経営革新計画・経営力向上計画で補助金の加点|違いと取るまでの日数
この記事の要点
経営革新計画は新事業進出・ものづくり補助金、経営力向上計画は持続化補助金、事業承継・M&A補助金はどちらでも加点になります。加点を狙う中小企業の社長向けに、2つの違い、期限と出す書類、取るまでの日数と締切からの逆算をまとめます。
経営革新計画の承認は新事業進出・ものづくり補助金(第1回)、経営力向上計画の認定は持続化補助金(通常枠第20回・創業型第4回)で加点になり、事業承継・M&A補助金(16次)はどちらでも加点になります。
経営力向上計画の標準処理期間は約30日(経済産業部局宛ての電子申請なら休日等を除き約14日)で、経営革新計画の承認日数は都道府県の窓口で確認します。
どの補助金も申請中では加点にならないため、新事業進出・ものづくり(2026年10月30日(金)18:00)、事業承継・M&A(2026年11月6日(金)17:00)、持続化(2026年12月15日(火)17:00)の締切から逆算して、いつまでに申請するかを決めます。
「経営革新計画を取ると補助金の審査で有利になる」と聞いても、どの補助金に効くのか、締切までに間に合うのかは公募要領を何冊も読まないとわかりません。この記事では、2つの計画の違い、加点になる補助金と期限・出す書類、取るまでの日数と締切からの逆算を、公募要領と中小企業庁の公式資料で確かめた範囲でまとめます。
経営革新計画と経営力向上計画の違い
経営革新計画は新しい事業で付加価値を伸ばす3〜5年の計画、経営力向上計画は人材育成や設備投資で生産性を上げる計画で、申請先も加点になる補助金も別です。
名前は似ていますが、どちらも中小企業等経営強化法に基づく別の手続きです。2つの違いを並べた表です。
| 項目 | 経営革新計画 | 経営力向上計画 |
|---|---|---|
| 中身 | 新商品・新サービスの開発や、新しい生産・販売方式の導入などの「新事業活動」で経営を伸ばす計画 | 人材育成、財務管理、設備投資などで経営力を上げる計画 |
| 手続きの名前 | 承認 | 認定 |
| 申請先 | 個社の申請は都道府県の担当部局が基本 | 事業分野ごとの主務大臣(中小企業庁は受け付けていない) |
| 計画期間 | 3〜5年 | 3年・4年・5年のいずれか |
| 目標の目安 | 付加価値額(または1人あたり付加価値額)が年平均3%以上、給与支給総額が年平均1.5%以上 | 事業分野別の指針で決まる指標(基本方針に沿う場合は労働生産性) |
| 取るまでの日数 | 中小企業庁の資料に記載なし(都道府県の窓口で確認) | 標準処理期間は約30日(複数省庁にまたがると約45日) |
経営革新計画の目標の目安は、事業期間3年なら付加価値額9%以上・給与支給総額4.5%以上の伸びです。補助金の事業計画で掲げる数字と、この目標が食い違わないようにしておく必要があります。
出典:中小企業庁「経営革新計画進め方ガイドブック」 p.15
中小企業庁「経営力向上計画策定の手引き」p.2・ p.4
使える補助金と出す書類
確認日の時点で受付中か公表済みの補助金のうち、2つの計画のどちらかが加点になるのは3つで、省力化・デジタル化・成長加速化の3つでは加点項目に入っていません。
補助金ごとに、加点の条件、いつの時点で必要か、出す書類を並べた表です。
| 補助金(公募回) | 条件の要点 | 期限 | 出すもの |
|---|---|---|---|
