省力化投資補助金カタログ注文型の申請方法|販売事業者と製品の選び方
この記事の要点
省力化投資補助金カタログ注文型は、登録製品を販売事業者と共同申請し、補助率1/2以下・上限500万〜1,500万円。人手不足の社長向けに、製品の探し方、共同申請の手順、人手不足要件の証明、2027年3月末頃までの期限をまとめます。
この記事の目次
省力化投資補助金のカタログ注文型は、人手不足の中小企業と個人事業主が、事務局のカタログに載った省力化製品を買うときに使える補助金です。
補助率は1/2以下、上限は従業員数に応じて500万〜1,000万円(大幅な賃上げをする場合は750万〜1,500万円)で、製品を扱う販売事業者と共同で申請します。
申請は締切のない随時受付で、受付は2027年3月末頃までの予定です。
配膳ロボットや自動精算機、清掃ロボットのような既製品を入れて人手不足を補いたいものの、どこで製品を探し、誰と何を準備すればよいかわからない社長に向けた記事です。製品と販売事業者の選び方、共同申請の手順、人手不足の要件と証明書類、申請期限までを、カタログ注文型の公募要領(改訂No.11、令和8年3月19日)をもとにまとめます。
省力化投資補助金のカタログ注文型とは?登録製品を販売事業者と一緒に申請する補助金
省力化投資補助金のカタログ注文型は、事務局のカタログに登録済みの汎用製品を、登録済みの販売事業者と共同で申請して導入する補助金です。中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が実施し、オーダーメイドの設備を対象にする一般型とは申請の仕組みが分かれています。
カタログ注文型のカタログとは、人手を減らしても同じかそれ以上の付加価値を生み出せると審査された製品のリストです。製品は工業会と事務局の審査を経て登録され、販売事業者も事務局と外部審査委員会の審査を経て登録されます。申請する会社は、このリストの中から製品と販売店を選ぶ形になります。
カタログ注文型の補助率と補助上限額を、従業員数ごとに並べた表です。
| 従業員数 | 補助率 | 補助上限額 | 大幅な賃上げをする場合の上限額 |
|---|---|---|---|
| 5人以下 | 1/2以下 | 500万円 | 750万円 |
| 6〜20人 | 1/2以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 21人以上 | 1/2以下 | 1,000万円 | 1,500万円 |
出典:中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領 p.8『2-1.(1)補助率及び補助上限額』
大幅な賃上げとは、申請時と比べて事業場内最低賃金(その事業場で一番低い時給)を3.0%以上、給与支給総額を6%以上増やす計画を立て、申請時に従業員へ表明することです。達成できなかった場合は、引き上げ前の上限額で計算した補助額まで減らされます。上限は交付申請時点の従業員数で決まり、補助額が25万円未満になる申請はできません(借用の場合を除く)。賃上げ要件の詳しい中身は省力化投資補助金の賃上げ要件、一般型との違いは省力化投資補助金の申請類型で整理しています。
製品カタログはどう探して選ぶ?事務局サイトの3つの検索と5つの確認点
製品は事務局サイトの「製品カタログ」から、製品カテゴリ検索、製品カタログ検索、販売事業者検索のどれかで探します。候補が見つかったら、業種、金額、申請単位の条件に合うかを確かめてから販売事業者に連絡します。
探し方の手順
- 事務局サイトの「カタログ注文型」から「製品カタログ」を開きます。
- 「製品カテゴリ検索」で、自社の業務に近いカテゴリを選びます。カテゴリは「ある業務に使う、似た効き目の製品」のまとまりです。
- 製品名やメーカーから探す場合は「製品カタログ検索」、近くの販売店から探す場合は「販売事業者検索」を使います。
- カテゴリの全体像は、事務局が公開している製品カテゴリのPDFでも確認できます。
- 候補の製品ページにある「販売事業者一覧」から販売店を選び、掲載されたサポート窓口に電話かメールで連絡します。
検索画面に出てくるのは、製品登録と詳細情報の登録まで終わった製品だけです。カタログへの登録は受付終了の半年前程度まで随時行われるため、探している製品が今は無くても、後から追加される場合があります。カテゴリ登録や製品登録の相談はカタログ登録サポートセンター(03-6746-1530、平日9:30〜17:30)が受け付けています。
候補を選ぶときに確かめる5つの条件
