省力化投資補助金の対象者と経費ルール|リース・中古・2回目申請の扱い
この記事の要点
省力化投資補助金は、従業員0名ならカタログ注文型だけ申請でき、中古品はどちらの型も対象外です。設置費・運搬費の上限、リースの共同申請、2回目申請の累計上限まで、中小企業・個人事業主向けにカタログ注文型と一般型の違いを表で比べます。
この記事の目次
省力化投資補助金は、中小企業と個人事業主が人手不足を補う設備を入れるときに使える補助金で、カタログ注文型と一般型の2つの型があります。
補助上限はカタログ注文型が500万〜1,000万円(賃上げで最大1,500万円)、一般型が750万〜8,000万円(特例で最大1億円)です。
一般型の第8回は2026年10月16日(金)17:00締切、カタログ注文型は2027年3月末頃まで随時受付の予定で、従業員0名・リース・中古・2回目申請のルールは型ごとに違います。
省力化の設備を入れたいけれど、従業員がいない、リースで入れたい、中古で安く済ませたい、前にも使ったことがある。こうした事情があると、使えるかどうかの判断で手が止まります。この記事では、カタログ注文型と一般型の公募要領をもとに、対象者・対象経費・リース・中古・2回目申請のルールを型ごとに並べます。
省力化投資補助金の対象者は?従業員0名で申請できるのはカタログ注文型だけ
省力化投資補助金の対象は日本国内で事業を営む中小企業等と個人事業主で、従業員0名でも申請できるのはカタログ注文型だけです。
省力化投資補助金には、事務局のカタログに載った製品を販売事業者と一緒に申請する「カタログ注文型」と、自社の現場に合わせた設備やシステムを申請する「一般型」があります。会社の規模の基準は2つの型で同じで、業種ごとに資本金か常勤従業員数のどちらかが次の数字以下なら中小企業にあたります。
中小企業にあたるかどうかを業種ごとに判定する基準の表です。
| 業種 | 資本金 | 常勤従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業 | 3億円 | 300人 |
| 卸売業 | 1億円 | 100人 |
| サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
| 小売業 | 5,000万円 | 50人 |
| ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
| 旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
| その他の業種 | 3億円 | 300人 |
ここでいう常勤従業員は、解雇するときに予告が必要な人を指します。日雇いの人、2か月以内の期間を決めて雇う人、試用期間中の人は数えません。一般型の公募要領は、代表取締役や専従者など常勤従業員にあたらない人を常勤従業員に含めていた場合、採択取消になることがあると書いています。
従業員がいない場合の扱い
従業員0名の会社や、社長1人の個人事業主の扱いは、型によって正反対です。
従業員がいない事業者が申請できるかを、型ごとに比べた表です。
| 項目 | カタログ注文型 | 一般型 |
|---|---|---|
| 常勤従業員0名での申請 | できる(事業の契約書など、事業活動を示す書類を出して追加の審査を受ける) | できない(従業員0名、または1人当たり給与支給総額の計算対象になる従業員が0名の場合) |
| 常勤従業員がいない場合の上乗せ | 2回目以降の申請はできない | 大幅賃上げ特例(上限の引き上げ)と最低賃金引き上げ特例(補助率2/3への引き上げ)は使えない |
一般型の「給与の計算対象になる従業員」は、その事業年度の全月分の給与を受け取った人です。たとえば、年度の途中で初めて人を雇った場合は、その年度は計算対象から外れます。
出典:中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領 p.12『2-3.補助対象者』、中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募) p.19『2-2.補助対象外となる事業者』
設置工事費や運搬費は対象になる?型ごとに入れ方と上限が違う
設置作業費と運搬費はどちらの型でも対象ですが、カタログ注文型は製品価格の2割まで、一般型は基礎工事を含まないという違いがあります。
カタログ注文型では、製品の設置作業、運搬費、動作確認、マスタ設定(機械に商品名や価格などの初期データを登録する作業)をまとめて「導入経費」として申請します。導入経費の上限は、交付申請した製品本体価格の2割です。たとえば製品本体価格が400万円なら、導入経費は80万円までになります。
一般型では、機械の設置と一体の軽微な据付け(設置場所への固定など)は「機械装置・システム構築費」に入ります。購入時の機械の運搬料も同じく機械装置・システム構築費に含め、それ以外の運搬料や郵送料は「運搬費」として計上します。
設置・運搬にかかる費用の扱いを、型ごとに並べた表です。
| 費用 | カタログ注文型 | 一般型 |
|---|---|---|