| 新事業進出・ものづくり補助金(第1回) | 経営革新計画の承認(経営力向上計画は加点項目にない) | 申請締切日2026年10月30日(金)18:00の時点で有効な承認 | 承認書の写し(計画期間が書かれていなければ経営革新計画書の写し) |
| 小規模事業者持続化補助金(通常枠第20回・創業型第4回) | 経営力向上計画の認定(経営革新計画は加点項目にない)。政策加点の1つとして選ぶ | 各締切回の基準日までに認定(基準日は事務局が後日公開する別紙で示される)。締切は2026年12月15日(火)17:00 | 認定書の写し(ないと加点なし) |
| 事業承継・M&A補助金(16次) | 経営力向上計画の認定、経営革新計画の承認、先端設備等導入計画の認定のいずれか(事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠) | 公募申請時に有効な期間であること。締切は2026年11月6日(金)17:00 | 経営力向上計画は認定書と申請書類、経営革新計画は承認書 |
| 省力化投資補助金 一般型(第8回)、デジタル化・AI導入補助金2026、成長加速化補助金(3次) | どちらの計画も加点項目・評価例に入っていない | ー | ー |
出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.47『(8)加点項目』台帳で見る
加点の一覧は各補助金の早見表(新事業進出・ものづくり補助金の加点早見表、持続化補助金の加点早見表、事業承継・M&A補助金の加点早見表)にまとめています。ほかの加点も含めた全体像は補助金の加点一覧で比べられます。締切や加点項目は公募回ごとに変わるため、最新の公募要領で確認が必要です。
取る手順と日数
経営力向上計画は経済産業部局宛ての電子申請なら休日等を除き約14日で認定され、経営革新計画は都道府県ごとに手順と日数が違うため最初に窓口へ問い合わせます。
経営力向上計画(認定まで約14日〜約30日)
- 中小企業庁の「事業分野と提出先」の一覧で、自社の事業分野の提出先(主務大臣)を調べる
- 事業分野別の指針を見て、指標(労働生産性など)と3〜5年の計画を書く
- 経済産業部局宛てなら「経営力向上計画申請プラットフォーム」で電子申請する(GビズIDプライムが必要)
- 認定を受ける。電子申請なら認定書はシステムからダウンロードできる
標準処理期間は、策定の手引きでは約30日(複数省庁にまたがる場合は約45日)です。経済産業部局のみに電子申請する場合は、約14日(休日等を除く)に短くなると中小企業庁の申請ページに書かれています。差し戻しがあればその分延びるため、日数は「最短の目安」と考えておくほうが安全です。
経営革新計画(承認までの日数は都道府県で確認)
- 都道府県の商工担当部局に問い合わせる(中小企業庁が問い合わせ先一覧を公開している)
- 申請書と添付書類を作る。都道府県によって追加の書類を求められることがある
- 都道府県の担当部局(複数県にまたがる場合などは国の地方機関)に提出する
- 都道府県知事などの承認を受ける
承認までの日数は、中小企業庁の経営革新支援のページと進め方ガイドブックには書かれていません。追加で求められる書類や、電子申請に対応しているかも都道府県ごとに違うため、都道府県の窓口で確認してください。
出典:中小企業庁「経営力向上計画の申請について」
いつまでに申請すれば間に合う?
