創業1期目で決算書がない会社の補助金申請|制度ごとの代わりの書類
この記事の要点
決算期を一度も迎えていない会社でも、持続化補助金や新事業進出・ものづくり補助金の一部の枠は、登記簿や開業届で決算書に代えて申請できます。代わりが認められる制度と認められない制度、法人成りや短い決算期の扱いを整理しました。
この記事の目次
決算期を一度も迎えていない会社でも、持続化補助金は売上台帳や登記事項証明書で、新事業進出・ものづくり補助金の革新的枠とグローバル枠は登記簿(個人は開業届)で、決算書の代わりにできます。
一方で、新事業進出・ものづくり補助金の新事業進出枠は1期分、事業承継・M&A補助金は3期分の決算が終わっていることが条件で、デジタル化・AI導入補助金も直近の決算書と納税証明書がそろわなければ申請できません。
会社を作ったばかり、または開業して最初の確定申告がまだで、決算書のない状態で補助金に申請できるかを知りたい方に向けた記事です。
持続化補助金、新事業進出・ものづくり補助金、省力化投資補助金、デジタル化・AI導入補助金、成長加速化補助金、事業承継・M&A補助金の公募要領とよくある質問から、決算書の代わりに出せる書類を並べます。
創業1期目に使いやすい持続化補助金とは?
小規模事業者持続化補助金は、従業員の少ない会社や個人事業主が、販路を広げる取り組みの費用の一部を補助する制度です。決算期を迎える前の事業者向けに、決算書の代わりの書類がはっきり決められています1。
| 申請する人 | 決算期を迎える前に出す書類 |
|---|---|
| 法人 | 法人は貸借対照表と損益計算書(直近1期分)の写し。損益計算書がない場合は確定申告書(表紙と別表四)の写し。決算期未到来なら開業以降の売上台帳等の写し |
| 法人(登記の書類) | 現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書(申請書の提出日から3か月以内の日付の原本)。法人は決算期を一度も迎えていない場合のみ、NPOは必須 |
| 個人事業主 | 個人で決算期を一度も迎えていない場合のみ、開業届の写しと開業以降の売上台帳等の写しを提出。開業日の記載がない開業届は無効 |
出典:持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区) p.27『11.申請に必要な書類』台帳で見る
創業して間もない事業者には、特定創業支援等事業の支援を受けたことを条件にした創業型もあります。創業1年目から使える制度の全体は創業1年目から使える補助金で取り上げています。
決算書の代わりが認められる補助金は?
決算書が1期分もない会社が申請できるかは、制度と枠で分かれます。
| 制度・枠 | 決算書がないとき |
|---|---|
| 持続化補助金(通常枠・創業型) | 売上台帳・開業届・登記事項証明書で代えられる。創業型は事業を始める前なら売上台帳を実績報告のときに出す |
| 新事業進出・ものづくり補助金(革新的枠・グローバル枠) | 法人は履歴事項全部証明書、個人は開業届で代えられる。労働者名簿の写しは別に要る |
| 新事業進出・ものづくり補助金(新事業進出枠) | 1期分の決算書が要る。創業から1年に満たない事業者は対象外(個人事業主からの法人成りは例外あり) |
| 省力化投資補助金(一般型) | 決算書は直近2期分、2期ない場合は1期分。納税証明書も最低1期分が要る |
| デジタル化・AI導入補助金 | 直近分の決算書(個人は確定申告書)と納税証明書が要る。用意できなければ申請できない |
| 成長加速化補助金 | 決算書は3期分。足りない期は白紙のPDFを入れる |
| 事業承継・M&A補助金 | 法人は申請の時点で3期分の決算と申告が終わっていることが条件 |
出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 よくあるご質問 p.1『よくあるご質問 Q73』
中小企業省力化投資補助事業(一般型)応募申請の手引き(第8回公募) p.64『7-4 提出書類2』台帳で見る
中小企業成長加速化補助金(3次公募)公募要領 p.20『7.<提出書類一覧表>④決算書等』台帳で見る
事業承継・M&A補助金 16次 事業承継促進枠 公募要領 p.12『6.1.(2)事業承継の要件』台帳で見る
デジタル化・AI導入補助金のよくある質問(No.16)は、開業したばかりの事業者も、要件を満たして必要な書類が用意できれば申請できるとしています。登記簿や納税証明書の取り方と有効期限は補助金申請で用意する公的書類一覧で取り上げています。
法人成りして1期目の会社はどう扱われる?