| 設置作業・据付け | 導入経費として対象 | 設置と一体の軽微なものだけ対象(機械装置・システム構築費) |
| 運搬費 | 導入経費として対象 | 購入時の運搬料は機械装置・システム構築費、それ以外は運搬費として対象 |
| 設置場所の整備工事・基礎工事 | 製品の導入と関連のない設置作業は対象外 | 対象外 |
| 上限 | 製品本体価格の2割(補助額も製品本体の補助額の2割まで) | 機械装置・システム構築費以外の経費は合計500万円(税抜)まで |
カタログ注文型は、導入経費だけの申請はできません。製品をレンタル(賃貸借)で入れる場合も、導入経費は対象外です。一般型で基礎工事や設置場所の整備を伴う場合は、見積の段階で据付けの費用と分けておくと、対象外の部分がはっきりします。
出典:中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領 p.11『2-2.(2)導入経費について』、中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募) p.21『3-1.補助対象経費』
リースで導入できる?ファイナンス・リースならリース会社との共同申請で使える
どちらの型も、ファイナンス・リースで入れる場合は対象リース会社と共同申請し、補助金はリース料の減額という形で戻ってきます。
対象リース会社とは、公益社団法人リース事業協会の確認を受け、中小企業と一緒に申請するリース会社です。補助金はリース会社に支払われ、会社が払うリース料から補助金相当分が差し引かれます。リース料軽減計算書(リース料がいくら減るかをリース事業協会が確認した書類)を交付申請で出します。
リースとレンタルの扱いを、型ごとに比べた表です。
| 項目 | カタログ注文型 | 一般型 |
|---|---|---|
| ファイナンス・リースの申請者 | 会社・販売事業者・対象リース会社の3者 | 会社と対象リース会社 |
| リースを使うと決める時期 | 交付申請のとき | 応募申請のときに申告(交付申請で取りやめ不可、リース会社の変更は可) |
| レンタル(賃貸借) | 年額の借料で登録された製品は12か月分の借料が対象。1年未満で解約すると交付決定取消 | 交付決定後の契約で、補助事業の期間分だけ対象(期間を超える分は按分) |
| 対象外になるもの | リースの金利・保険料、会社が払うリース料そのもの | リースの金利・保険料、会社が払うリース料そのもの |
共通の条件として、セール&リースバック(自社の設備をいったんリース会社に売って借り直す取引)、転リース、割賦契約は対象になりません。リース期間は、補助金で買った資産を勝手に売れない期間(処分制限期間)以上に設定します。一般型では、必須の「単価50万円(税抜)以上の設備投資」に、レンタルなどの借用の経費は数えません。
出典:中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募) p.24『3-3.対象リース会社との共同申請』、中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領 p.17『3-2.(6)賃貸借契約による省力化製品の導入について』
中古品は対象になる?どちらの型も補助の対象外
中古品の購入費は、カタログ注文型・一般型のどちらでも補助の対象外で、交付決定の前に買った新品も対象になりません。
たとえば、中古の食器洗浄機や中古の包装機を買って申請しても、その代金は補助されません。交付決定(事務局から「この内容で補助します」と正式に通知されること)より前の購入は、新品でも対象外です。カタログ注文型は、いかなる理由でも事前着手を認めないと書いています。
カタログ注文型では、すでに持っている製品を同じものに置き換えるだけで省力化の効果が出ない事業も対象外です。古くなった機械の買い替えで使う場合は、新しい製品で作業時間がどれだけ減るかを数字で示せるかを先に確かめます。交付決定前の発注がなぜ認められないかは、交付決定前の発注がNGな理由にまとめています。
出典:中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募) p.23『3-2.補助対象外経費』、中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領 p.11『2-2.(1)<補助対象外となる経費>』
2回目の申請はできる?カタログ注文型は累計上限、一般型は1公募回1申請
カタログ注文型は前回の補助金の入金後に累計上限の範囲で再申請でき、一般型は公募回ごとに1申請で、入金前の再申請はできません。
カタログ注文型の2回目以降
カタログ注文型の2回目は、前回の補助金の支払いが終わってから申請できます。累計の上限は、申請時点の補助上限額の2倍から、これまでに受け取った額を引いた額です。
例として、従業員5人以下で補助上限が500万円の会社なら、累計上限は1,000万円です。1回目に300万円を受け取っていれば残りは700万円ですが、1回ごとの上限は500万円なので、2回目は500万円までになります。