認定・承認は申請中では加点にならないため、締切から日数をさかのぼった日までに申請します。経営力向上計画を経済産業部局だけへ電子申請するなら約14日(休日等を除く)なので締切の3週間ほど前、それ以外の提出先なら標準処理期間の約30日を見込んで締切の1か月以上前が目安です。まだ計画を持っていない会社は、締切まで日数がある補助金ほど間に合う余地があります。
受付中・公表済みの締切と、加点に必要な時点を並べた表です。
| 補助金 | 締切 | 加点に必要な時点 | まだ持っていない場合の目安 |
|---|---|---|---|
| 新事業進出・ものづくり(第1回) | 2026年10月30日(金)18:00 | 締切時点で有効な経営革新計画の承認 | 承認日数を都道府県に確認し、締切までに承認が出なければ、加点なしで申請するか次の公募回を待つかを判断 |
| 事業承継・M&A(16次) | 2026年11月6日(金)17:00 | 公募申請時に有効な認定・承認 | 経営力向上計画を経済産業部局へ電子申請するなら約14日(休日等を除く)かかるため、締切の3週間ほど前までに申請。経営革新計画は都道府県に日数を確認 |
| 持続化(通常枠第20回・創業型第4回) | 2026年12月15日(火)17:00 | 基準日までに経営力向上計画の認定 | 基準日は後日公開の別紙で示される。締切より前の日になることも考え、標準処理期間(約30日)を見込んで締切の1か月半ほど前から準備する |
持続化補助金の基準日は、公募要領で「後日公開する別紙『参考資料』」で示すとされているため、事務局サイトで公開を確かめます。もう1つの日程として、持続化補助金は事業支援計画書(様式4)の発行受付が、申請の締切より早く締め切られます(事業支援計画書(様式4)発行の受付締切:2026年12月4日(金))。経営力向上計画の申請と、商工会・商工会議所への様式4の依頼は並行して進めます。持続化補助金のほかの加点との選び方は持続化補助金の加点要件で比べています。
出典:小規模事業者持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区) p.37『③経営力向上計画加点』台帳で見る
加点が外れる場合
どの補助金も「申請中」では加点の条件を満たさず、認定書・承認書の写しが足りないときも加点されないため、手続きが終わったことと書類の中身を締切前に確かめます。
持続化補助金の公募要領は、基準日より後に認定を受けた事業者と認定申請中の事業者は加点の対象にならないと明記しています。認定書の写しを出さない場合も加点されません。
新事業進出・ものづくり補助金では、承認書に計画期間が書かれておらず、計画期間がわかる経営革新計画書も付けていないと加点されません。
加点が消えやすい場面を整理すると次のとおりです。
- 計画期間が終わった古い承認・認定を出す(新事業進出・ものづくりは締切時点、事業承継・M&Aは公募申請時に「有効」であることが条件)
- 事業承継・M&A補助金で、経営力向上計画の認定書だけを出し、申請書類を付けない
- 持続化補助金で、経営力向上計画加点と賃金引上げ加点など、政策加点を2つ以上選ぶ(加点審査の対象外になる)
計画の目標を達成できなかった場合については、経営力向上計画の手引きに「目標が未達だったことをもって認定を取り消すことはありません」とあります。ただし認定された計画どおりに取り組まないと、認定の取消になることがあります。経営革新計画は、承認後にフォローアップ調査があり、計画終了時にも成果を確かめる調査があります。
補助金側では、未達の報告から18か月間の大幅な減点の対象として公募要領が挙げているのは「賃上げに関する加点」です。賃上げの加点と一緒に使う場合の注意は賃上げ加点と採択後に減額・返還になるケースで扱っています。
出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.40『2-2-1. 添付書類』台帳で見る
専門家から見たポイント
加点のためだけに計画を作るより、補助事業の中身と同じ方向の計画を先に作り、補助金の事業計画書と数字をそろえるほうが、審査でも採択後でも筋が通ります。
向いているのは、新事業進出・ものづくり補助金や事業承継・M&A補助金を次の公募回も含めて狙う会社と、持続化補助金の申請までに1か月以上の余裕がある小規模事業者です。
経営革新計画の目標(付加価値額が年平均3%以上、給与支給総額が年平均1.5%以上)と補助金の事業計画の数字が食い違うと、計画の信頼性が下がります。
取るべきか迷う会社
締切まで2週間ほどしかない会社は、計画を急いで作るより補助金の事業計画書の完成度を上げるほうに時間を使うほうが現実的です。新事業進出・ものづくり補助金の公募要領も「一定程度の加点」と書くだけで、点数は示していません。持続化補助金では政策加点を1つしか選べないため、賃金引上げ加点や事業承継加点など、ほかに当てはまる政策加点があれば、どれを選ぶかを比べます。
よくある失敗
- 「経営革新計画を持っているから持続化補助金でも加点される」と考える(持続化補助金の加点項目は経営力向上計画)
- 経営力向上計画の提出先を中小企業庁と思い込み、事業分野の主務大臣を確認しないまま準備を進める
- GビズIDプライムを持っておらず、電子申請を始めるところで止まる
特定非営利活動法人(NPO法人)は、省力化投資補助金 一般型と新事業進出・ものづくり補助金で、交付申請時までに経営力向上計画の認定を受けることが申請の要件です。加点ではなく要件なので、NPO法人は早めに準備します。対象者の条件は新事業進出・ものづくり補助金の対象者で詳しく扱っています。
出典:中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募) p.17『2-1. 補助対象者』台帳で見る
よくある質問
申請中でも加点になる?
