ものづくり補助金の変更点は今どうなった?省力化枠・口頭審査の行き先

この記事の要点

以前のものづくり補助金で入った省力化枠・高付加価値化枠・賃上げ特例・口頭審査は、今もほとんどが形を変えて残っています。省力化投資補助金の一般型や新事業進出・ものづくり補助金のどの枠に移ったか、以前の計画をどう生かすかを公募要領で整理しました。

この記事の目次
  1. 以前の変更点は今の制度にどう残ったか
  2. 省力化枠は省力化投資補助金の一般型へ
  3. 高付加価値化枠とグローバル枠の行き先は?
  4. 口頭審査は今の公募でも続いている
  5. 大幅賃上げの特例はどう変わった?
  6. 省力化の設備で採択された事例の効果は?
  7. 間違えやすい点
  8. 専門家から見た以前の計画の生かし方のポイント
  9. よくある質問
結論

以前のものづくり補助金で2024年の公募から入った変更は、今もほとんどが形を変えて残っています。省力化(オーダーメイド)枠は省力化投資補助金の一般型へ移り、高付加価値化枠とグローバル枠は新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠とグローバル枠に引き継がれました。

口頭審査と、大幅な賃上げで補助上限を上げる特例も続いています。

以前のものづくり補助金の第17次・第18次のころに申請を考えていて、今の制度で何がどこへ移ったのかを知りたい方に向けた記事です。

ものづくり補助金は2026年に新事業進出補助金と統合され、新事業進出・ものづくり補助金になりました。この記事では、2024年の公募で入った4つの変更が、今の公募要領ではどう扱われているかを順に確かめます。

以前の変更点は今の制度にどう残ったか

2024年の公募で入った4つの変更のうち、枠の新設は別の補助金や新しい枠へ移り、口頭審査と賃上げの特例は今の制度でも続いています。以前の公募は終わっているので、申請するときは今の制度の枠と要件で考えます。

2024年の公募で入った変更(以前の制度) 今の扱い
省力化(オーダーメイド)枠の新設 省力化投資補助金の一般型が受け持つ(オーダーメイド設備の考え方を引き継ぐ)
製品・サービス高付加価値化枠の新設 新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠
大幅賃上げに係る補助上限額引き上げ特例の拡充 新事業進出・ものづくり補助金の賃上げ特例として続く
一部の申請者への口頭審査 新事業進出・ものづくり補助金でも実施
グローバル枠 新事業進出・ものづくり補助金のグローバル枠
産業雇用安定助成金との連携 今の公募要領には記載がない

出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.6『1-2. 補助対象事業枠』台帳で見る

第17次と第18次は、どちらか一方にしか申請できない決まりでした。今は、新事業進出・ものづくり補助金の1回の公募に、グループで1申請までという形で整理されています。

統合で変わった点の全体は新事業進出・ものづくり補助金とはで取り上げています。

御社がこの補助金の対象になるかは、会社のURLを入れるだけでAIが確かめます。

AIで対象か確認する

省力化枠は省力化投資補助金の一般型へ

2024年の公募にあった省力化(オーダーメイド)枠の役目は、今は中小企業省力化投資補助金の一般型が受け持っています。人手不足を補うために、自社の工程に合わせて設計した設備やシステムを入れる事業が対象です。

省力化投資補助金の一般型は、オーダーメイド設備を「オーダーメイド設備:ICT・IoT・AI・ロボット・センサー等を活用し、生産工程を自動化するため、SIerとの連携などを通じて事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム」と定義しています1。汎用の設備を1台入れるだけの事業は、一般型でも対象になりません。

  • 今の製品を少ない人手で作りたい:省力化投資補助金の一般型が合います。新しい製品の開発は求められません。
  • 新しい製品を開発したい:新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠が合います。
  • カタログに載った機器を入れたい:省力化投資補助金のカタログ注文型も選べます。

一般型の申請から採択までの流れは省力化投資補助金 一般型の申請の流れで取り上げています。

高付加価値化枠とグローバル枠の行き先は?

