人手が足りない小さな製造業の補助金|持続化と省力化で入れた設備
この記事の要点
人手が足りない小さな製造業は、カタログの機械で作業を置きかえるなら省力化投資補助金、増産分で新しい注文を取るなら持続化補助金が合います。採択事例で入れた設備と減った作業時間、制度の選び方を整理しました。
この記事の目次
人手が足りない小さな製造業は、カタログに載った機械で1つの作業を置きかえるなら省力化投資補助金のカタログ注文型、工程に合わせた専用の設備なら一般型が合います。
持続化補助金でも機械は買えますが、増えた生産量で新しい注文を取る販路開拓の計画が前提です。人手を減らすことだけが目的の計画は、持続化補助金では組めません。
従業員が数人から20人ほどの工場で、手作業に人を取られて注文を受けきれず、補助金で設備を入れたいと考えている方に向けた記事です。持続化補助金と省力化投資補助金の採択事例で、どんな機械を入れてどれだけ作業が減ったかと、制度の選び方を整理します。
人手不足の工場に合う補助金は3つ
人手不足を設備で補う小さな製造業が使えるのは、省力化投資補助金のカタログ注文型と一般型、持続化補助金の3つで、置きかえたい作業の大きさと設備の形で選びます。
| 補助金 | 合う設備 | 補助上限(従業員6〜20人) |
|---|---|---|
| 省力化投資補助金 カタログ注文型 | カタログに登録された製品(製箱機、自動倉庫、清掃ロボットなど) | 従業員6~20人:750万円(大幅な賃上げを行う場合1,000万円) |
| 省力化投資補助金 一般型 | 工程に合わせて組み合わせる専用設備やシステム | 従業員6~20人:1,500万円(特例適用時2,000万円) |
| 持続化補助金 | 新しい注文に応えるための小さめの機械(販路開拓とセット) | 50万円(特例で上乗せあり) |
出典:中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領 第8回公募 p.9『1-4(1)② 補助上限額』台帳で見る
持続化補助金の対象は小規模事業者で、製造業は常時使用する従業員20人以下です。従業員の数え方は常時使用する従業員の判断基準で取り上げています。
カタログ注文型で作業を置きかえた工場
カタログ注文型は、登録された製品の中から選んで買う方式で、1つの作業に人が張り付いている工場ほど効果が数字で出ます。
採択事例では、製品ごとに合う箱を探して切って折る梱包作業に1日5時間以上かかっていた金属製品の工場が、段ボール製箱機を入れて、1箱を作る時間を10分以上から約1分にしました(中小機構 生産性革命推進事業 活用事例)。梱包が工程のつまりになっていた工場で、つまりを1台の機械で外した形です。
カタログ注文型の申請は販売事業者と共同で行い、採択と同時に交付決定が出ます。手続きは「中小企業等と販売事業者が共同で交付申請(ファイナンス・リースの場合は対象リース会社も)」と決まっています1。製品と販売事業者の選び方は省力化投資補助金カタログ注文型の申請方法で取り上げています。
一般型で専用の設備を入れた工場
一般型は、工程に合わせて機械を組み合わせる「オーダーメイド」の設備に使う方式で、何人分の作業が減るかを省力化指数として計画に書きます。
大きな鋼板を曲げるのに最低4人で支える必要があり、受注を見送ることもあった機械器具の工場は、一般型でハイブリッドドライブベンダーを入れ、曲げ作業を4人から2人でできるようにしました(中小機構 生産性革命推進事業 活用事例)。人が足りずに断っていた仕事を受けられるようになった点が、計画の筋になっています。
一般型の要件は「人手不足の解消に向けてオーダーメイド設備等を導入する事業計画。汎用設備を単体で導入する事業は対象外(組み合わせ等で高い効果を生む場合はオーダーメイド設備とみなす)」です2。審査と採択後の流れは省力化投資補助金 一般型の審査と採択後の流れで取り上げています。
持続化補助金で増産と販路を両立した工場
持続化補助金で人手不足に効いた機械を入れた工場は、空いた時間と増えた生産量を、新しい取引先や大口注文の獲得につなげる計画にしています。
- 部品の洗浄を機械にした金属加工の工場:手作業の洗浄と移動に時間がかかっていたため、高性能コンプレッサーと自動洗浄機を入れ、部品1個の洗浄時間を20秒から3秒にしました。増えた処理能力で自動車部品の受注を増やしています。
- 保管と包装を増やした豆腐の製造所:製造工程につまりがあって増産できなかったため、大容量の冷蔵庫と真空包装機を入れ、豆腐の保管量を1,500個から3,000個に増やしました。
- 手作りのルアーを作る工房:月20個ほど作ってもすぐ売り切れていたため、製作の機材をそろえ、月100個ほど作れるようにしました。
