補助金の経費は税抜?税込?消費税の扱いと仕入控除税額の返還のしくみ
この記事の要点
補助金の対象経費は原則として税抜で計算します。税込で申請できる事業者の条件、持続化補助金で税込の表記がある経費、事業の後に消費税の返還が起きるしくみと報告を、公募要領と交付規程で整理しました。
この記事の目次
補助金の対象経費は、原則として消費税を除いた税抜の金額で計算します。消費税を払っても、課税事業者は確定申告で消費税を差し引けるため、補助金で消費税まで出すと二重に得をすることになるからです。
例外は、免税事業者や簡易課税の事業者などで、税込の金額で申請できる制度があります。その場合は、事業が終わった後の消費税の申告で差し引いた分が確定したら、報告して返します。
補助金の申請で経費を税抜で書くのか税込で書くのか、消費税の返還とは何かを知りたい方に向けた記事です。
新事業進出・ものづくり補助金、成長加速化補助金、持続化補助金、事業承継・M&A補助金の公募要領と交付規程から、消費税の扱いだけを整理します。
補助金の経費を税抜で計算する理由
補助金の対象経費から消費税を除くのは、消費税が経費の一部ではないと考えるためです。課税事業者は、仕入れで払った消費税を、売上で預かった消費税から差し引けます。この差し引く税額を「仕入控除税額」といいます。
新事業進出・ものづくり補助金は「交付申請の際は、消費税及び地方消費税額等仕入控除税額を減額して記載する(課税事業者は消費税相当額を原則あらかじめ補助対象経費から減額)」としています1。交付申請で経費をどう確定させるかは補助金の交付申請とは?で取り上げています。
消費税込みで申請できる事業者の条件
消費税を差し引けない、または差し引く額が小さい事業者は、税込の金額で申請できる場合があります。成長加速化補助金は、消費税法の納税義務者でない者、免税事業者、簡易課税事業者、国・地方公共団体等、課税売上割合が低い等で仕入控除税額確定後の返還を選ぶ課税事業者などは、消費税等を対象経費に含めて算定できるとしています。
| 事業者の区分 | 申請する金額 |
|---|---|
| 原則課税の課税事業者 | 税抜 |
| 免税事業者 | 税込で申請できる |
| 簡易課税の事業者 | 税込で申請できる |
| 課税売上の割合が低く、後で返還を選ぶ課税事業者 | 税込で申請できる |
出典:中小企業成長加速化補助金(3次公募)公募要領 p.14『3.補助対象経費からの消費税額の除外について』台帳で見る
御社がどの区分に当たるかは、顧問の税理士に確かめるのが確実です。個人事業主の申請の違いは個人事業主が使える補助金は?で取り上げています。
持続化補助金で税込の表記がある経費
持続化補助金は、制度の中で税抜と税込の書き分けがある点に気をつけます。創業型の公募要領は、公租公課を対象外とし、公租公課は対象外。消費税等は免税事業者・簡易課税事業者・2割特例で消費税込みで交付決定を受けた者を除き対象外。旅費の出入国税は対象としています。
一方で、広報費やウェブサイト関連費の上限、相見積が要る金額は、公募要領で税込の金額として決められています。相見積の決まりは、通常枠で「発注総額(1件あたり)50万円超(税込)は2者以上から見積。中古品は金額に関わらず2者以上」です2。上限の判定と経費の計算で、税抜と税込を取り違えないようにします。見積書の決まりは補助金の見積書は申請時に要る?で取り上げています。
消費税の返還が起きるしくみと報告
税込で申請して補助金を受けた後、消費税の申告で仕入控除税額が確定したら、その分を報告して返します。事業承継・M&A補助金の交付規程は、第19条で「第19条(消費税等仕入控除税額の確定に伴う補助金の返還):事業完了後の消費税申告で仕入控除税額が確定したら、様式第8ですぐに報告し、事務局の命令に応じてその分を返します。」としています3。
- 補助事業が終わった年度の消費税の申告で、仕入控除税額が確定する。
- 確定したら、決められた様式で事務局に報告する。
- 事務局の求めに応じて、該当する分の補助金を返す。
この返還は罰則ではなく、消費税を二重に受け取らないための手続きです。採択の後に返還が起きるほかの場面は効果報告で目標に届かなかったら?で取り上げています。
専門家から見た消費税の扱いのポイント
消費税の扱いで迷うのは、設備や広告など金額の大きい経費を使う事業者です。新事業進出・ものづくり補助金の採択事例97件では、80件が機械装置・システム構築費を使っており、金額が大きいほど税抜と税込の差も大きくなります。
税抜で申請すればよい会社
原則課税の課税事業者で、毎年消費税を申告して仕入控除をしている会社です。税抜で申請しておけば、事業の後に返還の手続きは起きません。
税込で申請するか迷う会社
免税事業者から課税事業者に変わる予定がある会社や、簡易課税と原則課税を切り替える予定がある会社です。補助事業が終わる年度の課税方式で返還の有無が変わるため、申請の前に税理士と相談します。補助金が入るまでの資金の考え方は補助金と融資はどちらが先?で取り上げています。
間違えやすい点
消費税の扱いで間違えやすいのは、事業者の区分の変わり目と、支払う金額です。
税抜で申請しても、発注先には税込で支払います。補助金が入るまでの立て替えは税込の金額になるため、資金繰りは税込で見ておきます。
税込で交付決定を受けた後に、返還の報告を忘れると、後から返還を求められます。事業が終わった後の消費税の申告の時期を、手続きの予定に入れておきます。
補助事業がいつ終わるかの考え方は補助事業期間とは?で取り上げています。
よくある質問
見積書は税抜と税込のどちらで出してもらえばよいですか?
税抜の金額と消費税の額が分けて書かれた見積書にしてもらいます。両方が読めれば、税抜の計算にも税込の上限の判定にも使えます。
免税事業者でも税抜で申請してよいですか?
税抜で申請してもかまいません。その場合、消費税の分は補助の対象にならず、返還の手続きも起きません。
補助金そのものに消費税はかかりますか?
ほかの質問も見る補助金のよくある質問出典(3件)
- 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.54『4-1.(2)交付申請~交付決定』
- 持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版 p.21『7.(9) 発注先選定の相見積』
- 事業承継・M&A補助金 交付規程 p.6『消費税等仕入控除税額の確定に伴う補助金の返還』(公募要領の台帳)
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