自治体のAI導入補助金・助成金の探し方|国の制度との違いと併用
この記事の要点
自治体のAI導入の補助金は「DX」「デジタル化」の名前で募集されることが多く、J-Net21や自治体のサイトで探します。国のデジタル化・AI導入補助金との違いと、同じ経費に両方は使えない併用の決まりをまとめました。
この記事の目次
自治体のAI導入の補助金は、「AI」より「DX」「デジタル化」の名前で募集されていることが多く、中小機構のJ-Net21や都道府県・市区町村のサイトで探します。国のデジタル化・AI導入補助金とは、実施する機関・対象地域・補助額・申請の仕方が違います。
併用はできる場合がありますが、同じツール・同じ経費に国と自治体の両方の補助を受けることはできず、経費を分けたうえで双方の要項を確かめます。
地元の県や市にAIやDXの補助金があるのか、国のデジタル化・AI導入補助金と何が違うのか、両方を使えるのかを知りたい方に向けた記事です。
J-Net21に載っている自治体の募集と、デジタル化・AI導入補助金の公募要領・交付規程・よくある質問から、探し方と違い、併用の決まりを整理します。
自治体のAI補助金はどこで探せる?
いちばん探しやすいのは、中小機構が運営する J-Net21 支援情報ヘッドラインです。都道府県・市区町村・商工団体などの補助金や助成金の募集が随時まとめて載り、地域と「生産性向上・IT化」などの目的で絞り込めます。
探すときは「AI」だけで検索しないことがこつです。AIの名前が付いた自治体の制度は一部で、多くは「DX推進」「デジタル化支援」「IT導入」「デジタル技術活用」といった名前で募集されていて、AIを使うツールもその対象に入ります。
見つけた制度は、J-Net21の紹介文で終わらせず、リンク先の自治体のページで募集要項を開き、対象者・対象経費・受付期間を確かめます。紹介文は要点だけで、細かな条件は要項にしか書かれていません。
国と自治体の募集を地域や目的から探すときは今申請できる補助金の一覧が使えます。
自治体の制度にはどんな種類がある?
自治体のAI・デジタル関連の補助金は、何にお金を出すかで大きく5つに分かれます。確認日にJ-Net21に載っていた募集から、種類ごとの例を並べました。
| 種類 | 補助の対象 | 確認日に載っていた例 |
|---|---|---|
| デジタルツールの導入 | 業務ソフト・クラウドサービスの導入費や初期設定費 | 福井県、山口県、墨田区、葛飾区、徳島市、岸和田市など |
| AIの導入・活用 | 生成AIや画像認識などAIを使う仕組みの導入・開発 | 大阪府豊中市、茨城県(フィジカルAIのビジネス創出) |
| DX人材の育成 | AI・デジタルの研修やセミナーの受講料、リスキリング | 堺市、大阪府豊中市、茨城県 |
| 業種を絞ったDX | 宿泊業や建築業など特定の業種のデジタル化 | 大分県(宿泊事業者)、宮崎県(木の建築) |
| ロボットの導入 | 県内で作られたロボットなどの導入費 | 福島県 |
出典:中小企業基盤整備機構「J-Net21 支援情報ヘッドライン」(確認日の掲載内容)
自治体の募集は年度の途中で締め切られたり、予算の上限に達して終わったりします。例に挙げた制度も、申請の前に自治体のページで今も受け付けているかを確かめます。AIに使える国の制度の全体はAI導入・開発に使える補助金・助成金で取り上げています。
国のデジタル化・AI導入補助金と何が違う?
国の制度は全国の中小企業が対象で、事務局に登録されたツールを、登録された支援事業者と一緒に申請する仕組みです。自治体の制度は、その地域の事業者だけが対象で、対象経費や申請の仕方は自治体ごとの要項で決まります。
| 比べる点 | 国(デジタル化・AI導入補助金 通常枠) | 自治体の補助金 |
|---|---|---|
| 実施する機関 | 中小機構が補助し、事務局が申請を受け付ける | 都道府県・市区町村や、その外郭団体 |
| 対象になる事業者 | 全国の中小企業・小規模事業者等 | その地域に本社や事業所がある事業者が中心 |
| 補助額 | 5万円~150万円未満(1プロセス以上)、150万円~450万円以下(4プロセス以上) | 要項ごとに決まる |
| 補助率 | 1/2以内 | 要項ごとに決まる |
| 対象になるツール | ITツールはIT導入支援事業者が提供し事務局に登録されたソフトウェア(AIを含む。)・オプション・役務・ハードウェアの総称。「AI活用枠」という枠はない | 要項の対象経費に合えば選べる制度もあれば、指定の一覧から選ぶ制度もある |
| 申請に必要なもの | GビズIDプライムを取得していること | 要項による(電子申請のほか、窓口や郵送で受け付ける制度もある) |
| 締切 | 2026年10月30日(金)17:00 | 受付期間内でも、予算に達すると締め切る制度がある |
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 公募要領(第7回からの改訂版) p.5『1-2 デジタル化・AI導入補助金事業のスキーム』、p.7『2-1-1(2) 申請要件』、p.17『2-3 補助対象経費、補助率及び補助額』
国の制度の枠や対象者はデジタル化・AI導入補助金とは?で取り上げています。
国と自治体の補助金は併用できる?
