地域未来牽引企業は補助金の加点になる?使える補助金と今から選ばれるか
この記事の要点
地域未来牽引企業の加点が使えるのは事業承継・M&A補助金だけで、成長加速化補助金では審査の評価例です。補助金を検討中の社長向けに、選定の仕組み、今から選ばれる余地、選定証の準備と加点が外れる例をまとめます。
地域未来牽引企業に選ばれていることが加点になるのは、公表済みの公募要領では事業承継・M&A補助金(16次)だけです。成長加速化補助金(3次)では、加点ではなく審査の「波及効果」の例として挙がっています。
選定は経済産業省が行うもので、公式ページで確かめられる最後の選定は2020年10月の第3回です。新しい選定や推薦の募集の案内は、公式ページに見当たりません。
今から新しく選ばれて今の締切に間に合わせる道は、公式情報からは確認できません。すでに選ばれている会社は、申請の前に選定証を手元にそろえます。
「地域未来牽引企業だと補助金で加点になる」と聞いた社長に向けた記事です。どの補助金で使えるか、今から選ばれる余地はあるか、申請で何を出すか、気をつける点を、公募要領と経済産業省の公式ページで確かめた範囲でまとめます。
地域未来牽引企業の加点が使える補助金
加点項目として地域未来牽引企業を挙げているのは、事業承継・M&A補助金(16次)の公募要領だけです。ほかの補助金の公募要領には、加点項目として載っていません。
補助金ごとの扱いを並べた表です。
| 補助金(公募回) | 条件の要点 | 期限 | 出すもの |
|---|---|---|---|
| 事業承継・M&A補助金(16次) | 事業承継促進枠、専門家活用枠、PMI推進枠で加点。廃業・再チャレンジ枠の加点項目にはない | 公募申請時点で選定されている | 地域未来牽引企業の選定証 |
| 成長加速化補助金(3次) | 加点ではなく、審査の「波及効果」の例。健康経営優良法人の認定と並んで挙がっている | 申請時に選定済み | 事業計画の中で取組として書く |
| 持続化(第20回)、新事業進出・ものづくり(第1回)、省力化 一般型(第8回)、デジタル化・AI導入(2026) | 加点項目にない | なし | なし |
出典:事業承継・M&A補助金 16次 専門家活用枠 公募要領 p.38『15.2. 加点事由について』台帳で見る
加点の一覧は各補助金の早見表(事業承継・M&A補助金の加点早見表、成長加速化補助金の審査で評価される取組)にまとめています。加点の項目や期限の書き方は公募回ごとに変わるため、最新の公募要領で確認が必要です。ほかの加点と比べたいときは補助金の加点一覧を見てください。
地域未来牽引企業とは?
地域未来牽引企業は、地域経済の中心的な担い手になりうる会社として、経済産業省が選んだ事業者です。会社が書類を出して認定を受ける制度ではなく、国が選ぶ仕組みです。
経済産業省の公式ページは、地域内外の取引の実態や雇用・売上高をもとに、地域経済への影響力が大きく、成長が見込まれる会社を選ぶと説明しています。北海道経済産業局が公表した第3回の選定では、営業利益や従業員数、域外への販売額などのデータによる基準と、自治体・商工団体・金融機関などからの推薦をもとに、外部有識者の検討を踏まえて選んでいます。
- 第1回:2017年12月22日
- 第2回:2018年12月25日
- 第3回:2020年10月13日(全国から1,060社を追加選定)
中部経済産業局のページでは、2017年度から2020年度までに4,730者が選ばれたとしています。選定の有効期間は、2025年3月までだったものが「当分の間、延長」とされ、更新の可否は取組状況などを考えて判断する方針です。
出典:経済産業省北海道経済産業局「地域未来投資・中堅企業支援」
今から選ばれる方法はある?