製品を決める前に確かめておきたい条件を、公募要領から抜き出した表です。
| 確認すること | 公募要領のルール | 当てはまらないと |
|---|---|---|
| 製品に紐付いた業種 | 製品の業種のうち1つ以上が自社の業種と一致 | 補助対象外 |
| 製品本体の単価 | 購入なら1台50万円以上 | 補助対象外 |
| 1回の申請で選べる製品 | 1種類だけ(複数種類は不可) | 申請できない |
| 製品ごとの補助上限額 | 製品ごとに登録された額が上限 | 購入価格がその2倍を超えると補助率は1/2未満 |
| 導入経費(設置・運搬・設定) | 製品本体価格の2割まで | 超えた分は自己負担 |
出典:中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領 p.10『2-2.補助対象経費』
たとえば製品本体が400万円なら、設置や運搬、マスタ設定などの導入経費は80万円までが対象です。中古品、交付決定前に買った製品、消費税は対象になりません。対象になる製品の考え方はカタログ製品の対象要件でも整理しています。
販売事業者との共同申請はどう進む?連絡から入金まで8つの手順
共同申請は、会社が販売事業者に申請したい旨を伝え、2社で事業計画を作り、販売事業者からの招待で会社が申請フォームに入る流れです。申請の主体はあくまで中小企業側で、販売事業者は計画づくりと導入の支援役を担います。
- GビズIDプライム(国の電子申請の共通ID)を取得します。発行に時間がかかることがあるため、製品探しと同時に申し込みます。
- カタログから製品を選びます。
- 製品ページの「販売事業者一覧」から販売事業者を選んで連絡します。
- 販売事業者が、自社と事業計画が要件に合うかを確認し、共同申請に同意します。
- 2社で事業計画を作ります。販売事業者が「省力化効果判定シート」を用意し、会社は決算書や人手不足の書類をそろえます。
- 共同事業実施規約と宣誓書に同意し、販売事業者からの招待を受けて、会社が専用フォームから交付申請します。
- 審査を経て、採択と同時に交付決定(事務局から「この内容で補助します」と正式に通知されること)が出ます。そこから原則12か月以内に、発注、納品、銀行振込での支払い、実績報告まで終えます。
- 事務局が補助額を確定し、請求をすると補助金が支払われます。その後3年間、毎年の効果報告が続きます。
出典:中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領 p.17『3-3.交付申請』
販売事業者を選ぶときに見ておくこと
販売事業者は、申請と事業の実施について会社と連帯して責任を負う立場です。共同申請した会社の多くで生産性の目標が大きく届かない場合や、実態とかけ離れた目標を立てた場合は、販売事業者の登録取消や名前の公表があり得ます。計画の数字を一緒に詰めてくれるか、導入後の操作説明や保守まで面倒を見てくれるかを、最初の打ち合わせで確かめておきます。
値引きの持ちかけにも気をつけます。ポイントやクーポン、キャッシュバック、現金の払い戻しで自己負担を実質的に減らす売り方は、補助金の目的に反する行為として扱われます。発覚すると交付決定の取消しや事業者名の公表につながるため、「実質無料」をうたう提案には乗らないようにします。
交付決定の通知を受ける前に、契約、発注、支払いをした製品は補助の対象になりません。理由を問わず事前着手は認められないため、販売店から「先に押さえておきましょう」と言われても、交付決定を待ちます。詳しくは交付決定前の発注がNGな理由にまとめています。
人手不足の要件は4つの状態から1つを選び、書類で示す
人手不足の要件は、残業時間、従業員の減少、求人の未充足、その他の4つのうち1つに当てはまることを選び、指定の書類で示すものです。4つ目の「その他」を選ぶと審査が厳しくなり、結果の通知が大幅に遅れる可能性があります。
4つの状態と、それぞれを示す書類を対応させた表です。
| 選ぶ状態 | 具体的な基準 | 証明に使う書類 |
|---|---|---|
| ①残業が多い | 直近の従業員の平均残業時間が30時間を超えている | 指定様式「時間外労働時間」 |
| ②人が減った | 整理解雇ではない離職・退職で、従業員が前年度比5%以上減った | 指定様式「従業員減少の確認用」 |
| ③採用できない | 求人を出したが埋まらなかった | 求人サイトのキャプチャ等(申請日から1年以内の求人情報) |
| ④その他 | ほかの理由で省力化を進める必要に迫られている | 追加書類を求められる場合あり |
