受発注・在庫管理システムの補助金|デジタル化・AI導入と持続化の違い
この記事の要点
受発注や在庫管理のシステムは、主にデジタル化・AI導入補助金の通常枠で入れます。機能ごとに入るプロセスと上限の決まり、インボイス対応類型を選ぶ場合、持続化補助金で入れるときの条件と目的による使い分けを公募要領で整理しました。
この記事の目次
受発注や在庫管理のシステムは、主にデジタル化・AI導入補助金の通常枠で入れます。インボイスに対応した受発注のソフトならインボイス対応類型も選べます。
持続化補助金でも、販路を広げる計画の一部ならウェブサイト関連費でシステムを入れられますが、上限が小さく、ほかの経費と組み合わせる必要があります。
電話やFAXの受注、表計算での在庫の管理をシステムに替えたいと考えていて、デジタル化・AI導入補助金と持続化補助金のどちらを使えばよいかを知りたい方に向けた記事です。
2つの補助金の公募要領から、受発注・在庫・出荷の仕組みに関係する所を比べます。
デジタル化・AI導入補助金とは?
デジタル化・AI導入補助金は、中小企業や小規模事業者が業務のソフトやクラウドを入れる費用を国が一部補助する制度で、IT導入補助金の後を継いでいます。受発注や在庫のように毎日の業務を回す仕組みを入れるのに向いています。
通常枠の補助率は1/2以内です1。申請はIT導入支援事業者と一緒に進め、事務局に登録されたツールから選びます。制度の全体はデジタル化・AI導入補助金とは?5つの枠と対象者で取り上げています。
受発注と在庫の機能はどのプロセスに入る?
通常枠では、受発注と在庫の機能は別のプロセスに分かれています。システムがどの機能を持つかで、入るプロセスの数が決まります。
| システムの機能 | 入るプロセス |
|---|---|
| 発注・仕入・買掛・支払の管理 | 共P-02(決済・債権債務・資金回収) |
| 受注・売上請求・売掛・回収の管理 | 共P-02 |
| 入出庫・棚卸・検品・在庫分析 | 共P-03(供給・在庫・物流) |
| 納品管理・配送計画 | 共P-03 |
| 仕訳や財務の帳票まで作る | 共P-04(会計・財務・経営) |
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 公募要領(第7回からの改訂版) p.37『別紙2:業種・プロセス一覧』台帳で見る
公募要領は在庫のプロセスを「共P-03「供給・在庫・物流」:採算管理、取引条件管理、ロケーション・入出庫・棚卸・検品、在庫分析、納品管理、配送業者管理・配送計画」と定め、受発注は「共P-02「決済・債権債務・資金回収」:決済(POSレジ、券売機システム、多通貨対応)、発注・仕入・買掛・支払管理、受注・売上請求・売掛・回収管理、電子記録債権・手形管理」に入ります。通常枠で対象になるツールの条件はデジタル化・AI導入補助金の通常枠で取り上げています。
機能が増えると補助の上限は変わる?
通常枠の上限は、システムが持つプロセスの数で2段階に分かれます1。
- 1プロセス以上:5万円~150万円未満(1プロセス以上)
- 4プロセス以上:150万円~450万円以下(4プロセス以上)
受発注と在庫だけなら2つのプロセスで、小さい方の枠に入ります。会計や顧客管理まで1つのシステムでまとめて入れ替えると、4プロセス以上の枠を使えます。自己負担の計算は補助率とは?で取り上げています。
インボイス対応の受発注ソフトはどの枠?
受発注のソフトがインボイスに対応していれば、インボイス対応類型でも申請できます。この類型の対象は「ソフトウェア購入費・導入関連費:下限なし~350万円(1機能のみは上限50万円、2機能以上は350万円)」で、補助率は通常枠より高めです2。
在庫の管理だけのシステムは、会計・受発注・決済の機能を持たないため、この類型では申請できません。受注から請求までをインボイス対応で回すかどうかで、通常枠とどちらにするかを決めます。インボイス対応類型の条件はデジタル化・AI導入補助金のインボイス対応類型で取り上げています。
持続化補助金で在庫システムを入れる条件は?
持続化補助金では、システムの開発や導入はウェブサイト関連費に入ります。公募要領は、この経費を「ウェブサイト・ECサイト・システム等の開発・構築・更新・改修・運用。補助金交付申請額の上限30万円(税込)。ウェブサイト関連費のみの申請不可」としています3。
持続化補助金は販路を広げる取り組みを支える補助金なので、ネットでの受注を始める、取引先を増やすための受注の仕組みを作る、といった計画に合います。在庫の管理だけを効率化する目的なら、デジタル化・AI導入補助金の方が合います。持続化補助金で業務のシステムを入れた例は持続化補助金で予約・POS・業務システムを導入するで取り上げています。
専門家から見た受発注・在庫システムのポイント
受発注と在庫のシステムは、手作業の時間がどれだけ減るかで効果を示しやすい仕組みです。デジタル化・AI導入補助金の採択事例37件のうち、製造業の事例は8件、ソフトウェア購入費を計上した事例は17件ありました。
デジタル化・AI導入補助金が向いている会社
FAXや電話で受けた注文を手で入力し直し、在庫の数が帳簿と倉庫で合わないことがある会社です。入力の時間や棚卸の日数を、導入の前と後で比べて計画に書けます。
持続化補助金と迷う会社
従業員が少なく、新しくネットで注文を受ける仕組みを作りたい会社です。新しいお客さまを増やすことが目的なら持続化補助金、今の取引の事務を減らすことが目的ならデジタル化・AI導入補助金と、目的で分けます。人手が足りない製造業の使い分けは人手が足りない小さな製造業の補助金で取り上げています。
間違えやすい点
受発注・在庫のシステムで間違えやすいのは、機械の扱いと、作り込みの範囲です。
バーコードを読むハンディ端末やラベルのプリンターは、通常枠では対象外です。インボイス対応類型でも、対象の機械はパソコン・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機とレジ・券売機に限られます。
デジタル化・AI導入補助金で対象になるのは、登録された完成品のツールです。御社の業務に合わせて一から作るシステムの開発費は対象になりません。
登録されたツールの探し方とIT導入支援事業者の選び方はIT導入支援事業者とは?で取り上げています。
よくある質問
在庫管理だけのシステムでも申請できますか?
通常枠なら、在庫のプロセス1つでも申請できます。インボイス対応類型では、会計・受発注・決済のどれかの機能が要ります。
ECサイトと在庫をつなぐ費用は対象ですか?
登録されたツールのデータ連携の機能なら対象になりえます。ECサイトの制作そのものは、デジタル化・AI導入補助金では対象外です。
持続化補助金で在庫システムだけ申請できますか?
ほかの質問も見る補助金のよくある質問出典(3件)
- デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 公募要領(第7回からの改訂版) p.16『2-3 補助対象経費、補助率及び補助額』
- デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(インボイス対応類型)公募要領(改訂版) p.15『2-3 補助対象経費、補助率及び補助額』
- 持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区) p.14『7.(3)③ ウェブサイト関連費』
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