高付加価値化枠は革新的新製品・サービス枠に、グローバル枠は同じ名前のグローバル枠に引き継がれました。どちらも新事業進出・ものづくり補助金の中の枠で、1回の公募で3つの枠から1つを選んで申請します。

今の申請枠は「申請枠は「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3つ」です2。新しく加わった新事業進出枠は、以前の中小企業新事業進出補助金を引き継いだ枠で、建物費も使えます。

グローバル枠は、以前より補助上限が従業員規模ごとの段階になり、建物費も使えるようになりました。一方で、輸出先の国の選定や販路づくりを自社で行うことがはっきり求められ、商社や親会社に売るだけの計画は対象になりません。

高付加価値化枠と革新的枠の細かな違いは高付加価値化枠と革新的枠の違いで比べています。

口頭審査は今の公募でも続いている

以前のものづくり補助金の第17次から始まり、第18次でも一部の申請者に行われた口頭審査は、新事業進出・ものづくり補助金でも続いています。書面審査で基準を満たした申請者の中から必要に応じて選ばれ、オンラインで申請者本人が答えます。

今の公募要領は、口頭審査の方法を「オンライン(Zoom等)で実施、1事業者15分程度。カメラオン、音声は録音、顔写真付き身分証明書で本人確認」と定めています3。以前と同じく、計画を手伝った専門家は同席できません。

呼ばれる基準になる補助額の線は、以前も今も公表されていません。補助額の大きさにかかわらず、計画の中身を社長が説明できるように準備しておきます。

当日の決まりと準備はものづくり補助金の口頭審査で詳しく取り上げています。

ものづくり補助金の採択データ

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の23次の採択率は35.1%でした。採択事例では製造業が78%と最も多く、設備は食品加工・包装が18%の事例で使われています。

採択率の推移

23次35.1%
直近5回の平均34.4%

よく導入された設備

  • 食品加工・包装18%(1,178件)
  • 金属の切削15%(1,009件)
  • 検査・測定14%(948件)

採択事例 6,758件採択事例を見る ›

出典(1件)
  1. ものづくり補助金 事務局「採択結果」・中小企業庁「採択結果」(19次〜23次)
採択率は採択数÷応募数で計算しています。業種・設備は、国・省庁などが公開している採択事例6,764件を数えた割合です(1つの事例で複数使うため、合計は100%を超えることがあります)。

大幅賃上げの特例はどう変わった?

大幅な賃上げを約束すると補助上限が上がる特例は、今の制度でも「賃上げ特例」として続いています。条件は、一人当たり給与支給総額の伸びと事業場内最低賃金の上げ幅の両方で決まり、未達なら上げた分の補助金を返します。

今の条件は「賃上げ特例:一人当たり給与支給総額の年平均成長率を合計+6.0%以上、事業場内最低賃金を合計+50円以上(毎年)。適用で補助上限額を引上げ」です4。上限額に届かない補助額の申請では、特例を使えません。

  • 返還:特例の条件を達成できないと、上限を引き上げた分の補助金は全額返還です。基本の賃上げ要件が未達なら、その分も未達の度合いに応じて返します。
  • 審査:特例を希望する申請者には、大規模な賃上げ計画が妥当かという審査項目が加わります。

特例の使いどころは賃上げによる補助上限の引上げ特例で取り上げています。

省力化の設備で採択された事例の効果は?

人手を減らす設備で以前のものづくり補助金に採択された事例は、どの工程の何時間・何人が減ったかを成果として示しています。新しい製品を伴わない同じ計画は、今は省力化投資補助金の一般型で考えます。

3奈良県の製薬会社

省力化投資補助金の一般型でも、この3件のように工程ごとの時間と人数の変化を数字で書くと、省力化の効果が伝わります。

間違えやすい点

間違えやすいのは、以前の解説記事の数字、申請の重なり、補助事業の期限の3つです。

  1. 以前の公募の解説に出てくる補助上限や要件の数字は、今の公募要領と違います。とくに付加価値額と賃上げの伸びの基準は上がっているので、今の公募要領で確かめてから計画を作ります。

  2. 省力化投資補助金の一般型は、ものづくり補助金・新事業進出補助金の交付決定を過去3年で合計2回以上受けた会社を対象外にしています。ものづくり補助金を続けて使った会社は、省力化投資補助金に切り替えるときにも回数を確かめます。