同じツール・同じ経費に、国と自治体の補助を重ねて受けることはできません。経費を分ければ、両方に申請できる場合があります。
国の側の決まりは交付規程にあり、「第10条(補助対象としない事業):国や中小機構などの独立行政法人の他の補助金等と重複する事業は対象にならない。」とされています。よくある質問でも、国と中小機構の補助金との併用はできず、補助の対象になる事業内容(サービス・ソフトウェア、経費など)が重ならない場合は申請できると答えています1。
国の交付規程が名前を挙げているのは国と独立行政法人の補助金で、自治体の補助金との関係は、それぞれの自治体の要項が決めています。国の補助金を受ける経費を対象から外す、国の補助金を引いた残りだけを対象にするなど、決め方は自治体によって違います。
- 分けやすい例:国の補助金で業務ソフトを入れ、自治体の補助金で社員のAI研修の受講料を払う
- 分けられない例:同じ生成AIツールの利用料を、国と自治体の両方に申請する
補助金どうしの併用の考え方は補助金は併用できる?で取り上げています。
申請の前に自治体の要項で何を確かめる?
自治体の制度は国の制度より条件が細かく分かれていることがあり、読み落としがあると申請しても対象外になります。要項では次の点を先に確かめます。
- 本社がその自治体にあることが条件か、支店や事業所でもよいか
- 市税の滞納が無いことなど、地域の制度ならではの条件があるか
- 交付決定の前に契約・購入した経費を対象から外しているか
- 国や県など、ほかの補助金を受ける経費との関係をどう決めているか
- 受付が先着順か、審査で選ぶ方式か
- 実績報告の期限と、補助金が入るまでの流れ
都道府県の制度の例は東京都のデジタル導入促進補助事業で取り上げています。
間違えやすい点
- 名前に「AI」が無い制度でも、AIを使うツールが対象になることがあります。「DX」「デジタル化」の制度も要項の対象経費まで確かめます。
- 国のデジタル化・AI導入補助金に「AI活用枠」という枠はありません。AIのツールも、登録されたITツールとして通常枠などで申請します。
- 国の補助金と自治体の補助金を同じ経費に使うことはできません。国の規程が自治体の補助金を名指ししていなくても、自治体の要項で対象外になります。
- 補助金と、厚生労働省の助成金とでは決まりが違います。雇用や賃金に関わる助成金は、補助金とは別の要件で判断されます。
補助金と助成金で同じ経費を使うときの決まりは助成金と補助金は同じ経費で両方もらえる?で取り上げています。
専門家から見たポイント
AIの補助金を探す方は、まず国の制度を見て、次に地元の制度を見る順番が効率的です。国の制度で対象にならない研修費や小さな初期費用を、自治体の制度で補うと、経費を重ねずに両方を使えます。
国の制度で採択された事業を見ると、デジタル化・AI導入補助金の採択事例37件のうち、94.6%が生産性や人手不足を課題にしていて、ソフトウェアの購入費を使った事例が45.9%でした。採択率は26年4次で44.4%です。
自治体の制度が向いている会社
入れたいツールが国の登録ツールに無い、AI研修など人材への費用を補助してほしい、地域の事業者として小さく始めたい会社です。
国の制度を先に考えたい会社
受発注・会計・在庫管理など複数の業務をまとめてデジタル化したい会社は、補助額の大きい国の制度を軸にして、自治体の制度は国の対象外の経費に回すほうが組み立てやすくなります。
AIを導入した採択事例はAIを導入した補助金の採択事例で取り上げています。
よくある質問
自分の市にAIの補助金があるかは、どう調べればよいですか?
J-Net21の支援情報ヘッドラインで地域を選び、「DX」「デジタル」「IT」でも検索します。あわせて都道府県と市区町村の産業振興の担当課のページも確かめます。
国のデジタル化・AI導入補助金と自治体の補助金は、同じツールで両方使えますか?
使えません。同じツール・同じ経費に二重に補助を受けることはできません。経費を分ければ、両方に申請できる場合があります。
自治体の補助金は個人事業主でも使えますか?
中小企業と個人事業主の両方を対象にする制度もありますが、要項ごとに決まります。開業年数や市内での事業の実績を条件にする制度もあるため、対象者の欄で確かめます。
生成AIのサブスクリプションの利用料は対象になりますか?
制度によります。国の制度では事務局に登録されたITツールであることが条件です。自治体の制度では、要項の対象経費にクラウドサービスの利用料が入っているかで決まります。
出典(1件)
- デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 交付規程(第7回からの改訂版) p.6『第10条(補助対象としない事業)』、通常枠 よくあるご質問 p.3『No.19』(公募要領の台帳)
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