後継者のいない町工場を引き継ぎ、航空宇宙の技術でコーヒーミルをつくる

株式会社新家製作所✓ 経産省などの認定・選定

成果ある程度の生産体制ができ、SNSなどの反応で商品化の課題がはっきりした。

設備導入に使える公募中の補助金 581件を見る

この事例のポイント

  • 大手メーカーの航空宇宙事業に30年携わった現代表が、後継者問題に役立ちたいと故郷での承継を志した。
  • 事業引継ぎ支援センターの後継者人材バンクを通じて紹介を受け、トップ面談から7か月で承継した。
  • 長年の受託加工で培った多品種・高精度の加工技術を生かし、消費者向けの自社商品に乗り出した。
  • 粉砕の仕組みで国内特許を取り、海外にも出願した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社新家製作所
所在地石川県
業種金属部品の加工
従業員数20人

事業の経緯

石川県で金属部品の加工を手がける町工場で、従業員は20名いる。企業から請け負う形で、高精度で多品種の部品を中量生産する技術を長年積み上げてきた。

前経営者が亡くなって後継者がいなくなり、財務面でも危機を抱えていた。

現代表は大手メーカーで30年間航空宇宙事業に携わり、後継者問題に役立ちたいと故郷の石川県での承継を志した。事業引継ぎ支援センターの後継者人材バンクで紹介を受け、トップ面談から7か月の2020年7月に株式譲渡で引き継いだ。

補助事業では、自社商品のコーヒーミルを量産するための設備を入れ、デモ機づくりや特許、展示会での発信を進めた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 後継者不在と財務の危機前経営者が亡くなって後継者がいなくなり、財務面でも危機にあった。現代表は大手メーカーで30年間航空宇宙事業に携わり、日本の製造業を支える中小企業の大切さを感じていた。事業引継ぎ支援センターの後継者人材バンクに登録して紹介を受け、公的な制度や支援を使いながら、2020年7月に株式譲渡で承継した。
  • 受託加工からの転換長年、企業から請け負う形で、高精度で多品種の金属部品を中量生産してきた。この技術と生産体制を生かし、消費者向けの事業に広げることにした。

やったこと

  1. 5軸マシニングセンターの導入航空宇宙の技術を取り入れたコーヒーミルの量産に向けて、複雑で高精度の加工ができる5軸マシニングセンターを入れ、生産体制を整えた。
  2. デモ機の完成と特許樹脂のデモ機から金属のデモ機へ設計を変えて完成させた。開発した粉砕の仕組みで国内特許を取り、海外にも出願した。
  3. 展示会とPR業界での評価や反応を確かめるため9月の展示会に出展し、コーヒーミルへのニーズを集めた。動画配信者の取材を受けたほか、地元テレビ局の取材動画は視聴回数が9万回を超え、多くのコメントからニーズを掘り起こした。今後の投資も考え、起業家のピッチ大会にも参加した。

補助金を使った経費

事業の効果

  • マシニングセンターを入れたことで、ある程度の生産体制を確保できた。
  • SNSなどでコーヒーミルへの関心の高さやニーズを確かめ、商品化への課題がはっきりした。
  • 投資家へのプレゼンで、投資家の目線での反応を確かめられた。

審査の観点ごとの評価[1]

事業承継・M&A補助金

観点の平均3.8 / 5
15次の採択率[2]61.3%応募551件・採択338件

この事例が強かった観点

  • 5
    承継を機にした取組の目的後継者不在と財務危機の中、2020年7月に株式譲渡で承継した目的と必要性が明確に書かれ、地域の町工場を守る動機も示されている。
  • 4
    計画の具体性と体制人材バンク紹介からトップ面談を経て7か月で承継し、5軸マシニングセンター導入、デモ機完成、特許取得と段階が具体的に示されている。
取組の目的・必要性5.0
  • 承継を機にした取組の目的5

    後継者不在と財務危機の中、2020年7月に株式譲渡で承継した目的と必要性が明確に書かれ、地域の町工場を守る動機も示されている。

実現可能性4.0
  • 計画の具体性と体制4

    人材バンク紹介からトップ面談を経て7か月で承継し、5軸マシニングセンター導入、デモ機完成、特許取得と段階が具体的に示されている。

収益性3.0
  • 売上・利益の見込み3

    消費者向け自社商品への展開と動画の視聴9万回超、展示会での需要把握が述べられるが、売上や利益の増加額は書かれていない。

継続性3.0
  • 事業の継続3

    従業員20名の既存の金属加工事業を基盤に、受託加工から自社商品へ広げる計画が示され、承継後の継続と成長の方向性が読み取れる。

受けた国の認定・補助金

認定・届出

事業者の声

大企業製造を経験した当方にとってはサプライチェーン全体の現実を知ることができたこと、経営改革のメソッドを学べたことは有意義だった。そしてどんなに小さな会社でも長年の蓄積による光る技術があることとその可能性を感じることもできた。埋もれている技術を現在の価値提供に繋げていくことや新たな技術も活用して磨いていくことで、新たな価値に繋がっていく可能性を感じている。

人材確保など大きな課題に直面しており、事業維持と成長に向けた町工場連携の可能性に挑戦できればと思う。

石川県の金属部品の加工(従業員20名)
出典・注記
  1. [1]審査の観点の点数は、事業承継・M&A補助金の公募要領にある観点で当社が付けたもので、実際の審査の点数ではありません。
  2. [2]この事例の回が分からないため、採択率は直近の回(15次)の数字です。

今後の展望

デモ機を5台ほどつくり、コーヒー愛好家や専門家に試してもらって豆や淹れ方のレシピを開発する。商品の完成度を上げながらコストを下げる設計を進め、量産と販売の体制を整える。

当面は工場での対面販売を中心にし、将来は工場を兼ねたカフェ・ショールームをつくりたい。粉砕の仕組みはペッパーミルや山椒、穀物の製粉、食品残さの再利用などにも広げていく。

事業承継・M&A補助金とは

直近の15次の採択率は61.3%(応募551件・採択338件)。いま申請できる回の締切・補助額・対象経費は、最新の公募の解説でまとめています。

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