出典:中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領 p.16『3-2.(2)人手不足の状態にあることの確認』
パートやアルバイトが中心で「常時使用する従業員」が少ない会社は、②の従業員数を総労働時間に置きかえられます。その場合は、直近1年のうちに月の総労働時間が前年同月より5%以上減っていることが基準です。どれにも当てはまりそうな場合は、書類で数字を示しやすい①か③を選ぶと、④より審査の見通しが立てやすくなります。
人手不足とは別に、全従業員の賃金が地域別最低賃金を超えていることも要件です。判定には、交付申請の直近月と実績報告の直近月の最低賃金が使われます。
申請はいつまで?受付は2027年3月末頃までの予定
カタログ注文型は締切日を決めた公募回がなく、受付期間中であればメンテナンス時間を除いていつでも申請できます。公募要領では受付期間を令和9年(2027年)3月末頃までとしており、2026年3月19日の制度改定で「2026年9月末頃まで」から延びました。
今後の日程と、申請後にかかる期間を並べた表です。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年10月19日(月)10:00〜18:00頃 | システムメンテナンス(申請マイページなどが停止する予定) |
| 申請からおおむね1〜2か月 | 採択・交付決定の目安 |
| 交付決定から原則12か月以内 | 発注、納品、支払い、実績報告まで |
| 2027年3月末頃 | 申請受付の終了予定 |
| 2027年9月末 | 登録製品・販売事業者の登録有効期間の終了 |
出典:中小企業省力化投資補助金 事務局サイト「応募・交付申請スケジュール(カタログ注文型)」(2026年10月13日確認)
受付終了の直前は申請が集中しやすく、採択までの期間も読みにくくなります。製品探し、GビズIDの取得、書類集めにも時間がかかるため、導入したい時期から逆算して早めに動き始めます。受付期間や上限額は公募回や改定ごとに変わるため、最新の公募要領で確認が必要です。
この補助金のポイント
カタログ注文型は、既製品1台で人手の足りない業務を置きかえられる会社に向いており、採択の可能性は省力化の効果と賃上げをどこまで数字で示せるかで変わります。
向いている会社
配膳、清掃、精算、検品のように、手作業の時間が多い業務がはっきりしている会社です。公募要領も、カタログから選んで導入する「簡易で即効性がある省力化投資」を狙いに掲げています。一方で、農業・林業・漁業、不動産賃貸や駐車場経営は対象外です。
採択の可能性を高める点
公募要領が挙げる審査の着眼点は2つです。1つは、省力化の効果が合理的に説明され、浮いた時間で新しい取り組みや付加価値の高い業務に移るなど、工数削減以上の効果が見込めるかどうかです。もう1つは、大幅な賃上げを含めて賃上げに前向きかどうかです。
事業計画では、製品の使い方、期待できる省力化の効果、浮いた時間と人員の使い道の3点を説明します。「1日3時間の配膳作業が減り、その時間を予約対応とメニュー開発に回す」のように、時間と使い道を具体的に書くと効果の説明が通りやすくなります。労働生産性は、補助事業後3年間で年平均3.0%以上伸ばす計画が必要です。
労働生産性は(営業利益+人件費+減価償却費)÷従業員数で計算します。3年後に申請時の約1.1倍になれば、年平均の伸びは約3.2%です。
よくある失敗
- 交付決定の前に発注や支払いをしてしまい、補助対象から外れる。
- デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)で同じ業務プロセスに導入済み、または申請中なのに、同じ業務へ省力化製品を入れようとする。
- 製品の補助額(導入経費を含む)が500万円以上なのに、補助額以上の保険・共済に入らず、実績報告で証明書類を出せない。
- 賃上げで上限を引き上げたのに、効果報告の時点で賃金を下げてしまい、返還を求められる。
出典:中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領 p.22『4-4.審査の着眼点』
ものづくり補助金の交付決定から10か月たっていない会社や、過去3年間にものづくり補助金の交付決定を2回以上受けた会社も対象外です。ほかの補助金との組み合わせは補助金の併用で整理しています。数字の根拠は公募要領の台帳にまとめています。
よくある質問
カタログ型は販売事業者と一緒に申請するのですか?
