実績報告で差し戻される証憑の不備|領収書・振込・写真で多いミス
この記事の要点
実績報告で差し戻される不備は、支払いの証拠に集まっています。認められない支払い方と口座名義、ネットバンキングの画面で多い不備、見積書から領収書までのそろえ方、成果物の写真の残し方を公募要領で整理しました。
この記事の目次
実績報告で差し戻される不備の多くは、支払いの証拠に集まっています。支払元の口座名義が会社と違う、振込が「受付済」のままの画面を出した、現金で払った、といった不備は、書類を出し直しても直らずにその経費が外れることがあります。
どの制度も、支払いは会社名義の口座からの振込かクレジットカードの1回払いを基本にしています。発注の前に支払い方を決め、取引ごとに見積書から振込の控えまでをそろえておくことが、差し戻しを防ぐ近道です。
実績報告の準備中で、どの証憑で差し戻されやすいのか、出し直しで直せるものと直せないものの違いを知りたい方に向けた記事です。
デジタル化・AI導入補助金の実績報告の注意ポイント、事業承継・M&A補助金と持続化補助金の公募要領から、支払い・書類・写真の不備に絞って整理します。
差し戻しの多くは支払いの証拠の不備
実績報告の審査では、経費1件ごとに「いつ、誰が、誰に、いくら払ったか」が書類で追えるかを見られます。デジタル化・AI導入補助金の注意ポイントは、確かめる中身を「支払証憑では、支払いが完了していること、「支払金額」がシステムの入力値と一致していること、「振込日」が「請求日」より後であること、支払元が補助事業者であることが全て確認できる必要がある。支払金額の記載が不鮮明でないことも確認する。」とまとめています。
不備があると、事務局から期限つきで直すよう求められます。事業承継・M&A補助金の公募要領は「実績報告に不備があれば期限付きで補正を求められ、期限までに直らず適正な経理が確認できない経費は減額されることがある。」としており、直せないままの経費は確定額から外れます。確定額が決まる流れは補助金の確定通知書とはで取り上げています。
認められない支払い方と口座名義
支払い方そのものが対象外だと、証憑を出し直しても直せません。発注の前に、会社名義の口座からの振込かカードの1回払いで払えるかを確かめます。
| 不備 | 決まり |
|---|---|
| 現金や電子マネーで払った | 口座から現金を引き出しての振込(手形・小切手を含む)、現金払い、期間中に精算していない立替払い、仮想通貨、PayPay・Suica等のキャッシュレス払いは対象外。 |
| 代表者個人や家族の口座から払った | 支払元の口座名義人が補助事業者名と一致している必要がある。法人代表者の個人名義、他の法人の口座、家族・親族名義の口座では一致が確認できない。 |
| カードの分割払い・リボ払い | クレジットカードは分割払いやリボ払いではなく1回(一括)払い。法人は法人名義の口座から決済されるカード、個人事業主は本人名義のカードを使う |
| 持続化補助金で大きな額を現金で払った | 1取引10万円(税抜き)を超える現金支払は対象外 |
出典:事業承継・M&A補助金 16次 専門家活用枠 買い手・売り手支援類型 公募要領 p.56『21.3. その他』台帳で見る
振込手数料を取引先が持った場合も、経費の額が変わります。振込手数料や為替差損は対象外。取引先が振込手数料を負担した場合は、その分値引きされたものとして値引き後の額を対象にする。。対象外になりやすい経費の全体は補助金の対象になる経費・ならない経費でまとめています。
ネットバンキングの画面と明細で多い不備
支払い方が正しくても、出した画面や明細が支払いの完了を示していなければ差し戻されます。とくにネットバンキングの画面で多い不備です。
- 手続きの途中の画面:ネットバンキングの書類は「送金済」「承認済」「振込完了」などの状態が書かれているものを出す。「受付済」「承認待ち」「未完了」「作成中」は完了とみなされず、通帳の取引明細やWeb入出金明細など完了が分かる証憑もあわせて出す。。
- 口座名義が写っていない画面:インターネットバンキング振込の支払証憑は、振込完了が分かる書類か取引状況照会ページ。振込元の口座名義人が書かれていなければ、名義の分かる通帳の表紙等も出す。。
- 受領印のない振込依頼書:窓口振込の振込依頼書は、受領印が押されていて支払いの完了が確認できるものを出す。。
日付の順番も見られます。請求書の日付より前に振り込んでいると、前払いとして扱いを確かめられます。発注から支払いまでの日付は、交付決定日の後で事業期間の中に収まっている必要があり、期間の考え方は補助事業期間とはで取り上げています。
見積書から領収書までのそろえ方
