販路が広がらない会社は補助金を何に使った?広報費とウェブの使い分け
この記事の要点
販路が広がらない会社が持続化補助金で使ったのは、チラシや看板の広報費と、ホームページやネットショップのウェブサイト関連費が中心です。卸先頼みから直販へ広げた採択事例と、届けたい相手ごとの経費の選び方、ウェブの上限を整理しました。
この記事の目次
販路が広がらない会社が持続化補助金で使ったのは、チラシ・看板などの広報費と、ホームページやネットショップのウェブサイト関連費が中心です。どちらを選ぶかは「まだ届いていない相手がどこにいるか」で決まります。
ウェブサイト関連費も広報費も、それだけでは申請できません。採択された会社は、問屋や卸先に頼っていた売り方を変えるために、届け先に合う告知と商品の見せ方をセットで入れています。
今の取引先や常連客から先に売上が広がらず、補助金を使って新しい客に届けたいが、何にお金をかければよいか迷っている方に向けた記事です。持続化補助金の採択事例から、販路を広げた会社の経費の組み合わせと、ウェブと紙の使い分けを整理します。
届いていない相手で選ぶ広報とウェブ
販路を広げる経費は、地元の新しい客に届けたいなら紙と看板、遠くの客に直接売りたいならネットショップ、法人の取引先を増やしたいなら展示会とカタログが合います。
| まだ届いていない相手 | 合う経費の区分 | 買うものの例 |
|---|---|---|
| 店の前を通るのに知らない地元の人 | 広報費 | 看板、のれん、折込チラシ、ショップカード |
| 遠方の個人客 | ウェブサイト関連費 | ネットショップ、スマートフォン対応のホームページ |
| 問屋を通さずに売りたい小売店・法人 | 展示会等出展費・広報費 | 展示会の出展、通販用カタログ |
| 手に取ってもらえない若い客層 | 新商品開発費・広報費 | パッケージ、ロゴ、売り場の案内 |
出典:持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版 商工会議所地区 p.13『7.(3)② 広報費』台帳で見る
広報費は「パンフレット・ポスター・チラシ・インターネット広告・SNS広告等。補助金交付申請額の上限30万円(税込)。広報費のみの申請不可」と決まっています。経費の区分ごとの条件は持続化補助金の対象経費一覧で取り上げています。
卸先や問屋頼みから直販へ広げた会社
販路を広げられた会社の多くは、売上の大半を1つの売り先に頼っていた状態から、消費者や新しい取引先へ直接届ける形に変えています。
- 問屋経由だった食器の窯元:業務用食器の注文が止まり、消費者に直接伝える手段がありませんでした。通販用カタログとショップカードを作り、首都圏の展示会に出展して、売上高営業利益率がコロナ前より約4ポイント上がりました(中小機構 活用事例)。
- 旅館への卸が売上の約85%だった食品製造業:ロゴとパッケージを作り直し、のれん・看板・しおりで店頭の見せ方を変え、売上高が補助金を使う前の期より約2割増えました。
- 小売店頼みだったものづくりの工房:研磨の機械とネットショップを入れ、ネットショップの売上が全体の約35%で安定するようになりました。
3社とも、買ったものは違っても「今の売り先に頼らない売上」を作る計画になっています。製造業の販路開拓の事例は製造業の持続化補助金でも取り上げています。
ウェブサイト関連費だけで申請できない理由
ホームページやネットショップの制作だけでは持続化補助金に申請できず、ウェブサイト関連費は補助金全体の4分の1までに抑える決まりです。
公募要領はウェブサイト関連費を「ウェブサイト・ECサイト・システム等の開発・構築・更新・改修・運用。補助金交付申請額の上限30万円(税込)。ウェブサイト関連費のみの申請不可」としています1。実績報告では、交付規程の様式で「様式第8別紙3(支出内訳書):ウェブサイト関連費の補助金額は確定時の補助金総額の4分の1(最大50万円)が上限。満たさない場合は実績報告ができない。」とされ、上限を超えたままでは報告できません。
当てはめると、補助金を50万円受け取る計画なら、そのうちウェブサイト関連費に充てられるのは12万5千円までです。ホームページに大きくかけたい会社は、看板や展示会など、ほかの経費の計画を先に固めてから配分を決めます。ウェブサイト関連費の要件はウェブサイト関連費の要件でくわしく取り上げています。
ネットショップに人を呼ぶ広報の足し方
ネットショップを作っただけでは新しい客は増えにくく、採択事例でも、ウェブと広報費を組み合わせた計画がいちばん多い形です。
