若手・女性リーダー応援プログラム助成事業|対象者と助成額・審査の観点
この記事の要点
女性や若手の男性が個人として都内の商店街に店を開くときに使える東京都中小企業振興公社の助成です。申請できる人と出店のかたち、研修などの知識の要件、工事費・設備・家賃の助成、この制度だけの審査の観点を募集要項で整理しました。
この記事の目次
若手・女性リーダー応援プログラム助成事業は、女性、または2027年3月31日時点で39歳以下の男性が、個人として都内の商店街に店を開くときに使える東京都中小企業振興公社の助成です。
助成率は助成対象経費の4分の3以内、上限は合計844万円で、商店街向けのもう一つの制度より手厚い代わりに、会社としての申請や事業承継・多角化は対象になりません。
女性や若い世代で商店街に店を持ちたい方が、自分がこの助成の対象か、助成額はどのくらいか、審査で何を見られるかを知りたい方に向けた記事です。公社の事業サイトと募集要項で確かめた範囲で書いています。
東京都の若手・女性リーダー応援プログラム助成事業とは?
商店街の担い手になる人を増やすために、都と公社が若手と女性に的を絞って設けた開業の助成です。商店街で新しく店を構える人に、内装工事・設備・開業告知の費用と、開業から3年分の家賃の一部を出します。
申請できるのは、これから創業する個人と個人事業主です。出店のかたちは次の3つに限られます。
- 新規開業:店舗を持つのがはじめての人が、商店街に1店目を開く
- 2店舗目:今ある店と同じ業種の店を、商店街に新しく開く(個人事業主だけ)
- 移転:商店街の外で営んでいる店を、都内の商店街の中へ移す
公社が出している助成金の全体像は、東京都中小企業振興公社の助成金一覧で確かめられます(東京都中小企業振興公社「令和8年度 若手・女性リーダー応援プログラム助成事業/商店街起業・承継支援事業 募集要項」 p.4『1 事業の目的』)。
年齢や性別のほかに満たす条件は?
年齢と性別の条件に当てはまっても、会社の代表者として申請することはできません。すでに法人の代表を務めている女性は、個人として申請することも認められていません。
店を開く場所は、区市町村に登録された都内の商店街の中であることが必要です。業種は公社の一覧で対象とされたものに限られ、申請者本人が開業後もその店で専従して働くことが前提になります。
次の出店はこの制度では申請できず、もう一つの制度の対象です。
- 今の店と業種を変えて新しい店を出す多角化
- 親や前の店主から商店街の店を継いで改装する事業承継
- 会社として2店舗目を出す、店を移す
こうした出店は、年齢や性別を問わない商店街起業・承継支援事業で取り上げています。都外に住んでいる人でも、店が都内の商店街にあれば申請できます。
研修を受けないと申請できない?
研修は必ず受けるものではありません。申請者には、店を経営するための知識があることが求められ、それを経営の経験か、業種に関わる資格か、研修の受講のいずれかで示します。
| 示し方 | 中身の例 |
|---|---|
| 経営の経験 | 店舗や会社の経営におおむね1年以上関わった経験 |
| 資格 | 開く店の業種に関わる資格 |
| 研修の受講 | 公社の商店街開業プログラム、TOKYO起業塾、女性起業ゼミ、東京商工会議所の創業ゼミナール、区市町村の特定創業支援等事業など |
出典:東京都中小企業振興公社「令和8年度 若手・女性リーダー応援プログラム助成事業/商店街起業・承継支援事業 募集要項」 p.6『4 申請要件』
飲食店なら食品衛生責任者のように、業種によっては開業に欠かせない資格があり、これは知識の要件とは別に取っておきます。区市町村の特定創業支援等事業は、受けると登録免許税の軽減などの効果もあり、中身は特定創業支援事業を受けるメリットで取り上げています。
開業費と家賃の助成はいくらになる?
店づくりにかかる「事業所整備費」と、毎月の「店舗賃借料」を合わせて助成を受けます。事業所整備費は400万円(店舗新装・改装工事費、設備・備品購入費、宣伝・広告費の合計)が上限です。
| 区分 | 対象になるもの | 助成の上限 |
|---|---|---|
| 店舗新装・改装工事費 | スケルトンからの内装、カウンターや棚の造作、電気・水道の工事 | 事業所整備費の上限に含む |
| 設備・備品購入費 | 施術用の椅子、焙煎機、ショーケースなど、新品で1点税込10万円以上のもの | 事業所整備費の上限に含む |
| 宣伝・広告費 | 店のホームページ、開店チラシ、看板以外の広告 | 対象経費で150万円まで(うちホームページ制作は税抜50万円まで) |
| 店舗賃借料 | この事業のために新しく借りる店舗の家賃 | 1年目は月額15万円、2年目は月額12万円、3年目は月額10万円 |
出典:東京都中小企業振興公社「令和8年度 若手・女性リーダー応援プログラム助成事業/商店街起業・承継支援事業 募集要項」 p.4『2 助成内容』
内装と設備に大きな費用がかかる店では、助成率をかけた額が事業所整備費の上限に届き、それを超える分は自己負担になります。工事・設備の対象期間は交付決定日から1年間(店舗賃借料は交付決定日から3年間)です。
宣伝・広告費だけでの申請はできず、工事費か設備費のどちらかが必要です。開業後のホームページを国の補助金で作る場合の例は、持続化補助金でホームページを作る例で取り上げています。
書類と面接で追加される審査の観点は?