なりません。持続化補助金は、認定申請中の事業者は対象外と公募要領に書かれています。新事業進出・ものづくり補助金は締切時点、事業承継・M&A補助金は公募申請時点で有効な承認・認定が条件なので、申請中では条件を満たしません。
2つとも持っていたら加点も2倍になる?
今の公募回では2倍にはなりません。新事業進出・ものづくり補助金は経営革新計画だけ、持続化補助金は経営力向上計画だけが加点項目です。事業承継・M&A補助金は3つの計画の「いずれか」で1つの加点項目です。
個人事業主でも取れる?
取れます。経営力向上計画は、個人事業主の場合は開業届を出していることが条件です。経営革新計画も、進め方ガイドブックに会社と個人の基準が示されています。
昔取った経営革新計画の承認は使える?
計画期間が終わっていれば使えません。新事業進出・ものづくり補助金は締切時点で有効な承認が条件で、計画期間がわかる書類を出す必要があります。期間が切れている場合は、新しい計画の承認を受け直します。
ほかの質問はよくある質問にまとめています。
まとめ
経営革新計画は新事業進出・ものづくり補助金、経営力向上計画は持続化補助金、事業承継・M&A補助金はどちらでも加点になり、いずれも申請中では対象外です。まだ持っていない会社は、締切日と標準処理期間(経営力向上計画は約14日〜約30日、経営革新計画は都道府県に確認)を並べて、今回の公募回に間に合うかを先に判断します。自社が締切に間に合うか、どちらの計画を先に取るべきかは、専門家に無料で相談できます。
参考資料
- 中小企業庁「経営革新支援」
- 中小企業庁「経営革新計画進め方ガイドブック」(令和7年4月改訂)
- 中小企業庁 経営革新計画 都道府県問い合わせ先一覧
- 中小企業庁「経営力向上計画」
- 中小企業庁「経営力向上計画の申請について」
- 中小企業庁「経営力向上計画策定の手引き」
- 中小企業基盤整備機構 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領(1.3版)
- 小規模事業者持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区)
- 小規模事業者持続化補助金 創業型 第4回 公募要領 第8版
- 事業承継・M&A補助金 16次 事業承継促進枠 公募要領(Ver.1.0)
- 事業承継・M&A補助金 16次 専門家活用枠 買い手・売り手支援類型 公募要領(Ver.1.0)
確認日:2026年10月14日
専門家が内容を確認しました(2026年10月14日)。
補助金の関連記事
一覧へ公開 2026/10/15
要点事業承継に関する加点は持続化、新事業進出・ものづくり、省力化、事業承継・M&Aの4補助金にあります。後継ぎがいる会社の社長向けに、代表者の年齢や後継者の条件、アトツギ甲子園の日程、締切からの逆算をまとめます。
公開 2026/10/15
要点成長加速マッチングサービスへの会員登録と挑戦課題の登録は、新事業進出・ものづくり、省力化、デジタル化・AI導入、事業承継・M&Aの4補助金で加点になります。補助金を検討中の社長向けに、「掲載中」の条件と締切からの逆算をまとめます。
公開 2026/10/15
要点パートナーシップ構築宣言は新事業進出・ものづくり補助金で加点になり、締切時点でポータルサイトへの掲載が条件です。補助金を検討中の社長向けに、登録から約10日の掲載、締切からの逆算、新ひな形の注意をまとめます。
公開 2026/10/15
要点くるみん・えるぼし認定は持続化、新事業進出・ものづくり、省力化、デジタル化・AI導入、事業承継・M&Aの5補助金で加点になります。認定の段階、取るまでの流れ、締切に間に合わない場合の代わりの手をまとめます。