補助金の申請サポート費用の仕組み|着手金・成功報酬と専門家の選び方
この記事の要点
補助金の申請サポート費用は契約で決まり、申請書に支援者名と報酬額を書く決まりがあります。専門家に頼む予定の中小企業・個人事業主向けに、頼める範囲、対象経費にならない点、悪質な業者の見分け方をまとめます。
この記事の目次
補助金の申請サポート費用は、着手金や成功報酬など依頼先との契約で決まり、国の公募要領は金額の目安を示していません。
その代わり、新事業進出・ものづくり補助金や省力化投資補助金、持続化補助金では、支援を受けた会社が申請時に支援者の名前と報酬額を書く決まりがあり、書き漏れは不採択や交付決定取消の対象です。
次の締切は新事業進出・ものづくり補助金が2026年10月30日(金)18:00、持続化補助金(商工会議所地区)が2026年12月15日(火)17:00なので、契約内容は申請準備に入る前に確かめておきます。
補助金の申請を専門家に手伝ってもらいたいけれど、費用の決まり方がわからず、高い請求をされないか不安な社長に向けた記事です。公募要領に書かれた支援者のルールと、2026年1月に施行された改正行政書士法をもとに、費用の仕組み、頼める範囲、契約前に確かめる点をまとめます。
補助金の申請サポート費用はどう決まる?着手金と成功報酬の仕組み
補助金の申請サポート費用は、依頼する専門家と会社の契約で決まり、国が料金表や上限を定めているわけではありません。よく使われる名目は、契約時に払う着手金と、採択(審査に通り補助金の交付候補者に選ばれること)のあとに払う成功報酬の2つです。
名目の扱いについて、持続化補助金の公募要領は「着手金、成功報酬その他名目のいかんを問わず」支援に関わる金額を申請書に書くよう求めています。つまり、名目を分けても、手数料と呼んでも、払うお金はすべて申告の対象です。
費用の形ごとに、払うタイミングと確かめる点を整理した表です。
| 費用の形 | 払うタイミング | 契約前に確かめる点 |
|---|---|---|
| 着手金 | 契約時 | 不採択でも返金されないか、何回分の打ち合わせを含むか |
| 成功報酬 | 採択の発表後 | 何を基準に計算するか、交付決定前や減額時の扱い |
| 採択後の手続き支援 | 交付申請・実績報告の時期 | 成功報酬に含まれるか、別料金か |
成功報酬で特に確かめたいのは、採択と入金の時期のずれです。持続化補助金の公募要領にもあるとおり補助金は後払いのため、採択時に成功報酬を払うと、補助金が入る前に手元の資金が出ていきます。入金までの流れは補助金の入金時期の記事にまとめています。
出典:持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区) p.2『注意事項』
申請書には支援者の名前と報酬額を書く決まりがある
外部の専門家の支援を受けて申請するときは、支援者の名前と報酬の額を申請書に書くことが、主な補助金の公募要領で求められています。書かずに申請し、あとで支援を受けていたとわかると、不採択や採択取消、交付決定取消の対象になります。
補助金ごとに、申請時に書く項目と書き漏れたときの扱いを並べた表です。
| 補助金 | 申請時に書く項目 | 書き漏れたとき |
|---|---|---|
| 新事業進出・ものづくり補助金(第1回) | 支援者名、支援内容、報酬(予定)額、契約期間 | 不採択・採択取消・交付決定取消 |
| 省力化投資補助金 一般型(第8回) | 支援者名、報酬、契約期間(成功報酬は採択時に払う金額) | 不採択・採択取消・返還、事業者名と代表者名を含む公表 |
| 持続化補助金 通常枠(第20回) | 商工会・商工会議所を除く第三者の名前と、支援に関わる金額 | 虚偽の報告として不採択・交付決定取消 |
この記入欄は、支援料が無料でも関係があります。持続化補助金の公募要領は、支援料金の支払いの有無に関わらず記入するよう書いています。新事業進出・ものづくり補助金では、支援者が複数いる場合はすべてを入力します。
逆に言えば、報酬額は事務局に知られる前提の数字です。支援者から「名前を書かないでほしい」と言われたら、それ自体が公募要領の挙げる不適切な行為にあたります。数字の根拠は公募要領の台帳にまとめています。
出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.38『2-2. 申請の方法』
サポート費用で頼めるのは事業計画の検討・助言まで
専門家に頼めるのは事業計画の検討やブラッシュアップへの助言までで、計画の作成と電子申請は申請する会社自身が行います。これは公募要領で決められていて、守らないと不採択や採択取消の対象になります。
新事業進出・ものづくり補助金の公募要領は、認定支援機関(国の認定を受けた中小企業の支援者。詳しくは認定支援機関の記事)を含む外部支援者の助言を受けることは差し支えないとしたうえで、作成自体を申請者以外が行うことは認めないと明記しています。省力化投資補助金 一般型も、事業計画は申請者自身で作るよう求めています。