審査は書類と面接の2段階で、商店街向けのもう一つの制度と同じ4つの観点に、この制度だけの2つが加わります。
- 事業の実現性:売上の見込みや仕入れ・集客の手段に無理がないか
- 資金計画の妥当性:自己資金と借入で開業と開業後の運転資金が足りるか
- 商店街の活性化への貢献:商店街に人を呼び込む店になるか
- 経営者としての適性:知識・経験・準備の度合い
- 創意工夫:近くの競合店との違いや、独自の商品・サービスがあるか
- 商店街でのリーダーシップ:商店街の課題をつかみ、解決の案を示せるか
5つめと6つめは、ただ店を開くだけでなく、商店街の次の担い手になれるかを問う観点です。商店街のイベントの企画や空き店舗の活用など、自分が加わることで商店街がどう変わるかを、具体的な行動で書けるかが分かれ目になります(東京都中小企業振興公社「令和8年度 若手・女性リーダー応援プログラム助成事業/商店街起業・承継支援事業 募集要項」 p.32『10 審査』)。
受付は第3回 2026年10月9日(金)~10月30日(金)で、面接は第3回は2027年1月中旬~下旬、交付決定は第3回は2027年3月1日(予定)です。公社の別の開業向けの制度との違いは、東京都の創業助成事業で取り上げています。
間違えやすい点
つまずきやすいのは、開業の時期と、過去に受けた公社の助成との関係です。
公社の創業助成事業、この制度、商店街起業・承継支援事業のいずれかで一度助成を受けた人は、もう一度受けることはできません。この制度で助成を受けたあとは、公社の創業助成事業にも申請できなくなります。
交付決定より前にその店で営業を始めると対象外です。プレオープンや内覧会を開く場合も、事務局が決めた範囲に収める必要があります。
移転で申請する場合は、新しい店を開くまでに元の店を閉じることが条件です。同じ場所で改装して開き直す「2店舗目」は認められません。
開業資金を借りる場合は、交付決定から入金までの間のつなぎも考えます。助成金は開業後の検査を経て振り込まれ、開業前には入りません。創業融資の条件は創業融資を借りられる人・借りられない人で取り上げています。
専門家から見たポイント
助成率と上限が高い分、審査ではお店の独自性と商店街との関わりを、もう一つの制度より深く問われます。開業の計画書に、商店街の会長や近くの店主と話した内容を書けるかどうかが準備の目安です。
向いている会社
すでにマルシェや間借りで固定客をつかみ、商店街の空き店舗で常設の店に移りたい個人事業主は、売上の見込みを実績で示せるため計画に説得力が出ます。美容室やカフェなど内装に費用がかかる業態は、事業所整備費の上限まで使いやすく、助成の効果が大きくなります。
迷う会社
開業を会社の名義で進めたい人は、この制度では申請できないため、個人で開業するか、会社として別の制度を使うかを先に決めます。居抜きの物件で工事がほとんど要らない店は、家賃の助成が中心になり、手間に見合うかを比べます。年度末の年齢で条件から外れる男性は、年齢を問わない商店街起業・承継支援事業のほうが確実です。
両方の制度に同時に申請しておくと、この制度で採択されなかった場合でも、もう一つの制度で採択される道が残ります。両方への併願は募集要項で認められています。
御社の開業計画で審査の観点をどう書くかは、専門家に無料で相談できます。
よくある質問
男性は何歳まで申請できる?
男性は、募集要項で決まった基準日の時点の年齢で判断します。基準日は回ごとに募集要項で確かめます。女性には年齢の条件がありません。
自宅で開く店も対象になる?
SNSなどで広く知らせ、自宅の一部を店として商品やサービスを売っている場合は店舗と見なされることがあります。ネットだけで売っている場合は店舗に当たりません。
物件の契約は申請前に済ませる必要がある?
申請の時点では契約は要りません。出店する場所と家賃がわかる資料を出せば申請できます。
申請書の書き方を事務局に見てもらえる?
事務局は申請書の作成を手伝っていません。事業サイトに申請書作成のポイントが載っています。
ほかの質問はよくある質問にまとめています。
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