M&A仲介の成功報酬は補助対象?レーマン表の見方と見積の書き方
この記事の要点
M&Aの仲介会社やFAに成約時に払う報酬は、事業承継・M&A補助金の専門家活用枠で補助の対象です。見積の総額をレーマン表と比べて相見積を省ける条件、譲渡額と移動総資産の選び方、選定理由書に書くことを公募要領で整理しました。
この記事の目次
M&Aの仲介会社やFAに成約時に払う報酬は、事業承継・M&A補助金の専門家活用枠で補助の対象になります。
見積の報酬総額がレーマン表で計算した額以下なら、相見積を出さずに申請でき、補助額もレーマン表の額をもとに決まります。
M&Aの仲介会社から報酬の見積を受け取り、その報酬を補助金で出せるか、レーマン表と比べて何を書けばよいかを知りたい方に向けた記事です。
事業承継・M&A補助金の専門家活用枠の公募要領から、仲介・FAの報酬とレーマン表に関係する所だけを整理します。
事業承継・M&A補助金とは?
事業承継・M&A補助金は、中小企業の事業承継やM&Aにかかる設備投資、専門家の費用、M&A後の統合、廃業の費用の一部を国が補助する制度です。中小企業庁が所管し、事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠・廃業・再チャレンジ枠の4つの枠があります。
仲介会社やFAの報酬を補助するのは専門家活用枠で、買い手と売り手のどちらでも申請できます。4つの枠の補助額と申請時期は事業承継・M&A補助金の公募と4つの枠で取り上げています。
仲介・FAの成約時の報酬が対象になる条件は?
専門家活用枠で補助される仲介・FAの費用は、公募要領で次のように決められています1。
- FA・仲介の相談料・着手金・マーケティング費用・リテーナー費用・基本合意時報酬・成功報酬・価値算定費用等は、M&A支援機関登録制度の登録FA・仲介業者の支援に限り対象。
成約時の報酬は、専門家との契約、相手との最終契約、報酬の支払いの3つが、交付決定の後の補助事業期間に収まっていることが条件です。期間の前に仲介会社と結んだ契約に基づく報酬は対象外です。契約の時期の決まりは事業承継・M&A補助金の専門家活用枠で取り上げています。
土地や建物の売買を仲介する不動産の媒介契約の費用は、M&Aと一緒に払っても仲介・FAの費用には入りません。
レーマン表で報酬の額をどう計算する?
レーマン表は、M&Aの金額が大きくなるほど料率が下がる、報酬の計算の目安です。金額を段階に分け、段階ごとの料率を掛けた額を足し合わせます。公募要領に載っている表は次のとおりです。
- レーマン表は、5億円以下の部分5%、5億円超10億円以下4%、10億円超50億円以下3%、50億円超100億円以下2%、100億円超1%。移動総資産は譲渡額に負債額を加えた額。
計算の元にする金額は、譲渡額か移動総資産のどちらかを選べます。どちらを選ぶかは、仲介会社の見積と契約書の計算方法に合わせます。
| 計算の元 | 中身 | 比べ方 |
|---|---|---|
| 譲渡額 | 株式や事業の売買の代金 | 見積が譲渡額で計算されているなら、譲渡額で計算したレーマン表の額と比べる |
| 移動総資産 | 譲渡額に、引き継ぐ負債の額を足した額 | 見積が移動総資産で計算されているなら、移動総資産で計算したレーマン表の額と比べる |
出典:事業承継・M&A補助金 16次 専門家活用枠 買い手・売り手支援類型 公募要領 p.72『21.3. その他』台帳で見る
公募要領には計算の例も載っています。
- 想定譲渡額5億円でレーマン表の額は2,500万円。見積が成功報酬2,000万円+着手金500万円なら相見積不要、成功報酬2,500万円+着手金500万円なら相見積が必要。
比べるのは成約時の報酬だけでなく、契約時に払う報酬を足した総額です。相見積の金額の基準は補助金の相見積もりはいくらから?で取り上げています。
相見積を出さずに申請できるのはどんな時?
仲介・FAの報酬は、原則として複数社の見積を比べて申請します。相見積が要らないのは、公募要領が定める3つの場合だけです1。
- 条件①:選んだ専門家のほかに2者以上へ見積を頼み、すべて断られた場合
- 条件②:FA・仲介費用の見積額(着手金を含む報酬総額)が、譲渡額又は移動総資産に基づくレーマン表の額以下なら相見積は不要。
- 条件③:成功報酬(成約手数料)のみのマッチングサイトに複数登録して成約手数料を申請する場合は、登録画面のスクリーンショット等の提出が必須。1社だけの登録や、着手金等がかかるサイトは相見積が必要。
レーマン表を使うのは条件②です。仲介会社が1社に決まっていて、見積の総額がレーマン表の額に収まるなら、相見積の手間を省けます。登録業者かどうかの確かめ方は専門家活用枠の登録FA・仲介業者の決まりで取り上げています。
見積書と選定理由書には何を書けばいい?