経費1件ごとに、見積書、注文書か契約書、納品書、請求書、支払いの証拠が一続きでそろっていることが求められます。1枚でも欠けると、その経費の流れが追えません。
事業承継・M&A補助金のよくある質問は、支払いの証拠の例を「Q:支払いの証拠はどんなものか→ A:金融機関の振込受領書、振込が分かるWeb画面のスクリーンショット、振込先の領収書などです。詳しくは「補助金交付のための事務手引書」で案内されます。」と答えています。書類の宛名、品名、金額がそれぞれ一致しているかも、提出の前に1件ずつ確かめます。見積書の取り方の決まりは補助金の相見積もりの決まりで取り上げています。
成果物の写真と納品の記録の不備
設備やチラシ、ホームページなど形のある経費は、実際にできたことを写真や画面で示します。写真が無い、または何の写真かわからないと、その経費の確認が止まります。
- 設備は、設置した場所と、銘板や型番がわかる写真を撮ります。
- チラシや看板は、できあがった実物と、配った・掲げた様子がわかる写真を残します。
- ホームページは、公開した画面と、公開した日がわかる記録を保存します。
写真は納品のその日に撮るのが確実です。後から撮り直そうとしても、配り終えたチラシや撤去した仮設のものは撮れません。持続化補助金の採択後の書類は持続化補助金の採択後の手続きで取り上げています。
専門家から見た実績報告のポイント
実績報告の手間は、経費の件数にほぼ比例します。持続化補助金の採択事例364件では、ウェブサイト関連費を使った事例が32.7%あり、制作会社への支払いと公開した画面の両方を残す必要がある経費です。
実績報告が1回で通りやすい会社
発注のたびに、見積書から振込の控えまでを1つのフォルダに入れている会社です。支払いは補助事業用に決めた会社の口座からだけ行い、カードを使うときも1回払いに限っています。
差し戻しを受けやすい会社
経理の担当者が補助金の決まりを知らず、いつもの支払い方で払ってしまう会社です。代表者のカードで立て替えたり、取引先と相殺したりすると、後から直す方法がありません。発注の前に、経理の担当者と支払い方を決めておきます。通知書が届いた時点で確かめる項目は交付決定通知書とは?でまとめています。
間違えやすい点
実績報告で間違えやすいのは、期限の数え方、支払いの状態、書類の名義の3つです。
実績報告の期限は、事業を終えた日からの日数と、通知書の完了期限からの日数の早いほうです。事業承継・M&A補助金は「事業完了日から30日を過ぎた日、又は交付決定通知書の完了期限日から10日を過ぎた日の、早い方までに実績報告書等を出す。」としています。
ネットバンキングで振込の予約をしただけの画面は、支払いが終わった証拠になりません。振込が完了した後の画面か、通帳の記帳で示します。
実績報告の後で減額や返還になる場面は採択後に補助金が減額・返還になるケースでまとめています。
よくある質問
領収書が無いときは何を出せばよいですか?
振込で払った経費なら、振込の控えや通帳の該当ページが支払いの証拠になります。現金で払った経費は、制度によってはそもそも対象外です。
代表者のカードで払った経費は対象になりますか?
多くの制度で対象になりません。法人は法人名義の口座から引き落とされるカード、個人事業主は本人名義のカードで払う必要があります。
差し戻されたら何日で直せばよいですか?
事務局が示す期限までに直します。期限は通知ごとに示されるため、差し戻しの連絡はその日のうちに中身を確かめます。
電子の請求書や領収書でも出せますか?
ほかの質問も見る補助金のよくある質問出典
参考資料
- 中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 事業実施・実績報告における注意ポイント」
- 中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 公募要領(第7回からの改訂版)」
- 事業承継・M&A補助金事務局「16次 専門家活用枠 買い手・売り手支援類型 公募要領」
- 事業承継・M&A補助金事務局「16次 事業承継促進枠 公募要領」
- 事業承継・M&A補助金事務局「16次 事業承継促進枠 よくある質問」
- 全国商工会議所「持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区)」
- 公募要領の台帳(デジタル化・AI導入補助金)
- 公募要領の台帳(事業承継・M&A補助金)
- 公募要領の台帳(持続化補助金)
確認日:2026年10月17日
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