経済産業省と経済産業局の公式ページには、新しい選定や推薦の募集の案内が載っていません。そのため、今の締切までに新しく選ばれる見込みは、公式情報からは確認できません。
経済産業省の「地域未来牽引企業」のページ(最終更新2026年2月17日)にも、関東経済産業局のページ(最終更新2026年8月26日)にも、申込みの方法や次の選定の時期は書かれていません。会社から自分で申し込む手続きも、公式ページには記載がありません。選ばれるまでの日数も、公式に記載はありません。
すでに選ばれている会社は、次の順番で準備します。
- 経済産業省の「地域未来牽引企業 選定一覧」のサイトで、自社が選ばれているか確かめる。
- 社内で選定証を探す。選定から年数がたっているため、保管場所を経理や総務にも聞きます。
- 見つからないときは、経済産業省 地域経済産業政策課(03-3501-1697)に問い合わせる。選定証の再発行の手続きは、公式ページに記載がありません。
- 補助金の申請書類に、加点に当てはまることを示す書類として選定証を添える。
選ばれていない会社は、締切までに取れる別の加点を検討する方が現実的です。事業承継・M&A補助金の加点には、事業継続力強化計画や健康経営優良法人なども並んでいます。くわしくは事業承継の加点と健康経営優良法人の加点で取り上げています。
締切までの準備
選定済みの会社がやることは選定証を探して添えるだけですが、問い合わせが必要になると日数が読めません。申請書類の準備を始める時点で、選定証の有無を確かめておきます。
公表済みの締切と、やることを並べた表です。
| 補助金(公募回) | 締切 | 選定済みの会社がやること |
|---|---|---|
| 事業承継・M&A補助金(16次) | 2026年11月6日(金)17:00 | 選定証を用意し、申請書類と一緒に出す |
| 成長加速化補助金(3次) | 2026年11月12日(木)15:00 | 事業計画の「波及効果」の中で、選定を受けていることと地域での取組を書く |
| そのほかの補助金 | 制度ごとに異なる | 加点項目にないため、使えない |
出典:中小企業成長加速化補助金(3次公募)公募要領 p.22『8.(2)主な審査内容』台帳で見る
どちらの補助金も、締切を過ぎてからの申請は受け付けられず、成長加速化補助金は締切後の修正や差し替えもできません。選定証が見つからず問い合わせる場合は、締切の直前ではなく、申請の準備を始めた段階で連絡します。
加点が受けられない場合
加点が受けられないのは、選定証を出していないとき、加点項目に入っていない枠で申請したときです。公募要領は、加点に当てはまる会社に、それを証明する書類の提出を求めています。
事業承継・M&A補助金の公募要領は、加点に当てはまることを「証する書類を提出すること」としています。選定されていても、選定証を出さなければ加点の根拠を示せません。廃業・再チャレンジ枠の公募要領には、この加点が入っていません。
事業承継・M&A補助金では、当てはまる加点はいくつでも申請でき、それぞれに書類を出します。公募要領が未達のときに18か月の大幅減点を定めているのは賃上げの加点で、地域未来牽引企業の加点に採択後の達成目標はありません。
M&Aで合併や会社分割をした場合の選定の扱いは、経済産業省が別のページで案内しています。合併後の会社や分割で生まれた会社で申請するときは、所管の地域経済産業政策課に扱いを確かめてから加点を選びます。
出典:事業承継・M&A補助金 16次 専門家活用枠 公募要領 p.40『15.2. 加点事由について』台帳で見る
専門家から見たポイント
地域未来牽引企業の加点は、すでに選ばれている会社だけが使える加点で、今から取りにいく種類のものではありません。
向いている会社
2017年から2020年の選定で選ばれていて、事業承継・M&A補助金でM&Aや承継の費用を申請する会社です。選定証を添えるだけで加点の対象になり、採択後に約束を守る負担もありません。成長加速化補助金を出す会社も、波及効果の説明で選定の事実と地域での取引の広がりを具体的に書けます。
取るべきか迷う会社
選ばれていない会社は、次の選定を待つより、事業継続力強化計画や経営革新計画など、申請して取れる加点を先に検討します。手続きと日数は事業継続力強化計画の加点でまとめています。
よくある失敗
- 代替わりや担当者の交代で、自社が選ばれていることを知らないまま申請する。
- 選定証が見つからず、締切の直前に問い合わせる。
- 成長加速化補助金で加点の欄があると思い込み、事業計画に取組を書かない。
採択後の手続きは事業承継・M&A補助金の採択後の流れで取り上げています。
よくある質問
自社が地域未来牽引企業か調べるには?
経済産業省の「地域未来牽引企業 選定一覧」のサイトで確かめられます。選定の記録が社内に残っていない会社は、選定証の有無と合わせて確認します。
今から申し込んで選ばれることはできる?
公式ページには、新しい選定や推薦の募集の案内が載っていません。会社から申し込む手続きも記載がないため、今の補助金の締切に間に合わせることは見込めません。
2020年より前に選ばれた会社でも使える?
使えます。選定の有効期間は「当分の間、延長」とされています。ただし更新の可否は取組状況などで判断する方針なので、申請前に経済産業省のページで最新の案内を確かめます。
成長加速化補助金でも加点になる?
加点ではありません。公募要領では、審査の「波及効果」を見るときの例として、健康経営優良法人の認定と並んで挙がっています。事業計画の中で取組として書きます。
ほかの質問はよくある質問にまとめています。
まとめ
地域未来牽引企業の加点が使えるのは事業承継・M&A補助金で、成長加速化補助金では審査の評価例として扱われます。新しい選定の募集は公式に案内がないため、選定済みの会社は選定証の確認を、選ばれていない会社は別の加点の準備を急ぎます。御社がどの加点で締切に間に合うかは、専門家に無料で相談できます。
参考資料
- 経済産業省 地域未来牽引企業(最終更新2026年2月17日)
- 経済産業省 地域未来牽引企業 選定一覧
- 経済産業省北海道経済産業局 地域未来投資・中堅企業支援
- 経済産業省北海道経済産業局「地域未来牽引企業」を選定しました(第3回、2020年10月13日)
- 経済産業省中部経済産業局 地域未来牽引企業
- 経済産業省関東経済産業局 地域未来投資/地域未来牽引企業
- 事業承継・M&A補助金 16次 専門家活用枠 公募要領(Ver.1.0、2026年9月)
- 事業承継・M&A補助金 16次 事業承継促進枠 公募要領(Ver.1.0、2026年9月)
- 事業承継・M&A補助金 16次 廃業・再チャレンジ枠 公募要領
- 中小機構 中小企業成長加速化補助金(3次公募)公募要領 Ver1.4
確認日:2026年10月14日
専門家が内容を確認しました(2026年10月14日)。
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