個人事業主から会社にしたばかりの場合、法人としての決算書はなくても、個人事業の実績が使えることがあります。新事業進出・ものづくり補助金のよくある質問は、事業の引継ぎを事務局が確かめられれば、個人事業主の実績を含めて判定するとしています。
その場合に出すのは、法人の決算書(決算前なら不要)、承継の契約書の写し、廃業届、履歴事項全部証明書、青色申告決算書2期分です。一方で、過去に補助金の交付決定を受けた個人事業主が作った会社は、同じ事業者とみなされます2。
法人成りの前後で申請の時期をどう選ぶかは法人成りと補助金で取り上げています。
12か月に満たない決算期の数字はどう書く?
最初の決算期が半年だけ、といった短い期しかない会社は、計画の数字の書き方に決まりがあります。
- 省力化投資補助金(カタログ注文型):直近1期が1年未満なら、1年分の数字に直して計画を作ります。
- 成長加速化補助金:12か月に満たない決算期は、売上高の判定に使う「直近決算期」「直近3期分」に入れません。
賃上げの要件に使う1人あたり給与支給総額も、短い決算期の扱いが決まっています。省力化投資補助金の一般型の手引きは「直近決算期の1人当たり給与支給総額の従業員数は、12か月全月に給与を支払った人数で数える(決算期が1年未満ならその期間の全月分)」と定めています3。給与支給総額の中身は給与支給総額に入るもの・入らないもので取り上げています。
専門家から見た創業1期目の申請のポイント
持続化補助金の採択者を法人番号の有無で見ると、法人番号のない個人事業主などが51.8%を占めます。決算書がそろっていない小さな事業者でも、採択される余地は十分にあります。
1期目のうちに申請するのが向いている会社
開業の準備で看板やホームページ、チラシに費用がかかる会社です。持続化補助金は売上台帳で申請でき、創業型なら開業届を出したあとの開店準備中でも、特定創業支援等事業の支援を受けていれば申請できます。
最初の決算を待つか迷う会社
設備投資の額が大きく、新事業進出枠や省力化投資補助金を考えている会社です。1期分の決算書がないと申請できない枠が多く、決算を終えてから出す方が選べる制度が広がります。融資と補助金の順番は創業融資と補助金は同時に使える?で取り上げています。
間違えやすい点
決算書の代わりの書類は、細かな条件で無効になることがあります。
持続化補助金では、開業日が書かれていない開業届は無効です。税務署に出した控えに開業日が入っているかを、申請の前に確かめます。
決算期を一度でも迎えたら、売上台帳では代えられません。持続化補助金の個人事業主は、所得の額にかかわらず確定申告書の写しを出します。申請の直前に決算期が来る会社は、決算の確定を待ってから書類をそろえます。
登記簿は、制度によって「履歴事項全部証明書」を指定し、「現在事項全部証明書」では不備になるものがあります。公募要領のどこで書類の指定を確かめるかは公募要領の読み方で取り上げています。
よくある質問
売上がまだない開店準備中でも申請できますか?
持続化補助金の創業型は、開業届を出したあと事業を始める前なら、売上台帳を実績報告のときに出せばよいとしています。通常枠は、開業届の開業日が申請日より後の創業予定者を対象外にしています。
決算書の代わりに試算表を出してもよいですか?
公募要領が認める代わりの書類は、売上台帳・開業届・登記事項証明書などに限られます。試算表は、計画の数字の根拠として添える使い方にとどめます。
1期目の決算が赤字でも申請できますか?
この記事で取り上げた補助金に、赤字だけを理由に申請できないと定めた制度はありません。事業承継・M&A補助金の売り手支援類型のように、直近の決算が赤字だと補助率が上がる類型もあります。
納税証明書が1期分しかない場合はどうしますか?
ほかの質問も見る補助金のよくある質問出典(3件)
- 持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区) p.27『11.申請に必要な書類』
- 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.10『1-2. 補助対象事業枠(注意事項)』
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)応募申請の手引き(第8回公募) p.24『2-1 応募申請時の直近決算期について』
参考資料
- 持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区)
- 持続化補助金 創業型 第4回 公募要領 第8版
- 中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領」
- 新事業進出・ものづくり補助金「よくあるご質問」
- 省力化投資補助金 一般型「応募申請の手引き(第8回公募)」
- 省力化投資補助金 カタログ注文型「よくあるご質問」
- デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠「よくあるご質問」
- 中小企業成長加速化補助金(3次公募)公募要領
- 事業承継・M&A補助金「16次 事業承継促進枠 公募要領」
- 公募要領の台帳(持続化補助金)
- 公募要領の台帳(新事業進出・ものづくり補助金)
- 公募要領の台帳(省力化投資補助金)
- 公募要領の台帳(成長加速化補助金)
- 公募要領の台帳(事業承継・M&A補助金)
確認日:2026年10月17日
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