条件②を使う場合の書類について、公募要領は次のように定めています。
- 条件②を使う場合、「関与専門家選定理由書」にレーマン表での報酬総額の試算額を書く。譲渡額等が未定なら想定金額と根拠を詳しく書く(根拠が不明確なら条件に当たらない)。
見積書の作り方にも決まりがあります。1社に複数の業務を頼む場合、合計額だけの見積では、同じ条件の見積が無いと相見積を取っていないと判断されます。仲介会社には、報酬の種類ごとに金額を分けた見積を頼みます。
| 書類 | 書くこと |
|---|---|
| 見積書 | 契約時の報酬・月額の報酬・成約時の報酬・価値算定・DDなど、費用の種類ごとの金額と計算方法 |
| 関与専門家選定理由書 | レーマン表で計算した報酬総額の試算額、元にした金額(譲渡額か移動総資産か)、譲渡額が未定なら想定額とその根拠 |
| 委託契約書(交付決定の後) | 見積書と同じ計算方法の報酬の決め方 |
出典:事業承継・M&A補助金 16次 専門家活用枠 買い手・売り手支援類型 公募要領 p.71『21.3. その他』台帳で見る
DDの費用を見積に入れる場合は、DDの上乗せ分と合わせて上限額を考えます。DDの費用の扱いは事業承継・M&A補助金の専門家活用枠の補助上限で取り上げています。
専門家から見たレーマン表のポイント
レーマン表を使う申請で差がつくのは、譲渡額の想定に根拠を書けるかどうかです。事業承継・M&A補助金の採択率は15次で61.3%です。申請のすべてが採択されるわけではないため、書類の不備で評価を下げないことが大切です。
レーマン表で申請するのが向いている会社
頼む仲介会社が1社に決まっていて、その会社の報酬がレーマン表に沿った料率で、最低報酬額を決めていない会社です。相見積を集める時間を、相手探しや事業計画づくりに回せます。
相見積を取るか迷う会社
会社の規模が小さく、譲渡額が数千万円台にとどまりそうな会社です。仲介会社の多くは最低報酬額を決めているため、レーマン表の額を上回りやすく、その場合は相見積が要ります。先に複数社から見積を取り、最も低い額で申請する方が確実です。売り手の小さな会社向けの類型は事業承継・M&A補助金の4つの枠の専門家活用枠の節で比べられます。
間違えやすい点
レーマン表で間違えやすいのは、比べる金額の範囲と、最低報酬額の扱いです。
見積に最低報酬額が書かれていると、料率がレーマン表どおりでも条件②に当たらず、相見積を求められます。最低報酬額がレーマン表の額を上回る場合も、相見積を取ります。
レーマン表は中小企業庁が定めた表ではなく、参照用の一般的な表で、今後変わることもあります。仲介会社が独自に作った料率表ではなく、申請する回の公募要領に載っている表で計算します。
補助金を知る前に仲介会社と契約を結んでいると、その契約に基づく報酬は対象外です。契約の前に交付決定の時期を確かめる理由は交付決定前の発注・契約はなぜ補助対象外?で取り上げています。
よくある質問
レーマン表の計算は譲渡額と移動総資産のどちらを使えばいいですか?
どちらを使っても構いません。仲介会社の見積と委託契約書が使っている計算の元に合わせます。
実績報告の時に報酬が見積より高くなったらどうなりますか?
交付申請の時の金額が上限になります。成約時の報酬が見積より高くなっても、超えた分は補助されないため、交付申請の前に譲渡額の想定をできるだけ固めておきます。
譲渡額がまだ決まっていない段階でもレーマン表で申請できますか?
できます。関与専門家選定理由書に想定の譲渡額と、その根拠をくわしく書きます。根拠がはっきりしない場合は条件②に当たらず、相見積が要ります。
マッチングサイトの成約手数料もレーマン表で申請できますか?
ほかの質問も見る補助金のよくある質問出典(1件)
- 事業承継・M&A補助金 16次 専門家活用枠 買い手・売り手支援類型 公募要領 p.71『21.3. その他』
公募・締切・改訂のお知らせ(無料)
補助金の公募・締切・改訂を、メールでお知らせします
- 公募開始新しい公募回の公募要領が出たとき
- 締切前締切の2週間前と3日前(事前の書類の締切も)
- 改訂公募の途中で公募要領が変わったとき。変わった箇所とページ番号をお送りします
お送りするのはこの3つだけです。配信はメールの下のリンクからいつでも止められます。
補助金の関連記事
一覧へ公開 2026/10/18
要点省力化投資補助金は中小企業庁と中小機構が進める国の補助金です。公式の事務局サイトの見分け方、「実質無料」「自己負担を後で戻す」勧誘が公募要領で不正とされる理由、販売事業者と契約する前に確かめる点をまとめました。
公開 2026/10/18
要点成長加速化補助金の準備は、GビズIDの取得と100億宣言の掲載から始めます。申請の時点で宣言が載っていないと申請できません。見積・金融機関の確認書・投資計画書を締切から逆算して進める順番と、締切後の日程をまとめました。
公開 2026/10/18
要点持続化給付金はコロナ禍で売上が減った事業者への給付で、申請はすでに終わっています。持続化補助金は販路開拓の費用を後払いで補助する今も続く制度です。目的・受け取れる額・条件・時期の違いと、給付金を受けた事業者も申請できるかをまとめました。
公開 2026/10/18
要点自治体のAI導入の補助金は「DX」「デジタル化」の名前で募集されることが多く、J-Net21や自治体のサイトで探します。国のデジタル化・AI導入補助金との違いと、同じ経費に両方は使えない併用の決まりをまとめました。