申請者本人が行うこと
- 事業計画の作成:内容を考え、文章にするのは会社側
- 電子申請:入力内容を理解し、確認したうえで会社自身が送信する。同じパソコンから大量の申請があると事務局が事情を聞く場合がある
- GビズIDの管理:IDとパスワードを支援者に教えない(利用規約に反する)。取得方法はGビズIDの記事へ
- 口頭審査・プレゼン審査:社長など本人が対応し、支援者やコンサルタントの同席は認められない
口頭審査の同席禁止は、新事業進出・ものづくり補助金と省力化投資補助金 一般型の両方に書かれています。成長加速化補助金の2次審査(プレゼンテーション審査)でも、外部コンサルティング会社の同席は認められず、経営顧問の形での同席も認められません。審査の流れは成長加速化補助金の申請・審査の記事にあります。
そのため、依頼の見積もりに「計画書を書き上げる」「申請ボタンまで押す」といった作業が含まれている場合は、公募要領の決まりと合いません。費用を払う対象は、計画を一緒に考え、審査の観点から足りない点を指摘してもらう時間だと考えると、判断を誤りにくくなります。
2026年1月から、報酬を得て官公署向けの書類を作れるのは行政書士だけ
改正行政書士法が2026年1月1日(木)に施行され、行政書士でない者が報酬を得て官公署に出す書類を作ることは、名目を問わず禁止と明記されました。総務省の行政書士制度のページ(2026年10月13日確認)は、「いかなる名目によるかを問わず」という文言で、手数料やコンサルタント料といった名目でも対価を受け取れば対象になると説明しています。
違反した場合、行為者には1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科されると、同じページに書かれています。他の法律に別段の定めがある場合などは除かれます。
補助金の申請書類がこの規定の対象になるかについて、総務省のこのページは個別に触れていません。ただ、公募要領そのものが計画の作成を申請者本人に求めているため、行政書士かどうかに関わらず、専門家に払う費用は助言の対価として契約するのが筋です。書類の作成まで任せる契約を持ちかけられたら、相手の資格と契約の中身を確かめます。
出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.2『外部支援者活用時の注意』
サポート費用は補助金の対象経費にならない
申請を手伝ってもらった費用は、どの補助金でも補助の対象外で、全額を自己負担で払います。補助金で費用を取り戻すことはできないため、手元資金から払える額かを契約前に計算しておきます。
補助金ごとの扱いは次のとおりです。
- 新事業進出・ものづくり補助金:事業計画書の作成支援者に払う経費は、専門家経費の対象外
- 省力化投資補助金 一般型:応募時に事業計画書の作成を支援した者は、専門家経費の対象外
- 省力化投資補助金 カタログ注文型、デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金):補助金の申請や報告の手続きを代わりに行う費用は対象外
- 持続化補助金:コンサルティングやアドバイスの費用、成功報酬型の費用は対象外(インボイス制度対応のための専門家への相談費用は除く)
もう1つ見落としやすいのが、支援者への発注です。新事業進出・ものづくり補助金では、事業計画作成支援者やその関係会社に補助事業の発注をしたり、見積もりを取ったりすることが認められていません。サポートとセットで設備やシステムの購入を勧められたときは、この決まりに当てはまらないか確かめます。
出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.31『1-6-1. 補助対象経費の区分』
自力で申請するか、専門家に頼むかの比べ方
自力で申請するか専門家に頼むかは、社内で計画を考える時間と、審査の観点を知っている人の目がどこまで必要かで決めます。無料の公的窓口もあるので、費用をかける前に使える窓口を確かめておくと比べやすくなります。
相談先ごとの費用と、頼めることの違いを並べた表です。
| 相談先 | 費用 | 頼めること | 向いている会社 |
|---|---|---|---|
| 自力(相談なし) | かからない | なし。公募要領を読み、計画を一人で組み立てる | 過去に採択された経験があり、計画づくりの時間を取れる会社 |
| よろず支援拠点 | 無料(中小企業庁の案内) | 経営全般の相談、会社全体の事業計画づくり | 補助金の前に経営の方向性から整理したい会社 |
| 商工会・商工会議所 | 窓口に確認 | 持続化補助金では事業支援計画書(様式4)の発行と、事業実施中の助言 | 持続化補助金に申請する小規模事業者 |
| 民間の専門家 | 契約で決まる | 事業計画の検討・助言、審査項目に沿った見直し | 投資額が大きく、審査項目が多い補助金に挑む会社 |
