ソフトウェア・クラウド利用料は補助金でどこまで出る?制度ごとの範囲
この記事の要点
ソフトウェアの購入費やクラウドの利用料は多くの補助金で対象ですが、出る範囲は制度ごとに違います。経費の区分、月額の利用料が対象になる期間、自社開発の人件費や更新料の扱い、契約と支払いの注意点を5つの補助金の公募要領で比べました。
この記事の目次
ソフトウェアの購入費やクラウドの利用料は、多くの補助金で対象になりますが、出る範囲は制度ごとに違います。クラウドの月額は、デジタル化・AI導入補助金なら決まった年数分、ほかの補助金は補助事業の期間に当たる分だけが対象です。
どの制度でも、自社の社員が開発する人件費や、今使っているソフトの更新料は対象になりません。
業務のソフトやクラウドのサービスを補助金で入れたいと考えていて、買い切りの費用と毎月の利用料がどこまで出るのかを知りたい方に向けた記事です。
デジタル化・AI導入補助金、新事業進出・ものづくり補助金、省力化投資補助金、成長加速化補助金、持続化補助金の公募要領から、ソフトの費用の決まりを比べます。
デジタル化・AI導入補助金とは?
デジタル化・AI導入補助金は、ソフトやクラウドの導入そのものを支える国の補助金で、IT導入補助金の後を継いでいます。ほかの補助金が設備投資の一部としてソフトを扱うのに対し、この補助金はソフトの費用が中心です。
通常枠の対象経費は「ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)、導入関連費」です1。登録されたツールを、IT導入支援事業者と一緒に申請します。枠の違いはデジタル化・AI導入補助金とは?5つの枠と対象者で取り上げています。
補助金ごとにソフトの費用が入る区分は?
ソフトの費用は、補助金ごとに入る経費の区分と条件が違います。
| 補助金 | ソフトの費用の扱い |
|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金(通常枠) | ソフトの購入費・クラウド利用料・導入関連費。設定や保守などの役務は大分類Ⅲ 役務(カテゴリー5~7)。補助対象経費は200万円が上限。保守サポートは最大2年分 |
| 新事業進出・ものづくり補助金 | 機械装置・システム構築費:専ら補助事業に使用する機械装置・工具器具、専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築・借用等 |
| 省力化投資補助金(一般型) | ソフトウェア・システムの月額・年額利用料は「借用」に当たらない。クラウドサービス利用費に当たる場合はそちらに計上する |
| 成長加速化補助金 | ソフトウェア費:専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用。単価 100 万円(税抜き)以上 |
| 持続化補助金 | ウェブサイト・ECサイト・システム等の開発・構築・更新・改修・運用。補助金交付申請額の上限30万円(税込)。ウェブサイト関連費のみの申請不可 |
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 公募要領(第7回からの改訂版) p.14『2-2(2) 補助対象となるITツールとその分類』台帳で見る
新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.27『1-6-1. 補助対象経費の区分』台帳で見る
中小企業省力化投資補助事業(一般型)応募申請の手引き(第8回公募) p.43『5-3 1.機械装置・システム構築費』台帳で見る
中小企業成長加速化補助金(3次公募)公募要領 p.10『2.対象経費の区分 ソフトウェア費』台帳で見る
持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区) p.14『7.(3)③ ウェブサイト関連費』台帳で見る
デジタル化・AI導入補助金以外では、ソフトは設備や新しい事業のための投資の一部として扱われ、その事業のためだけに使うことが条件になります。補助金の対象経費の全体は補助金の対象経費とは?で取り上げています。
クラウドの月額利用料は何年分まで出る?
毎月や毎年払うクラウドの利用料は、補助金によって対象になる期間が違います。デジタル化・AI導入補助金のインボイス対応類型では、対象のソフトについて「大分類Ⅰ ソフトウェア(インボイス対応、会計・受発注・決済を1種類以上)。サブスクは最大2年分」と定められ、通常枠も同じく年数の上限があります。
新事業進出・ものづくり補助金のクラウドサービス利用費は「クラウドサービス利用費は、サーバー領域を借りる費用やサーバー上のサービスの利用費が対象で、補助事業実施期間分のみ(超える分は按分)。自社の他事業と共有する場合やサーバー購入・レンタル費は対象外」です2。成長加速化補助金のよくある質問も、サブスクリプションについて「Q:ソフトウェアのサブスクリプションは対象か → A:対象。5年契約などの場合は補助事業期間で按分した額が対象経費になる。」と答えています。
複数年の契約を一括で払っても、補助事業の期間を超える分は自社の負担です。補助事業の期間の考え方は補助事業期間とは?で取り上げています。
自社で開発するソフトの人件費は出る?