2回目以降は、1回目より条件が厳しくなります。
- 労働生産性(従業員1人が生む付加価値)を年平均4.0%以上伸ばす計画にする(1回目は3.0%以上)
- 前回の設備で省力化の効果が出たことを申請時に報告し、事務局の審査を受ける
- 事業場内最低賃金(その事業場で一番低い時給)を前回の交付申請時から3.5%以上上げている。前回から2年以上たっていれば7.0%以上、3年以上なら10.5%以上
- 申請時点で常勤従業員がいない場合は申請できない
- レンタルで補助を受けた製品と同じカテゴリの製品は、レンタルでは再び補助を受けられない
たとえば前回の申請時に事業場内最低賃金が時給1,000円で、2年未満で再申請するなら、1,035円以上に上がっている必要があります。
一般型の2回目以降
一般型は、同じ会社の応募は公募回ごとに1申請までで、同時に2件は出せません。一般型に応募中・交付申請中の会社と、交付決定を受けて補助金の支払いが終わっていない会社は対象外です。
ほかの補助金の利用歴でも申請できなくなります。ものづくり補助金、事業再構築補助金、新事業進出補助金の交付決定を受けて支払いが終わっていない会社と、過去3年間にこれらの交付決定を合計2回以上受けた会社は、一般型に申請できません。
出典:中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領 p.9『2-1.(3)2回目以降の申請について』、中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募) p.19『2-2.補助対象外となる事業者』
ほかに対象外になる経費は?パソコンや車両、建物も使えない
事務用パソコンのような何にでも使える物、車両、土地や建物、消費税は、型を問わず補助の対象になりません。
一般型の公募要領に挙がっている対象外経費のうち、問い合わせが多そうなものを並べます。
- 事務用のパソコン、プリンタ、スマートフォン、タブレット端末など、目的外にも使える物(その事業でしか使えないものは除く)
- 自動車などの車両、船舶、航空機(税法上の「機械及び装置」にあたるものは対象)
- 土地・建物の取得費、ビニールハウスやコンテナなどの簡易建物
- 太陽光パネルなど発電設備
- 事務所の家賃、通信費、各種保険料、借入金の利息
- すでに使っているシステムのバージョンアップ費用(新しいシステムと連携させるための改修は対象)
- 親会社・子会社や親族など、利害関係のある相手への支払い
- 消費税
カタログ注文型でも、交付決定前の購入、中古品、無償で手に入る物、消費税は対象外です。導入経費では、移動交通費・宿泊費、外注費、補助金の申請や報告の手続きを外部に頼む費用、交付申請の時点で金額が決まらない費用が外れます。補助の対象になる経費の全体は、補助金の補助対象経費・対象外経費で制度ごとに比べています。
出典:中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募) p.23『3-2.補助対象外経費』
この補助金のポイント
カタログに載っている製品で足りるならカタログ注文型、現場に合わせた設計が要るなら一般型を選ぶのが、ルール上の分かれ目です。
向いている会社
カタログ注文型が向いているのは、カタログに載っている製品をそのまま入れれば作業が減る会社です。社長1人でも申請でき、採択と同時に交付決定が出ます。手順は省力化投資補助金のカタログ注文型で詳しく書いています。
一般型が向いているのは、作業工程や工場のレイアウトに合わせて設備を組み合わせたい、従業員のいる会社です。汎用の設備やパッケージソフトを1つ入れるだけの計画は対象外で、複数を組み合わせて効果を高める場合はオーダーメイド設備とみなされます。
採択の可能性を高める点
一般型の審査では、省力化指数(業務量がどれだけ減るかの割合)、投資回収期間、付加価値額、オーダーメイド性の4つが技術面で見られます。カタログに登録されたカテゴリの製品を一般型で入れる場合は、省力化効果が見込める計画として審査で一部考慮されます。
カタログ注文型の審査は、省力化効果を合理的に説明できているかと、賃上げに積極的に取り組んでいるかの2点が着眼点です。一般型の審査や採択後の手続きは省力化一般型の審査と採択後の流れにまとめています。
一般型で、ほかの会社と同じかよく似た事業計画を出すと、1回目は次の公募回、2回目以降は次と次の次の公募回に申請できなくなります。ひな形の流用は避けてください。
よくある失敗
多いのは、交付決定の前に発注や契約をして、その設備が対象外になるケースです。一般型でリースを使うつもりなのに応募申請で申告し忘れると、交付申請の段階からはリースの共同申請を始められません。
ほかの補助金と同じ経費を重ねて申請するのも対象外です。カタログ注文型は、経費が重ならなくても、IT導入補助金と同じ業務プロセスに製品を入れる事業は対象外と定めています。併用の考え方は補助金の併用で整理しています。
出典:中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募) p.4『冒頭の重要事項』
よくある質問
設置工事費や運搬費も補助対象になる?
