持続化補助金の補助事業計画の書き方|有効性で見られる5つの観点
この記事の要点
持続化補助金の審査項目「補助事業計画の有効性」は、事実にもとづく目標、具体的で実現できる計画、新しい価値、デジタルの活用、買った物のその後の5つの観点で読まれます。採択事例の書き方と、差がつく観点を整理しました。
この記事の目次
持続化補助金の審査項目「補助事業計画の有効性」では、客観的な事実にもとづく目標、具体的で実現できる計画、新しい価値を生む取り組み、デジタル技術の活用、買った物を使い続けるかの5つの観点で計画が読まれます。
採択事例を観点に当てはめると、目標と取り組みは具体的に書けている事例が多い一方、デジタルの活用と買った物のその後は書き込みが薄い事例が目立ち、ここで差がつきます。
持続化補助金の経営計画書のうち、補助事業計画の欄に何を、どこまで具体的に書けばよいかを知りたい方に向けた記事です。
小規模事業者持続化補助金(通常枠)の公募要領にある審査の観点と、採択事例の公開された内容を観点ごとに5段階で読み取った結果から、書き方を整理します。
小規模事業者持続化補助金とは?
小規模事業者持続化補助金は、従業員の少ない事業者が、経営計画にもとづいて販路を広げる取り組みの費用の一部を補助する国の制度です。経営計画書と補助事業計画書を出し、書面の審査で採否が決まります。
今の公募の締切と申請の準備は持続化補助金の最新公募で取り上げています。
有効性の審査で見られる5つの観点
計画審査は4つの項目で、補助事業計画の有効性はその3つ目です。公募要領はこの項目に5つの問いを置いていて、補助事業計画の欄はこの5つに順に答える形で書くと、読み手が評価しやすくなります。
| 観点 | 公募要領の問い(要旨) | 計画書に書くこと |
|---|---|---|
| ①客観的な事実にもとづく目標 | 効果の目標が客観的な事実にもとづき、売上高・売上総利益の増加を目指すか | 目標の数字と、その元になった事実(問い合わせ、試作の反応、統計) |
| ②具体的で実現できる計画 | 具体的で実現の見込みが高く、販路開拓を通じて方針・目標に必要かつ有効か | 何を、誰に、いつ、いくつ行うかと、それを自社でやれる理由 |
| ③新しい価値を生む取り組み | 技術やノウハウ、アイデアで、狙う客にとって新しい価値のある商品・サービス・提供方法か | 今までの商品や売り方と何が違うか |
| ④デジタル技術の活用 | デジタル技術を有効に使う取り組みがあるか | 予約、通販、顧客の記録など、デジタルを使う場面 |
| ⑤買った物を使い続けるか | 取得した資産を補助事業の後も使い続け、事業に生かすことが明確か | 補助事業が終わった後の使い道 |
出典:持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区) p.33『12. 採択審査(Ⅱ.計画審査)』台帳で見る
4つの審査項目のほかの書き方は、持続化補助金の経営状況分析の書き方で最初の項目から取り上げています。
目標は事実から積み上げた数字で書く
1つ目の観点で評価が高い計画は、目標の数字の横に、その数字が出てきた元の事実を書いています。採択事例を観点に当てはめると、評価がいちばん高い段階になった事例は、「DMを148件に送り、大手の小売店と百貨店の2社で販売、3社で試験販売が決まった」「高齢者の新しい客4グループ12人を受け入れ、売上が103,680円増えた」のように、相手と件数がそろっていました。
反対に、「工数が減る見込み」「売上の増加が期待できる」だけで終わる書き方は、読み手がどれだけ増えるかを判断できません。目標は売上高と売上総利益の両方で書き、そこに至る客の数や件数を添えます。売上の目標の決め方は持続化補助金で売上はどれだけ増えた?で取り上げています。
取り組みは相手と数量まで書き切る
2つ目の観点では、やることと、それを向ける相手が具体的に書けているかが見られます。評価の高い事例は「ホームページ、パンフレット100部、チラシ2,000部と、相手ごとに分けている」「パッケージ、ホームページ、ポスターと店頭の案内、展示会と手段が具体的」のように、媒体ごとに数と届け先を書いていました。
- 取り組みの名前:何を作るか、何を始めるか
- 相手:どの地域の、どんな客か(例:近くの工業団地で働く人)
- 数量と時期:部数、出展の回数、公開する月
- 実現できる理由:自社の強み、すでにある引き合い、協力してくれる先
取り組みと課題の対応のさせ方は持続化補助金の経営計画書の書き方で取り上げています。
新しい価値とデジタル活用の書き分け方
3つ目の観点は、新商品に限らず、届け方や売り方の新しさでも答えられます。評価の高い事例は「業界に例のない工法で、軽くて安い人工竹を作った」「県内で初めて、豆から一貫して作るチョコレートにした」のように、何が新しいのかを一言で言える形にしていました。