  3. 以前の公募では、年度内に実績報告を終える期限が決められていた回がありました。今の革新的新製品・サービス枠の事業実施期間は「交付決定日から10か月以内(ただし採択発表日から12か月以内)」で、公募回ごとに決まります。

採択後の期限と手続きは新事業進出・ものづくり補助金の採択後の手続きでまとめています。

どこで評価が分かれるかは、事業の中身によって変わります。御社の計画でどう書けばよいかは、専門家に無料で相談して確かめられます。

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専門家から見た以前の計画の生かし方のポイント

以前のものづくり補助金のために作った計画は、設備と事業の中身は生かせても、付加価値額・賃上げの数字と枠の選び方は作り直しが必要です。特に「省力化」が中心の計画は、今は別の補助金の考え方になる点を最初に確かめます。

以前の中小企業新事業進出補助金の最新の公表回(第4回)の採択率は33.9%で、統合後の新事業進出枠も同じ水準の競争になると考えておくのが安全です。また、公開された採択者一覧を法人番号で照らし合わせると、省力化投資補助金(一般型)に採択された法人のうち24.6%は、以前にものづくり補助金の採択を受けていました。設備投資を続ける会社は、ものづくり補助金と省力化投資補助金を目的に応じて使い分けています。

以前の計画を生かしやすい会社

高付加価値化枠のために、新しい製品の開発と専用の機械をセットで考えていた会社です。製品と設備はそのままに、今の基準で付加価値額と賃上げの数字を計算し直せば、革新的新製品・サービス枠の計画にできます。

行き先を決め直したい会社

省力化(オーダーメイド)枠のために、ロボットや自動化ラインで人手を減らす計画を作っていた会社です。新しい製品を伴わないなら、省力化投資補助金の一般型で、省力化の効果と投資回収期間を中心に計画を組み直します。

採択された会社の業種や設備の傾向は採択事例のデータから探せます。

よくある質問

以前の変更点と今の制度について、相談でよく聞かれる問いと答えです。

ものづくり補助金の第18次や第19次に今から申請できますか?

できません。以前のものづくり補助金の公募は終わり、今は新事業進出・ものづくり補助金として公募されています。

省力化(オーダーメイド)枠は今どこで申請できますか?

中小企業省力化投資補助金の一般型が受け持っています。人手不足の解消のために、自社の業務に合わせて設計した設備やシステムを入れる事業が対象です。

口頭審査はどの申請者も受けますか?

全員ではありません。書面審査で基準を満たした申請者の中から必要に応じて選ばれます。対象になったのに受けないと不採択です。

以前ものづくり補助金を使った会社も申請できますか?

申請できますが、過去3年の交付決定の回数と、締切から16か月以内の採択の有無で、申請の可否や減点が決まります。

ほかの「よくある質問」を見る

ほかの質問も見るものづくり・新事業進出補助金のよくある質問
出典(4件)
  1. 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募)p.7『1-2 定義(1)』
  2. 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.6『1-2. 補助対象事業枠』
  3. 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.51『3-2. 口頭審査(2)審査方法』
  4. 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.15『1-3-2. 特例措置要件(1)賃上げ特例要件』

いま申請できる回

新事業進出・ものづくり補助金

公募回
第1回
締切
2026年10月30日(金)18:00

公募要領の台帳より(2026年10月24日確認)

よく採択されているテーマ

ものづくり補助金で採択された計画39,169件を、やりたいことで分けました。

  • 設備導入24%(9,216件)
  • 新事業・研究開発17%(6,483件)
  • 業務システム・IT12%(4,554件)
  • 販路拡大・集客4%(1,671件)
  • AI導入・活用2%(718件)
  • 海外・インバウンド1%(437件)

ものづくり補助金では「設備導入」が24%で一番多く、次が「新事業・研究開発」(17%)です。

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「設備導入」で採択された計画名の例

  • ウォーターPPP対応の下水道管理・運営サービス向け設備の導入
  • 匠の技の技術承継と自動化による生産性向上を実現する
  • 最新ベンダー導入によるボイラー向け大型特殊煙道の製品化事業

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