自社の社員がソフトを開発する人件費は、どの補助金でも対象外です。成長加速化補助金のよくある質問は、自社で使うソフトの制作について「Q:自社利用のソフトウェア制作は対象か → A:専ら補助事業に使う自社利用(販売・譲渡目的以外)のソフトが対象。外部への開発委託・購入費等は対象だが、自社制作の人件費等は対象外。」と答えています(成長加速化補助金 3次 よくあるご質問 p.21『Q59』)。
新事業進出・ものづくり補助金も、対象外の経費として「事業に係る自社の人件費、旅費(海外旅費を除く)」を挙げています。社内で作る場合は、外部に頼む開発の部分や、使うクラウドの費用を計上します。システム開発を補助金で進める考え方はものづくり補助金でシステム開発で取り上げています。
対象外になりやすいソフトの費用は?
ソフトの費用で対象外になりやすいのは、今使っているソフトの更新や、どの仕事にも使える一般のソフトです。持続化補助金の公募要領は、ウェブサイト関連費の対象とならない例に、家庭や一般の事務に使うソフトと、すでに入れているソフトの更新料を挙げています3。
- 省力化投資補助金(一般型):既存システム・ソフトウェアのバージョンアップ・アップデート・改修費用(新たに導入するシステムと連携するための改修は対象)
- 成長加速化補助金:自社の他事業と共有する場合、パソコン・タブレット・スマートフォン本体、販売目的のソフトウェア構築は対象外
- デジタル化・AI導入補助金:リース・レンタル契約のITツール(お助け隊サービスを除く)、中古品
文書作成や表計算のような事務用のソフトを、補助事業のためと言って申請するのは難しいと考えます。対象外になりやすい経費の見分け方は補助金の対象外経費7分類で取り上げています。
専門家から見たソフト費用のポイント
ソフトの費用は、どの補助金で出すかを、ソフトの目的から決めます。採択事例545件の経費を見ると、ソフトウェア購入費を計上した事例が17件、ソフトウェア費が13件、クラウド利用料が4件でした。ソフトの費用を計上した事例は全体の一部で、多くは機械や広報の費用が中心です。
デジタル化・AI導入補助金が向いている会社
会計や販売管理など、すでに製品として売られているソフトやクラウドを入れたい会社です。登録されたツールから選ぶので、費用の妥当性を説明する手間が少なく済みます。
ほかの補助金と迷う会社
新しい事業のために専用のシステムを外部に作ってもらう会社や、機械と一緒に動く専用のソフトを入れる会社です。新しい事業なら新事業進出・ものづくり補助金、人手を減らす設備なら省力化投資補助金と、投資の目的で決めます。交付申請で見積を出す手順は補助金の交付申請とは?で取り上げています。
間違えやすい点
ソフトの費用で間違えやすいのは、契約の時期と支払いのしかたです。
デジタル化・AI導入補助金では「交付決定前にITツールを契約・発注した場合は補助対象とならない。交付決定後に契約・発注」とされています。無料のお試しから有料の契約に切り替える日も、交付決定の後にします。
支払いの方法にも決まりがあり、デジタル化・AI導入補助金は「ITツールの代金は原則、銀行振込かクレジットカード1回払いのみ。ほかの方法で払うと補助金を受けられない」とされています。毎月の口座からの引き落としにする場合は、記録の残し方を事前に確かめます。
採択の後に経費が減らされる例は採択後に補助金が減額・返還になるケースで取り上げています。
よくある質問
年払いのクラウドを2年分まとめて払った場合はどうなりますか?
補助金ごとに決まった期間の分だけが対象です。新事業進出・ものづくり補助金や省力化投資補助金では、補助事業の期間を超える分は按分して外します。
ソフトの保守サポートの費用は対象ですか?
デジタル化・AI導入補助金の通常枠では、保守サポートも役務として対象になります。省力化投資補助金の一般型では、システムの保守の費用は対象外です。
文書作成や表計算のソフトは対象ですか?
文書作成や表計算などの一般の事務用ソフトは、多くの補助金で対象外か、単独では申請できません。業務の専用のソフトと一緒に入れる場合も、補助事業のために使う理由が要ります。
海外のクラウドサービスの利用料も対象ですか?
ほかの質問も見る補助金のよくある質問出典(3件)
- デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 公募要領(第7回からの改訂版) p.2『通常枠について(概要表)』
- 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.30『1-6-1. 補助対象経費の区分』
- 持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区) p.14『7.(3)③ ウェブサイト関連費』
参考資料
- 中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 公募要領(第7回からの改訂版)」
- 中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(インボイス対応類型)公募要領(改訂版)」
- 中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領」
- 中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助事業(一般型)応募申請の手引き(第8回公募)」
- 中小企業基盤整備機構「中小企業成長加速化補助金(3次公募)公募要領」
- 中小企業基盤整備機構「成長加速化補助金 3次 よくあるご質問」
- 全国商工会議所「持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区)」
- 公募要領の台帳(デジタル化・AI導入補助金)
- 公募要領の台帳(新事業進出・ものづくり補助金)
- 公募要領の台帳(省力化投資補助金)
- 公募要領の台帳(成長加速化補助金)
- 公募要領の台帳(持続化補助金)
確認日:2026年10月17日
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