4つ目の観点について、公募要領は「補助事業計画にデジタル技術を有効的に活用する取組が見られるか」と問うています1。採択事例では、ホームページを作っても、それで何をするかが書かれていない事例は評価が上がりません。予約を受ける、通販で地域の外に売る、客の購入の記録を次の案内に使う、のように、デジタルが仕事のどの場面を変えるかまで書きます。
ホームページや予約の仕組みを入れる計画の書き方は持続化補助金で予約・POS・業務システムは入れられる?で取り上げています。
買った物を使い続ける計画を書く
5つ目の観点は、補助事業が終わった後のことです。採択事例を観点に当てはめると、この観点を数字つきで書けた事例はごくわずかで、その1つは「冷凍庫で、在庫を120本から1,200本に増やして使い続けている」のように、その後の使い方まで示していました。
補助金で買った物には決まった期間の扱いの決まりもあり、公募要領は「単価50万円(税抜き)以上の機械装置等、自社ウェブサイトの外注作成、店舗改装による不動産の効用増加等は処分制限財産。補助金の支払後も一定期間、目的外使用・譲渡・担保提供・廃棄等が制限される」としています。計画書には、補助事業の後の1年から数年で、買った機械や作ったサイトを何に使い続けるかを1〜2行で書き足します。買える機械の条件は持続化補助金で買える機械は?で取り上げています。
専門家から見た補助事業計画のポイント
補助事業計画は、5つの観点のうち、ほかの事業者が書き落としやすい④と⑤を丁寧に書くと、同じ取り組みでも読み手の評価が変わります。採択事例の公開された内容を観点ごとに読むと、①の目標と②の具体さは多くの事例で読み取れる一方、④のデジタルは公開情報から読み取れない事例が多く、⑤のその後の使い方まで具体的に書いた事例も少数でした。
持続化補助金の採択事例364件のうち、ウェブサイト関連費を使った事例は119件(32.7%)です。デジタルを使う取り組みがあっても、それを審査の観点として書いているとは限りません。
書き方を足すだけで評価が上がりやすい会社
すでにネットで予約や注文を受けている、客の名簿を持っている会社です。補助事業の取り組みとそれをつなげて書くだけで、④の観点に答えられます。
計画の中身から見直したほうがよい会社
チラシや看板だけで計画を組み、新しい点もデジタルの場面も無い会社です。売り方を1つ変える(予約を受ける、試食を配る、通販を始める)と、③と④の両方に答えられる計画になります。観点ごとの読み取りは採択事例のデータで確かめられます。
間違えやすい点
補助事業計画で間違えやすいのは、過去に採択された事業者の書き方、業務効率化の経費、取り組みと経費のずれの3つです。
公募要領は、過去に採択された事業者について「過去に持続化補助金で採択され実施した事業者は、これまでと異なる事業であることを様式2に記載。同じ事業と見受けられる場合は不採択(採択後判明でも遡って取消)」としています。前回と何が違うかを最初に書きます。
「業務効率化(生産性向上)の取組」の経費は申請時に様式に記載し経費明細表に計上していることが前提。変更承認で事後に加えることはできないとされています。作業を楽にする取り組みは、申請の時点で計画と経費の両方に入れておきます。
計画に書いた取り組みと、経費の明細の項目は1つずつ対応させます。計画にない経費や、経費の無い取り組みがあると、計画の有効性と積算の両方で読み手が迷います。
経費の積算の書き方は持続化補助金の採択率と審査基準でも取り上げています。
よくある質問
5つの観点すべてに答えないと採択されませんか?
審査は項目ごとの評価を合わせた総合点で行われ、すべてに満点で答える必要はありません。ただし、答えていない観点は評価されないため、一言でも触れておくほうが有利です。
デジタルを使う取り組みが無い業種はどう書けばよいですか?
予約の受付、通販、顧客の記録、SNSでの案内など、補助事業の一部でデジタルを使える場面が無いかを探します。無理に入れず、補助事業の後に使う予定として書く方法もあります。
補助事業計画は何ページくらい書けばよいですか?
決まりはありません。採択事例の書き方を見ると、5つの観点に1段落ずつ答え、取り組みごとに表で整理した形が読みやすくなっています。
計画どおりに進まなかったら採択が取り消されますか?
ほかの質問も見る持続化補助金のよくある質問出典(1件)
- 持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区) p.33『12. 採択審査(Ⅱ.計画審査③)』
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