平日や閑散期の客が少ない宿と飲食店の補助金|採択事例の打ち手
この記事の要点
平日や閑散期の空きを埋める取り組みは、持続化補助金の販路開拓として申請できます。採択された宿や飲食店が入れた設備と告知の組み合わせ、予約の仕組みに合う補助金、計画書で空く日を数字にして見せる書き方を整理しました。
この記事の目次
平日や閑散期の空きを埋める取り組みは、持続化補助金の販路開拓として申請できます。採択された宿や飲食店は、空いている時間に来てほしい客を1つに決め、その客を受け入れる設備と、その客に届く告知をセットで入れています。
予約や顧客管理の仕組みを入れて取りこぼしを減らす場合は、デジタル化・AI導入補助金が候補になります。
週末や連休は埋まるのに、平日や閑散期の客室・客席が空いたままで、補助金で何ができるかを知りたい方に向けた記事です。宿泊業と飲食店の採択事例から、空く時間の集客に効いた打ち手と、計画書での示し方を整理します。
閑散期の集客に使える補助金と費用
空いている時間の集客に使いやすいのは持続化補助金で、設備・告知・改装のどれも経費の区分に入ります。予約の受け方を変える仕組みは、デジタル化・AI導入補助金の対象です。
| やりたいこと | 合う補助金 | 入れる経費の区分 |
|---|---|---|
| 閑散期向けのプランや席を作る設備 | 持続化補助金 | 機械装置等費(テーブル、調理機器、屋外設備など) |
| 空く時間に来てほしい客への告知 | 持続化補助金 | 広報費(チラシ、看板、SNS広告など) |
| 客室や客席の改装 | 持続化補助金 | 委託・外注費(店舗改装など) |
| 予約・顧客管理の仕組み | デジタル化・AI導入補助金 | 登録されたITツールの導入費 |
出典:持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版 商工会議所地区 p.12『7.(3) 補助対象経費』台帳で見る
持続化補助金の経費は①機械装置等費、②広報費、③ウェブサイト関連費、④展示会等出展費(オンライン含む)、⑤旅費、⑥新商品開発費、⑦借料、⑧委託・外注費(8区分)の区分に分かれます。飲食店・宿の業種別の使い方は飲食店・宿泊業の持続化補助金で取り上げています。
平日や閑散期に客を呼べた宿の打ち手
空室を埋められた宿は、ふだん来ない客層を1つ選び、その客が泊まれない理由を設備で取り除いてから告知しています。
- 閑散期だけの滞在プランを作ったコテージ:平日の稼働が少なく、10〜11月が閑散期でした。屋外シャワーと簡易トイレを入れて滞在中に楽しめるメニューを作り、プランを告知したところ、閑散期のプランの利用が増え、売上が前年比140.7%になりました。
- 和室を洋室に変えた旅館:増えている高齢の客に向いた客室がありませんでした。和室の客室を洋式に改める工事を行い、高齢の新規客4グループ12人を受け入れました。
- 夕食・朝食を出せるようにした宿:周りに食事の選択肢が少ない観光地で、キッチンを改装して食事の提供を始め、売上が1.32倍になりました。
3つとも、狙う客層を先に決めてから、何を買うかを決めています。設備だけ、告知だけの計画より、空く理由と打ち手のつながりを説明しやすくなります。店舗の改装の採択事例は店舗改装・内外装の採択事例にまとめています。
昼や平日の席を埋めた飲食店の打ち手
飲食店では、空く時間帯に合う客を店に入れる「席と看板」の組み合わせが、平日や昼の客数を増やした打ち手の中心です。
- 朝の看板を出した飲食店:近くに競合店が相次いで開き、客が減っていました。「1日中モーニング」を強く打ち出した看板とメニュー表に変え、平日の利用者が1日80〜90人から120人になりました。
- 円卓を入れた中華料理店:女性グループが入りやすい店内にするため、広い中華テーブルと円卓を入れ、客数が半年で10%増えました。
- オープンテラスを増やした店:朝の早い時間に来るシニアの受け皿としてテラスを増築し、来店客数が20%増えました。
どれも「どの時間帯の、どの客か」を決めてから、席の形と告知の言葉をその客に合わせています。看板の採択事例は看板・サインを作った採択事例で探せます。
計画書で空く日を数字にして見せる
閑散期の集客の計画は、空いている日・時間帯の稼働を数字で示し、打ち手でどこまで埋めるかを書くと、審査の4つの観点に沿った説明になります。
持続化補助金の計画審査は「計画審査:①自社の経営状況分析の妥当性 ②経営方針・目標と今後のプランの適切性 ③補助事業計画の有効性 ④積算の透明・適切性」の4つです1。閑散期の課題は、この4つに次のように当てはめられます。
| 審査の観点 | 閑散期の集客での書き方の例 |
|---|---|