持続化補助金は、商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であることが要件で、様式4の発行受付は2026年12月4日(金)に締め切られます。新事業進出・ものづくり補助金の公募要領も、補助金獲得だけを目的にした申請支援が多く見られると指摘し、会社全体の計画づくりにはよろず支援拠点などの公的支援機関も使うよう勧めています。
自力で進める場合の流れと判断基準は補助金は自力で申請できるかの記事にあります。締切や受付期間は公募回ごとに変わるため、最新の公募要領で確認が必要です。
出典:持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区) p.7『4. 補助対象事業』
悪質な業者は公募要領の「不適切な行為の例」で見分ける
悪質な業者かどうかは、公募要領が挙げる「不適切な行為の例」に当てはまるかで見分けられます。新事業進出・ものづくり補助金と省力化投資補助金 一般型の公募要領は、次のような行為を具体的に挙げています。
- サービスの内容や実際の作業とかけ離れた、高額な成功報酬を請求する
- 金額や条件があいまいな契約を結ばせる
- 強引に申請を勧める
- 経費の水増しなど、申請書に事実と違うことを書くようそそのかす
- 申請書に支援者の名前を書かないよう求める
- 申請手続きを代わりに行うことを主なサービスとして営業する(省力化投資補助金 一般型)
- 認定支援機関が、事業者への支援を他者に委託・外注する(新事業進出・ものづくり補助金)
デジタル化・AI導入補助金の事務局は、「キャッシュバック」「実質無料」をうたう勧誘は不正の可能性があると注意を呼びかけています。購入費用をあとで返金する、紹介料やコンサル料の名目で資金を戻す、GビズIDを他者に共有して手続きをさせる、といった行為が不正の例です。
中小企業庁は、補助金や助成金の勧誘を電話・メール・はがき・SNSで行うことは一切ないとしています。「中小企業庁の認定を受けた」と名乗る会社からの連絡は、名乗りだけで信じないようにします。
他社と同じか似た内容の計画を支援者が主導して申請させた場合、新事業進出・ものづくり補助金では、その支援者が関わった申請を以後受け付けない可能性があると書かれています。ひな形を使い回す業者に頼むと、会社自身の申請にも影響が及びます。
不審に感じたときの連絡先として、新事業進出・ものづくり補助金の公募要領はトラブル等通報窓口(専用フォーム)を案内しています。同じ公募要領には、支援者が認定支援機関の場合、認定支援機関名の公表や業務改善命令、認定取消に至る可能性があるとも書かれています。
出典:中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募) p.4『重要』
専門家から見たポイント:費用で失敗しないための確認事項
費用で失敗しないためには、契約書に支援の中身と金額を数字で書いてもらい、その内容をそのまま申請書の記入欄に写せるかを確かめます。申請書に書けない契約は、それだけで公募要領と合っていません。
専門家に頼むのが向いている会社
投資額が大きく、審査項目の多い補助金に申請する会社です。新事業進出・ものづくり補助金の事業計画書には、自社の強みと弱み、外部環境の分析、競合と比べた優位性などを書く欄があり、社内だけでは客観的な見直しが難しい部分です。審査の観点は採択される会社の審査観点の記事にまとめています。
採択の可能性を高めるのに効く点
口頭審査やプレゼン審査では社長本人が説明するため、計画の中身を社長自身の言葉で話せることが採択の可能性を高めます。専門家との打ち合わせは、書面を整える場ではなく、審査で聞かれそうな質問に社長が答えられるようにする場として使うのが効率的です。
よくある失敗
- 契約書がなく、口頭の約束だけで成功報酬の額があいまいなまま申請した
- 支援を受けたのに、申請書の支援者欄を空欄のまま出した
- サポート費用も補助で戻ると思い込み、資金繰りに穴が空いた
- 支援者が勧める会社に設備を発注しようとして、発注先の決まりにかかった
契約前に、支援内容、報酬の金額と払う時期、契約期間、不採択や途中解約のときの扱いの4点を書面で受け取ります。申請書に書く「支援内容」「報酬(予定)額」「契約期間」は、この書面から写せる状態にしておきます。
出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.52『3-2. 口頭審査』
当社の申請サポートでできること
当社は、補助金に申請する会社の事業計画の検討・助言を行い、計画の作成と申請は社長自身が進められるよう伴走します。手伝う内容は次のとおりです。
- どの補助金と枠が自社の投資に合うかの整理
- 社長が考えた事業計画を、公募要領の審査項目に照らして足りない点を指摘
- 口頭審査やプレゼン審査で聞かれそうな質問への準備
使える補助金があるか、どこから準備するかを知りたい方はお問い合わせからご相談ください。
よくある質問
補助金の申請を専門家に頼むときの費用は?
