採択後に計画を変えたいとき|変更承認が要る変更・要らない変更の線引き
この記事の要点
交付決定の後に経費の配分や中身を変えるときは、発注の前に事務局の承認を受けます。承認なしで動かせる流用の割合、承認が要る変更の例、申請していない経費を足せるか、申請の順番を6つの補助金の交付規程で整理しました。
この記事の目次
交付決定の後に経費の配分や事業の中身を変えるときは、発注の前に事務局の承認を受けます。承認なしで動かせるのは、経費区分の間の小さな流用と、目的を変えない細かな変更だけです。
承認なしで流用できる割合は制度ごとに交付規程で決まっていて、申請していない経費を後から足すことは原則できません。
採択の後に、見積の金額が変わった、買う機械を変えたいなど、計画を変えたくなったときに、どこまでなら承認なしで変えられるのかを知りたい方に向けた記事です。
持続化補助金、省力化投資補助金、成長加速化補助金、事業承継・M&A補助金、デジタル化・AI導入補助金、新事業進出・ものづくり補助金の交付規程と公募要領から、計画変更の決まりを整理します。
補助金の計画変更承認とは?
補助金の計画変更承認とは、交付決定を受けた補助事業の経費の配分や中身を変える前に、事務局に申請して認めてもらう手続きのことです。交付決定は申請した計画に対して出ているので、計画を変えるには改めて認めてもらう必要があります。
根拠は補助金適正化法の第7条で、交付決定には内容を変えるときの承認などの条件を付けられると定めています。持続化補助金の公募要領も、交付決定後に経費の配分や内容を変更する場合、補助事業を中止・廃止・承継する場合は事前に事務局の承認が必要としています。法律の決まりの全体は補助金適正化法とは?で取り上げています。
承認なしで動かせる経費の流用は何割まで?
経費区分の間で金額を動かす「流用」は、各配分額の一定の割合までなら承認が要りません。割合は制度によって違います。
| 補助金 | 承認が要らない流用の範囲(交付規程) |
|---|---|
| 持続化補助金(通常枠) | 第12条(計画変更の承認等):経費区分ごとの配分額を変える(各配分額の20%以内の流用増減を除く)、または事業内容を変える(軽微な変更を除く)ときは、原則として事前に変更承認申請書(様式第4)を出して承認を受ける。 |
| 持続化補助金(共同・協業型) | 第12条(計画変更の承認等):経費区分ごとの配分額を変える(各配分額の10%以内の流用増減を除く)、または内容を変える(軽微な変更を除く)ときは、事前に計画変更承認申請書(様式第4)で承認を受ける。補助率が同じ区分間は流用できるが、補助率が違う区分間では流用できない。 |
| 省力化投資補助金(一般型) | 第13条(計画変更の承認等)第3項:一般型で各配分額の10%以内の流用増減、カタログ注文型の実施場所の変更、中小機構が軽微と認める変更は、承認なしで変更できる。 |
| 成長加速化補助金 | 第12条(計画変更の承認等):経費区分の配分額の変更(10%以内の流用増減を除く)、単価50万円(税抜)以上の物品・役務の変更、事業内容の変更(軽微な変更を除く)、中止・廃止、実施場所の変更、承継、破産・民事再生等の法的整理を行うときは、事前に申請して承認を受ける |
| 事業承継・M&A補助金 | 第11条(計画変更の承認等):経費区分ごとの配分額の変更(各配分額の10%以内の流用増減を除く)、事業内容の変更(軽微な変更を除く)、事業の中止・廃止は、前もって様式第3で申請し承認を受けます。 |
出典:持続化補助金 通常枠 交付規程(2026年3月6日改定) p.3『第12条(計画変更の承認等)』
持続化補助金のビジネスコミュニティ型のよくある質問も、交付規程の割合以内の流用なら変更承認申請は要らず、超える場合は事務局が変更の合理性と経済性を審査して可否を決めると答えています。流用で金額が増えても、交付決定額は増えません。交付決定額が決まる仕組みは交付決定額が採択額より減るのはなぜ?で取り上げています。
承認が要る変更にはどんなものがある?
流用の範囲を超える変更のほか、買うものや事業の中身を変える場合は承認が要ります。省力化投資補助金の交付規程は「第13条(計画変更の承認等)第1項:次の場合は事前に計画変更申請書(様式第2)を出して承認を受ける。一般型の経費区分ごとの配分額の変更、一般型の単価50万円(税抜)以上の物品・役務の変更、事業内容の変更、一般型の実施場所の変更、中止・廃止、破産・会社更生・民事再生等の法的整理、事業の承継。」としています。
| 変更の例 | 承認 |
|---|---|
| 経費区分の間で流用の範囲を超えて金額を動かす | 要る |
| 交付規程で決まった単価以上の機械を、別の型番・別のメーカーに変える | 要る(省力化・成長加速化・事業承継など) |
| 設備を置く事業場を変える | 要る(新事業進出・ものづくりは原則できない) |
| 個人事業主が法人になる・事業を譲る | 要る |
| 事業をやめる(中止・廃止) | 要る |
| 同じ性能で安い機械に変えるなど、目的を変えずに効率を上げる | 軽微な変更として要らないことがある |
出典:省力化投資補助金 交付規程(一般型・カタログ注文型共通) p.3『第13条(計画変更の承認等)』
何が軽微な変更にあたるかは、事務局が判断します。持続化補助金の交付規程は「第12条(計画変更の承認等):承認が要らない軽微な変更とは、補助目的を変えずにより能率的に目的を達成するための変更、または補助目的・事業能率に関係しない計画の細部の変更をいう。」と定めています。個人事業主が法人になるときの扱いは法人成りすると補助金はどうなる?で取り上げています。
申請していない経費は後から足せる?