持続化補助金の交付規程は目的を「第3条(交付の目的):物価高騰・賃上げ・インボイス導入などの制度変更に対応するため、生産性向上につながる経営計画にもとづく販路開拓等の経費の一部を補助する。」としていて、機械を買う計画も販路開拓につながる形で書く必要があります。製造業の持続化補助金の採択事例は製造業の持続化補助金で業種ごとに取り上げています。
専門家から見た設備選びのポイント
人手不足の設備は、まず「どの作業に、毎日何人が、何時間張り付いているか」を書き出し、いちばん長い作業を1台で置きかえられるかで制度を決めると迷いません。
採択事例を見ると、製造業の事例のうち課題が「生産性・人手不足」だった割合は、持続化補助金で12.2%、新事業進出・ものづくり補助金で59.2%です。持続化補助金で採択された製造業の多くは、人手の話より販路の話を軸にしていて、制度の目的に合わせて計画の書き方が変わっています。
省力化投資補助金が向いている工場
梱包・洗浄・搬送のように、同じ作業を毎日長い時間くり返していて、機械を入れると人の手がそのまま空く工場です。空いた人を別の工程や営業に回す計画を書くと、労働生産性を上げる要件ともつながります。
持続化補助金を考えたほうがよい工場
作業を速くしたい理由が「注文を断っている」「売り切れて作れない」で、増やした分を売る先がすでに見えている小さな工房や食品の製造所です。機械と一緒に、新しい取引先に向けたパンフレットや展示会の出展を計画に入れます。
経費ごとの採択事例は持続化補助金で機械・設備を導入した採択事例でも探せます。
間違えやすい点
人手不足の設備投資で間違えやすいのは、制度の目的、汎用品の扱い、新事業進出・ものづくり補助金の対象の3つです。
新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠は「革新的な新製品・新サービス開発が対象。既存の製品・サービスの生産等のプロセスの改善・向上を図る事業は補助対象外」としています。今の製品を作る工程を速くするだけの設備は、この枠では対象になりません。
省力化投資補助金の一般型は「汎用性があり目的外使用になり得るもの(事務用のパソコン・プリンタ・スマートフォン・タブレット端末等)」を対象外としています。作業の記録に使うタブレットやパソコンは、設備と一緒でも補助の外になります。
持続化補助金で単価50万円(税抜き)以上の機械を買うと、処分制限財産になります。耐用年数の間は、承認なしに売ったり別の事業所へ移したりできません。
補助金で買った財産の扱いは省力化投資補助金の対象者と経費ルールでも取り上げています。
よくある質問
従業員が数人の町工場でも省力化投資補助金を使えますか?
使えます。カタログ注文型も一般型も、従業員の数ごとに補助上限が決まっていて、5人以下の区分もあります。ただし一般型は、応募の時点で従業員が0人の事業者を対象外としています。
持続化補助金と省力化投資補助金を同時に使えますか?
同じ設備に2つの補助金を重ねることはできません。別々の設備で、それぞれの要件を満たす計画なら申請を考えられますが、重ならないことを事前に確かめます。
中古の機械は対象になりますか?
持続化補助金では、購入単価50万円(税抜き)未満で、2者以上の中古品販売事業者から見積を取れば対象になります。省力化投資補助金のカタログ注文型では、中古品は対象外です。
人を減らす計画だと審査で不利になりますか?
省力化投資補助金は人手不足の解消が目的なので、作業時間を減らす計画そのものが審査の中心です。持続化補助金では、減らした時間で何を売るかまで書かないと、制度の目的と合いません。
出典(2件)
- 中小企業省力化投資補助事業 カタログ注文型 公募要領 p.16『3-3 交付申請』
- 中小企業省力化投資補助事業 一般型 公募要領 第8回公募 p.12『1-5(2) その他の要件』
参考資料
- 中小企業基盤整備機構「省力化投資補助金 一般型 第8回 公募要領」
- 中小企業基盤整備機構「省力化投資補助金 カタログ注文型 公募要領」
- 全国商工会議所「持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区)」
- 全国商工会議所「持続化補助金 通常枠 交付規程(2026年3月6日改定)」
- 中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領」
- 中小企業基盤整備機構「生産性革命推進事業 活用事例(段ボール製箱機)」
- 中小企業基盤整備機構「生産性革命推進事業 活用事例(ハイブリッドドライブベンダー)」
- 公募要領の台帳(省力化投資補助金)
- 公募要領の台帳(持続化補助金)
- 公募要領の台帳(新事業進出・ものづくり補助金)
確認日:2026年10月17日
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