依頼先との契約で決まり、国の公募要領には金額の目安や上限は書かれていません。着手金と成功報酬の組み合わせが多く、払う額は名目に関わらず申請書の支援者欄に書きます。無料で相談できる公的窓口としては、中小企業庁が案内するよろず支援拠点があります。
成功報酬だけの契約なら安心?
安心とは限りません。公募要領は、サービスの内容とかけ離れた高額な成功報酬を不適切な行為の例に挙げています。計算の基準、払う時期、交付決定で金額が減ったときの扱いを契約前に書面で確かめます。
専門家に計画書を書いてもらって申請してもいい?
できません。新事業進出・ものづくり補助金や省力化投資補助金の公募要領は、計画の作成を申請者自身が行うよう求め、申請者以外が作ったと発覚した場合は不採択や採択取消の対象としています。専門家に頼めるのは検討やブラッシュアップへの助言です。
サポート費用は補助金の対象になる?
なりません。事業計画書の作成支援者への経費や、補助金の申請・報告の手続きを代わりに行う費用は、各補助金で対象外と定められています。全額を自己負担で払う前提で資金計画を立てます。
無料で手伝ってもらった場合も申請書に書く?
書きます。持続化補助金の公募要領は、支援料金の支払いの有無に関わらず、商工会・商工会議所を除く第三者から支援を受けたら相手方と金額を書くよう求めています。書き漏れは虚偽の報告として不採択や交付決定取消の対象です。
行政書士ではないコンサルタントに書類作成を頼める?
報酬を払って官公署に出す書類を作ってもらうことは、2026年1月1日施行の改正行政書士法で、名目を問わず行政書士以外には認められないと明記されました。補助金では、そもそも計画の作成は申請者本人が行う決まりのため、コンサルタントには助言を頼む形にします。
ほかの質問はよくある質問(専門家への相談)にまとめています。
まとめ
補助金の申請サポート費用は契約で決まり、その金額は申請書に書いて事務局に申告するものです。専門家に頼めるのは事業計画の検討・助言までで、計画の作成、電子申請、口頭審査は社長自身が行います。依頼を考えている方は、支援内容と報酬を書面で受け取ってから契約し、使えるか・採択の可能性を高めるには何が要るかは、専門家がお答えします。
参考資料
- 中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領」(1.3版、令和8年9月)
- 中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募)」(2026年9月18日改訂)
- 中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領」(改訂No.11、令和8年3月19日)
- 日本商工会議所 補助金事務局「小規模事業者持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領」(第8版、2026年7月21日)
- デジタル化・AI導入補助金事務局「デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 公募要領」(2026年10月9日)
- デジタル化・AI導入補助金事務局「不正行為にご注意ください」
- 中小企業基盤整備機構「中小企業成長加速化補助金(3次公募)公募要領」(Ver1.4)
- 総務省「行政書士制度」
- 中小企業庁「相談窓口・ご意見・お問い合わせ」
確認日:2026年10月13日
中小企業診断士 神谷 恒一が内容を確認しました(2026年10月13日)。
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