが、導入設備を扱う人材の確保や熟練工に頼らない体制の具体的な記述が少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高級ホテルや金融機関への納入実績を背景に、一般家庭向けダイニングセットや在宅ワークデスクチェアとターゲットを明確にしている。

  • 事業化までの道筋3

    新製品の製造開始とデザイン思想の展開を段階的に述べ、技術伝承の課題への対応も示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    ファストファーニチャーが広がる中で、高品質を普及価格で提供する点は同分野で高水準の高付加価値化を図るものと読める。

公的補助の必要性3.5
  • 波及効果・雇用3

    日田杉の振興や地元業者との連携による地域産業の隆盛に貢献する点が述べられ、地域への波及効果が読み取れる。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献4

    5軸NCルーターとCAD/CAMによる自動化で熟練工に頼らない技術伝承の課題に資すると述べ、業界の技術基盤に貢献し得る。

政策面3.5
  • 成長分野への進出2

    リフォームや巣ごもり需要の変化に触れているが、日本経済の構造転換に資する点は薄い。

  • 地域経済への波及5

    大分県日田市の無垢材や日田杉という地域資源を活かし、地場産業の振興と新ブランドづくりを進めている点が際立つ。

今後の展望

新設のNCルーターで挟み脚などの構造を加工でき、新たな客層に向けた独創的なオリジナル製品を直販できる体制も整えたいとしている。日田杉の振興に貢献するため、地元業者と連携して新たなブランドづくりに取り組む。

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。