なります。カタログ注文型は設置作業・運搬費・動作確認・マスタ設定を「導入経費」として、製品本体価格の2割まで申請できます。一般型は軽微な据付けと購入時の運搬料を機械装置・システム構築費に含め、それ以外の運搬料は運搬費で計上します。設置場所の整備工事や基礎工事はどちらも対象外です。
リースや中古品でも使える?
ファイナンス・リースは使えますが、中古品は使えません。リースは対象リース会社との共同申請が条件で、補助金はリース料の減額として戻ります。中古品の購入費は、カタログ注文型・一般型のどちらでも対象外です。
従業員がいない個人事業主でも申請できる?
カタログ注文型ならできます。常勤従業員がいない場合は、事業の契約書などを出して追加の審査を受けます。一般型は従業員0名だと申請できず、カタログ注文型でも2回目以降は常勤従業員がいないと申請できません。
何回でも申請できる?
カタログ注文型は、前回の補助金の入金後に、補助上限額の2倍から受け取った額を引いた累計上限の範囲で何回か申請できます。2回目以降は労働生産性の目標が年4.0%以上になり、事業場内最低賃金の引き上げも条件に加わります。一般型は公募回ごとに1申請までで、前回の補助金の支払いが終わるまでは次の申請ができません。
一般型でリースを途中でやめて購入に切り替えられる?
できません。一般型で応募申請時にリースの共同申請を申告した会社は、交付申請でリースを取りやめられません。リース会社を別の会社に替えることは交付申請時にできます。
パソコンやタブレットは対象になる?
事務用のパソコンやタブレットは対象外です。何にでも使えて目的外の使い方ができる物として、一般型の公募要領で対象外経費に挙がっています。その事業でしか使えない専用の端末は除かれます。
ほかの質問はよくある質問(省力化投資補助金)にまとめています。
まとめ
従業員がいない、リースで入れたい、2回目に申請したいという会社は、型によって使える・使えないが分かれるため、先にどちらの型で申請するかを決めます。上限、補助率、締切は公募回ごとに変わるため、最新の公募要領で確認が必要です。数字の根拠は公募要領の台帳にまとめており、自社が使えるか・採択の可能性があるかは、専門家がお答えします。
参考資料
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領」改訂No.11(令和8年3月19日)
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募)」2026年8月発行(2026年9月18日改訂)
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助事業(一般型)応募申請の手引き(第8回)」2026年9月18日版(2026年10月8日改訂)
確認日:2026年10月13日
中小企業診断士 神谷 恒一が内容を確認しました(2026年10月13日)。
中小企業省力化投資補助金の関連記事
一覧へ公開 2026/10/14
要点省力化投資補助金の一般型は書面審査4観点と加点で選ばれ、一部は口頭審査あり。採択後の交付申請2か月、事業期間17か月、実績報告、入金、5年間の効果報告と返還ルールを、申請を考える中小企業向けに公募要領で整理します。
公開 2026/10/14
要点省力化投資補助金カタログ注文型は、登録製品を販売事業者と共同申請し、補助率1/2以下・上限500万〜1,500万円。人手不足の社長向けに、製品の探し方、共同申請の手順、人手不足要件の証明、2027年3月末頃までの期限をまとめます。
公開 2025/5/8
要点2025年度の「中小企業省力化投資補助金」は、制度が大幅にアップデートされ、2つの申請類型「カタログ型」と「一般型」が選べるようになりました。本記事では、それぞれの特徴・補助内容・申請条件・活用シーンを徹底比較し、どちら…
公開 2025/5/8
要点対象:中小企業・小規模事業者(従業員0名は対象外)。単価50万円以上の機械装置などの導入が必須 上限:750万円〜8,000万円(大幅賃上げ特例で最大1億円)、補助率1/2(小規模事業者2/3) 締切:第8回は2026年10月16日(金)17:00。第9回は2026年10月13日時点で未発表

