水産加工場の設置による地元特産品の開発と通販市場への参入事業

島根県大田市の水産加工を手がける製造業者が、ものづくり補助金で加工場を新設し、製造量を7〜8倍に伸ばした事例です。

海ひこ株式会社

この事例のポイント

  • 漁は天候に左右され、悪天候で魚が揚がらず店を休まざるを得ないことがありました。
  • 大田市久手町の久手港に加工場を新設し、2022年暮れから2023年初めにかけて設備を導入しました。
  • 加工場を新設したことで、店舗内だけで加工品を製造していた時と比べて製造量が7〜8倍に伸びました。

事業者のプロフィール

事業者名海ひこ株式会社
所在地島根県 松江市
業種食料品製造業
設立2022年

事業の背景

創業者は福岡県から島根県へ移住し、島根県の新規自営漁業者育成事業を利用して漁師として独立しました。漁だけでは収益が安定しないため、自ら取った魚を店で提供する方が収益も魚の価値も上がると考えました。

2022年に松江市で海鮮料理の店を開店し、久手港で揚がった魚介類や釣った魚を当日に料理として提供しています。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑漁は天候に左右され、悪天候で魚が揚がらず店を休まざるを得ないことがありました。
  • 生産能力店舗内で営業の合間に加工品を作っており、営業時間以外に作業せざるを得ず非効率でした。
  • その他加工品の売り上げは伸びてきていましたが、経営の安定化を図る必要がありました。

やったこと

大田市久手町の久手港に加工場を新設し、2022年暮れから2023年初めにかけて設備を導入しました。導入したのは業務用冷凍冷蔵庫、業務用冷凍ショーケース、乾燥室・燻製器等の加工設備一式、ECサイト販売在庫管理システムです。

店舗には業務用冷凍ショーケースも設置しました。加工場では半製品まで製造し、店舗で完成品に仕上げる体制としました。

白イカの沖漬けや一夜干し、アナゴの白焼きなどを製造しています。

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

加工場を新設したことで、店舗内だけで加工品を製造していた時と比べて製造量が7〜8倍に伸びました。水揚げ直後の魚介類を保存・加工できるようになり、店舗と加工場を分けたことで業務も効率化しました。

ECサイト販売在庫管理システムの導入により、店舗と重複した通信販売の在庫管理も可能になりました。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均2.9 / 514観点のうち12観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性水揚げ直後の新鮮な魚介を加工できる漁師自らの強みを活かし、珍しい魚の料理提供や通販で差別化を図る方針が示されている。
  • 4
    地域経済への波及島根の魚介を活かし漁師が営む店と加工場を展開し、地域特産品の通販を進めるなど地域資源を活かした事業である。

もう一歩だった観点

  • 2
    事業化までの道筋将来的に加工場専任従業員を雇い規模拡大を目指すとあるが、スケジュールや課題解決の方法は具体的に書かれていない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    漁師として独立後、自ら釣った魚を自店で提供する構想を事業化し、加工場新設へ発展させた経緯が書かれており、事業の一貫性がある。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    水揚げ直後の新鮮な魚介を加工できる漁師自らの強みを活かし、珍しい魚の料理提供や通販で差別化を図る方針が示されている。

  • 課題の認識と解決3

    天候で店舗営業が止まる課題を加工品販売でカバーし、加工場新設で製造量を7~8倍に伸ばす具体策が示されている。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標3

    加工場新設で製造量が7~8倍に伸びたと実績が書かれるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載がない。

  • 事業を進める体制3

    漁師の久手港の協力を得つつ代表と加工場の運営を行い、将来は専任従業員を雇う計画が示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    新鮮さと店舗では並ばない珍しい魚料理が選ばれる理由として示され、通販で全国の顧客にも広がりつつある。

  • 事業化までの道筋2

    将来的に加工場専任従業員を雇い規模拡大を目指すとあるが、スケジュールや課題解決の方法は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    スーパーでは並ばない珍しい魚の料理や白イカの沖漬けなど、一般に普及していない高付加価値の加工品を手がけている。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    地元特産品の開発と島根の魚介の全国への発信が述べられるが、経済波及や雇用創出への言及は乏しい。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献2

    ECサイトの在庫管理システム導入で店舗と通販の在庫を一元化したが、地域やサプライチェーン全体への波及は示されていない。

政策面4.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及4

    島根の魚介を活かし漁師が営む店と加工場を展開し、地域特産品の通販を進めるなど地域資源を活かした事業である。

今後の展望

将来的には加工場専任の従業員を雇用し、規模拡大を目指しています。そのためには顧客ニーズを満たした市場と商品の開拓が必要で、水揚げ後すぐに加工する強みを活かして競合他社との差別化を図る考えです。

事業者の声

水揚げ直後の新鮮な魚介類を保存、加工することが可能になった上、店舗と加工場に分けたことで業務の効率化も図れた

顧客は全国に広がりつつあり、地道に認知度を上げてより多くの人に当社の加工品の良さ、ひいては島根の魚介類の魅力を知ってもらいたい

公式の事例集より(原文のまま)

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。