申請のときに経費の明細に書いていない費目は、原則として後から足せません。持続化補助金の公募要領は、原則として補助事業計画に記載のない新しい費目の追加は認められない。目的達成に必要不可欠と認められる場合に限り、費目追加と経費の流用の変更申請が認められることがあるとしています1。
持続化補助金で業務効率化の取組の経費を入れる場合は、さらに厳しく、「業務効率化(生産性向上)の取組」の経費は申請時に様式に記載し経費明細表に計上していることが前提。変更承認で事後に加えることはできないとされています。ビジネスコミュニティ型のよくある質問も、交付決定の後に申請時に書いていない費目を新しく足すことはできないと答えています。
採択の後で足したい経費が出てきた場合は、今の申請で無理に足さず、次の公募や別の補助金で考えます。補助金どうしの組み合わせ方は補助金の併用・同時申請のルールで取り上げています。
変更の申請はどの順番で出せばよい?
計画変更は、変える前に出すのが決まりです。発注や契約をしてから申請しても、承認されない経費は補助の対象になりません。
- 変えたい中身を決め、新しい見積書を取る(金額によっては相見積も取り直す)
- 流用の範囲に収まるか、承認が要るかを交付規程で確かめる
- 承認が要るなら、変更承認申請書と新しい見積書を事務局に出す
- 承認の通知を受け取ってから、発注・契約する
- 実績報告で、承認の通知と変更後の書類をそろえて出す
デジタル化・AI導入補助金は、第19条(計画変更等の承認):交付決定を受けた申請内容を変えるときは、原則IT導入支援事業者の確認を受けて速やかに計画変更届を出し、事務局の承認を受ける。住所・代表者など登録内容が変わったときは速やかに登録変更届を出す。としていて、IT導入支援事業者を通して出します。相見積が要る金額は補助金の相見積もりはいくらからで取り上げています。
専門家から見た計画変更のポイント
計画変更の相談は、複数の経費を組み合わせた計画で多く出ます。持続化補助金の採択事例364件のうち、広報費を使った事例は216件、ウェブサイト関連費を使った事例は119件あり、チラシとサイトの間で金額を動かしたくなる場面がよくあります。
流用の範囲で収めやすい会社
経費区分ごとの金額に少し余裕を持たせて申請した会社です。見積が少し上がっても、流用の範囲の中で別の区分から回せます。
変更承認を前もって相談したい会社
機械の型番の変更や、設備を置く場所の変更を考えている会社です。承認が下りるまでは発注できないので、納期が長い機械は早めに事務局へ相談します。変更で減額になる場面は採択後に補助金が減額・返還になるケースで取り上げています。
間違えやすい点
計画変更で間違えやすいのは、流用の割合の基準と、承認を受ける時期です。
流用の割合は、補助金の合計ではなく、動かす経費区分ごとの配分額に対して数えます。小さい区分から大きく動かすと、割合を超えやすくなります。
承認の前に発注した経費は、後から承認されても対象にならないことがあります。承認の通知の日付より後に発注します。
交付決定通知に付いた条件も、変更の可否に関わります。通知の読み方は交付決定通知書とは?で取り上げています。
よくある質問
見積の金額が下がった場合も変更の申請が要りますか?
同じものを安く買えた場合は、多くは軽微な変更として扱われます。補助金は実際に払った額をもとに確定するので、交付される額は下がります。
変更の承認にはどのくらいかかりますか?
日数は決まっておらず、事務局の審査しだいです。補助事業の期間に間に合うよう、早めに出します。
変更が認められなかったらどうなりますか?
もとの計画どおりに進めるか、その経費をあきらめて残りの経費で事業を行います。計画を続けられないときは、中止・廃止の承認を申請します。
補助事業の期間を延ばすのも計画変更ですか?
ほかの質問も見る補助金のよくある質問出典(1件)
- 持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区) p.25『10.補助事業者の義務(採択後に遵守すべき事項)』
参考資料
- 持続化補助金事務局「持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区)」
- 持続化補助金事務局「持続化補助金 通常枠 交付規程(2026年3月6日改定)」
- 持続化補助金事務局「持続化補助金 共同・協業型 交付規程(2026年8月14日改定)」
- 持続化補助金事務局「ビジネスコミュニティ型 第10回 よくある質問 第3版」
- 中小企業基盤整備機構「省力化投資補助金 交付規程(一般型・カタログ注文型共通)」
- 中小企業基盤整備機構「成長加速化補助金 3次 交付規程」
- 事業承継・M&A補助金事務局「交付規程(15次公募以降)」
- 中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 交付規程(第7回からの改訂版)」
- e-Gov法令検索「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」
- 公募要領の台帳(持続化補助金)
- 公募要領の台帳(省力化投資補助金)
確認日:2026年10月17日
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