ネットショップを置いておくだけでは閲覧者が増えなかった酒造会社は、新聞の折込チラシとインターネット広告を出し、ネット広告の掲載期間には通常の倍ほどの申し込みがありました(中小機構 活用事例)。チラシを持って来店する新しい客も見込みどおり増えています。
ウェブに人を呼ぶ広報は、ネット広告とSNS広告に加えて、紙のチラシや商品に入れるしおりのように、手に取った人をネットへ案内するものも使えます。広告やSNSの採択事例は広告・SNS・Web広告を出した採択事例にまとめています。
専門家から見た販路開拓のポイント
販路開拓の計画は、何を買うかより先に「今の売上を誰に頼っていて、次にどこへ届けるか」を1文で書けるかどうかで、審査での伝わり方が大きく変わります。
持続化補助金の採択事例のうち、課題が「販路・情報発信」だった事例は274件で、全体の75.3%を占めます。同じ課題の会社が多いぶん、経費の組み合わせより、届け先を変える理由の具体さで差がつきます。
広報費を厚くしたほうがよい会社
店や工房に来てもらえば買ってもらえるのに、地域で存在が知られていない会社です。看板やのれん、折込チラシ、ショップカードのように、近くの人の目に入るものから始めると、来店の数で成果を確かめやすくなります。
ウェブを軸にしたほうがよい会社
商品を送れて、遠くにも買い手がいるのに、卸先や小売店を通してしか売れていない会社です。ネットショップを作り、広報費でネットへ人を呼ぶ形が合います。ウェブサイト関連費の上限があるため、ネットショップは必要な機能にしぼります。
ホームページを作った採択事例はホームページ・LPを作った採択事例で探せます。
間違えやすい点
販路開拓の経費で間違えやすいのは、広告の掲載時期、ウェブの上限、営業の外注の3つです。
チラシの配布やネット広告の掲載は、補助事業の期間の中で行ったものだけが対象です。交付決定の前に配ったチラシや、期間が終わったあとに出す広告は補助されません。
ウェブサイト関連費が補助金全体の4分の1を超える計画は、実績報告の段階で減らすことになります。申請の時点で、ほかの経費とのバランスを決めておきます。
新しい取引先へ電話をかけてもらうような営業の外注は、持続化補助金では「テレフォンアポイントメント等、営業代行業務の委託に係る費用は対象外」とされています。販路開拓でも、人に営業してもらう費用は補助されません。
交付決定より前に動いた経費の扱いは交付決定前の発注が補助対象外になる理由で取り上げています。
よくある質問
ホームページを作るだけで持続化補助金に申請できますか?
できません。ウェブサイト関連費だけの申請は認められていないため、看板やチラシ、展示会、設備など、ほかの経費と組み合わせて計画を作ります。
SNS広告やネット広告は広報費になりますか?
なります。持続化補助金の広報費には、パンフレット・ポスター・チラシのほか、インターネット広告とSNS広告も含まれます。
販路開拓と言えるのは新しいお客さんだけですか?
新しい客層や新しい地域、新しい売り方に広げる取り組みが中心です。今の客に同じものを売り続けるだけの計画は、販路開拓として説明しにくくなります。
ネットショップの月額の利用料は対象になりますか?
ほかの質問も見る持続化補助金のよくある質問出典(1件)
- 持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版 商工会議所地区 p.14『7.(3)③ ウェブサイト関連費』
小規模事業者持続化補助金の関連記事
一覧へ公開 2026/10/17
要点様式4(事業支援計画書)は、地域の商工会・商工会議所が計画を確かめて発行する書類で、無いと持続化補助金の申請を完了できません。地区ごとの依頼のしかた、申請締切より早い受付期限、窓口で確かめられる点を公募要領で整理しました。
公開 2026/10/17
要点持続化補助金の採択事例で広報費に使われたのは、チラシ、パンフレット・カタログ、看板、ネット広告・SNS広告の順です。品目ごとの使い方の例と、広報費の上限、名刺やノベルティなど対象外になりやすい物を公募要領とあわせて整理しました。
公開 2026/10/17
要点持続化補助金の経営計画書は、公募要領の計画審査の4項目の順に、強みと課題を数字で示し、補助事業で売上と粗利が増える道筋を書きます。欄ごとに書く中身、効果の数字の根拠の示し方、経費の積算で点を落とさない書き方を整理しました。
公開 2026/10/17
要点持続化補助金の審査項目「経営方針・目標と今後のプランの適切性」で見られるのは、強みを踏まえているか、狙う客の要望をつかんでいるか、売上高と粗利を増やす目標かです。採択事例の方針の例と、目標とプランの書き方をまとめました。