| 経営状況分析 | 曜日別・月別の稼働率や客数を並べ、空く日と時間帯を特定する |
| 経営方針・目標 | 空く時間に来てほしい客層を1つに決め、平日の稼働の目標を置く |
| 補助事業計画の有効性 | 買う設備と告知が、その客層の来ない理由をどう取り除くかを書く |
| 積算の透明・適切性 | 見積書の金額と、設備・告知それぞれの必要な数量をそろえる |
予約サイトの手数料や紙の台帳など、予約の受け方が取りこぼしの原因なら、仕組みの導入はデジタル化・AI導入補助金で考えます。2つの補助金の違いはデジタル化・AI導入補助金とほかの補助金の違いで取り上げています。
専門家から見た閑散期対策のポイント
閑散期の集客は、告知を増やすより先に「空いている時間に来る理由」を設備やプランで作るほうが、計画として筋が通り、成果も数字で出やすくなります。
採択事例のうち、課題が「集客・繁閑」だった宿泊業・飲食サービス業の事例は39件あります。その中では、広報費だけの計画より、テーブルや調理機器などの機械装置等費を入れた事例のほうが多く、受け入れる側の準備に補助金を使っています。持続化補助金の宿泊業・飲食サービス業の事例全体でも、機械装置等費を使った事例は50.7%です。
持続化補助金が向いている宿・店
平日や閑散期に来てほしい客層がはっきりしていて、その客を受け入れるための設備や改装が小さめの額で済む宿や飲食店です。シニア向けの席や客室、閑散期だけの体験プランなど、空く理由を1つの設備で取り除ける計画が合います。
計画を見直したほうがよい宿・店
「とにかく客を増やしたい」だけで、チラシやSNS広告を中心に考えている宿や飲食店です。持続化補助金は広報費だけの申請を認めていないため、空いている時間に来る理由を作る設備やプランと組み合わせて計画を組み直します。
採択事例は持続化補助金の対象経費別の採択事例から経費ごとに探せます。
間違えやすい点
閑散期の集客の計画で間違えやすいのは、広報費の扱い、送迎の車、タブレットの3つです。
持続化補助金の広報費は「パンフレット・ポスター・チラシ・インターネット広告・SNS広告等。補助金交付申請額の上限30万円(税込)。広報費のみの申請不可」と決まっています。閑散期のキャンペーンの告知だけでは申請できないので、設備や改装と組み合わせます。
送迎用の車は持続化補助金の対象外です。公募要領は「自動車等車両(自動車、フォークリフト、キッチンカー、除雪車、キッチントレーラー など)は対象外」としています。駅から遠い宿でも、車両は補助金の外で用意します。
予約受付に使うタブレットやパソコンは、ほかの用途にも使えるため持続化補助金の対象外です。予約の仕組みを入れたい場合は、ソフトウェアとしてデジタル化・AI導入補助金で申請できるかを確かめます。
経費の区分ごとの条件は持続化補助金の対象経費一覧にまとめています。
よくある質問
閑散期だけの割引キャンペーンに補助金は使えますか?
割引の原資には使えません。キャンペーンを知らせるチラシや広告は広報費の対象ですが、広報費だけの申請はできないため、設備やプランづくりと組み合わせます。
客室の改装はどの経費になりますか?
持続化補助金では、店舗改装などの工事は委託・外注費に入れます。改装で建物の価値が上がる場合は、補助事業のあとも処分の制限がかかります。
閑散期の集客で採択された事例はどこで見られますか?
ほかの質問も見る補助金のよくある質問出典(1件)
- 持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版 商工会議所地区 p.33『12. 採択審査』
補助金の関連記事
一覧へ公開 2026/10/17
要点補助金で買った単価の高い設備は、事務局の承認を受ければ売れますが、売った額か残っている簿価に補助率をかけた額を国に納めます。売れない期間、承認の手順、担保や事業承継も処分になる場面を5つの補助金の公募要領で整理しました。
公開 2026/10/17
要点展示会の出展に補助金を使った事業者の成果は、バイヤーとの商談と新しい取引先の獲得として出ています。持続化補助金と新事業進出・ものづくり補助金で出展費が入る経費、一緒に入れたパンフやパッケージ、申込みの時期の決まりを整理しました。
公開 2026/10/17
要点人手が足りない小さな製造業は、カタログの機械で作業を置きかえるなら省力化投資補助金、増産分で新しい注文を取るなら持続化補助金が合います。採択事例で入れた設備と減った作業時間、制度の選び方を整理しました。
公開 2026/10/17
要点補助金の交付決定は、ほかの用途への使用や条件・法令への違反で取り消され、受け取った分を返します。違反による取消では受け取った日からの加算金が付き、天災などの事情変更では付きません。補助金適正化法と交付規程の条番号で整理しました。