はい、カタログ注文型は会社と販売事業者の共同申請です。製品ページの販売事業者一覧から選んだ販売店と事業計画を作り、販売店からの招待を受けて会社が専用フォームから申請します。申請の主体は会社側で、販売店は計画づくりと導入の支援を受け持ちます。
カタログ注文型はいつまで申請できますか?
受付は2027年3月末頃までの予定です。締切日のある公募回はなく、システムメンテナンスの時間を除いて随時申請できます。採択・交付決定までおおむね1〜2か月かかるため、導入したい時期から逆算して準備します。
カタログ注文型の製品はどうやって探して選べばいいですか?
事務局サイトの「製品カタログ」で、製品カテゴリ検索、製品カタログ検索、販売事業者検索のいずれかを使って探します。候補が見つかったら、自社の業種が製品の業種と一致するか、本体が1台50万円以上か、製品ごとの補助上限額はいくらかを確かめます。1回の申請で選べるのは1種類の製品だけです。
カタログ注文型の「人手不足」の要件は何ですか?
平均残業時間が30時間超、離職で従業員が前年度比5%以上減少、求人を出したが埋まらない、その他、の4つから1つを選んで示す要件です。それぞれ指定様式の書類や、申請日から1年以内の求人情報のキャプチャで証明します。「その他」を選ぶと審査が厳しくなり、結果の通知が大幅に遅れる可能性があります。
従業員がいない個人事業主でも申請できる?
申請はできますが、常勤の従業員がいない場合は、事業の実態を確かめる追加審査があります。事業に関する契約書など、事業活動を示す書類の提出が必要です。2回目以降の申請は、申請時点で常勤従業員がいないと最低賃金の引上げ要件を満たせないため、申請できません。
申請サポートの費用は補助の対象になる?
対象になりません。補助金の申請や報告にかかる代行費は、導入経費の対象外と公募要領に明記されています。申請サポートを頼む場合の考え方は申請サポートの費用にまとめています。
ほかの質問はよくある質問(省力化投資補助金)にまとめています。
まとめ
カタログ注文型の準備は、GビズIDプライムの申し込みと、人手不足を示す数字(残業時間、従業員数の推移、求人の記録)の確認から始めると手戻りが少なくなります。製品は業種の一致と製品ごとの上限額を確かめてから選び、販売事業者とは計画の数字と導入後の支援まで話し合っておきます。自社が使えるか、どの製品なら採択の可能性を高められるかは、専門家がお答えします。
参考資料
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領」改訂No.11(令和8年3月19日)
- 中小企業省力化投資補助金 事務局「製品カタログ(カタログ注文型)」
- 中小企業省力化投資補助金 事務局「申請の流れ(カタログ注文型)」
- 中小企業省力化投資補助金 事務局「応募・交付申請スケジュール(カタログ注文型)」
- 中小企業省力化投資補助金 事務局「制度改定のご案内(2026年3月19日)」
- デジタル庁「GビズID」
確認日:2026年10月13日
中小企業診断士 神谷 恒一が内容を確認しました(2026年10月13日)。
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