オーダーメイド設備とは?省力化投資補助金の一般型で認められる例
この記事の要点
オーダーメイド設備は、省力化投資補助金の一般型で、自社の業務に合わせて専用に設計した機械装置やシステムのことです。公募要領の定義、カタログ製品との違い、汎用の機械でも認められる組み合わせ、SIerへの費用の区分、計画書での示し方を整理しました。
この記事の目次
オーダーメイド設備とは、省力化投資補助金の一般型で、ロボットやセンサー、AIなどを使い、システムインテグレータ(SIer)との連携などで自社の業務に合わせて専用に設計した機械装置やシステムのことです。汎用の機械でも、導入先に合わせて構成や機能を変える場合や、組み合わせて大きな省力化の効果を出す場合はオーダーメイド設備とみなされます。
カタログの製品や汎用の機械を1台そのまま入れるだけの計画は、一般型の対象になりません。
省力化投資補助金の一般型を考えていて、オーダーメイド設備に当たるかどうかの線引きと、カタログの製品との違いを知りたい方に向けた記事です。
一般型の公募要領・応募申請の手引き・事業計画書の参考ガイド・よくあるご質問から、オーダーメイド設備に関係する所を整理します。
中小企業省力化投資補助金とは?
中小企業省力化投資補助金は、人手不足の中小企業が設備やシステムで業務を省力化するのを国が支える補助金です。カタログ注文型と一般型の2つがあり、オーダーメイド設備が条件になるのは一般型だけです。
一般型の補助率は、中小企業で中小企業 1/2(最低賃金引き上げ特例適用時 2/3)です1。一般型の公募の状況は中小企業省力化投資補助金 一般型の最新公募で取り上げています。
公募要領でのオーダーメイド設備の定義は?
公募要領は、オーダーメイド設備を「オーダーメイド設備:ICT・IoT・AI・ロボット・センサー等を活用し、生産工程を自動化するため、SIerとの連携などを通じて事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム」と定めています2。
事務局のよくあるご質問は、この定義に続けて、汎用の設備でもオーダーメイド設備とみなす場合を2つ挙げています。
- 導入する環境に合わせて、周辺機器や組み合わせる機器の数、のせる機能などが変わる場合
- 汎用の設備を組み合わせて入れることで、より高い省力化の効果や付加価値を生み出せる場合
反対に、公募要領は申請の要件として「人手不足の解消に向けてオーダーメイド設備等を導入する事業計画。汎用設備を単体で導入する事業は対象外(組み合わせ等で高い効果を生む場合はオーダーメイド設備とみなす)」としています。一般型の審査の全体は省力化投資補助金 一般型の審査と採択後の流れで取り上げています。
カタログ製品とオーダーメイド設備の違いは?
カタログ注文型の製品は、事務局が先に登録した汎用の製品で、選んで買えばすぐに使えるものです。オーダーメイド設備は、自社の工程に合わせて一から設計したり、組み合わせを決めたりするもので、何を入れるかを自社で計画します。
| 比べる点 | カタログ注文型の製品 | 一般型のオーダーメイド設備 |
|---|---|---|
| 設備の決め方 | カタログの登録製品から選ぶ | 自社の工程に合わせて設計・構成する |
| 一緒に動く相手 | 登録された販売事業者 | SIerやメーカー(申請は自社) |
| 1回の申請の製品 | 1種類(台数は複数可) | 複数の機械やシステムを1つの計画に |
| 省力化の効果の示し方 | 省力化効果判定シート | 省力化指数・投資回収期間などを自社で計算 |
| 審査 | 書類と事業計画 | 書面審査、一部は口頭審査も |
出典:中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募) p.12『1-5(2)④ その他の要件』台帳で見る
カタログに載っているカテゴリの製品を一般型で入れること自体はできます。手引きは「カタログ注文型の製品カタログに登録されたカテゴリに当たる製品を一般型で導入する場合、省力化効果が十分に見込める計画と認められ、高い評価が付きやすい(カタログ製品をそのまま導入する場合は対象外)」としています。カタログの製品を自社向けに組み合わせるなら一般型、1台をそのまま入れるならカタログ注文型と考えます。カタログ注文型の進め方は省力化投資補助金カタログ注文型の申請方法で取り上げています。
汎用の機械でも認められるのはどんな時?
審査の技術面では「技術面:オーダーメイド設備等を導入する計画であることが示されているか。汎用設備でも、導入環境に応じて構成や機能が変わる、組み合わせで高い省力化効果や付加価値を生むことが示されているか」かが見られます3。分かれ目は、機械の新しさより、自社の工程に合わせて何を変えたかです。
| 計画の例 | オーダーメイド設備に当たるか |
|---|---|
| 産業用ロボットに自社の部品に合わせたハンドと画像センサーを付け、検品から箱詰めまでをつなぐ | 当たる(構成を導入先に合わせて変えている) |
| 汎用のコンベヤ・計量器・印字機を組み合わせ、出荷の工程を1本のラインにする | 当たる(組み合わせで効果を高めている) |
| 自社の受注データとつなぐ生産管理システムを、SIerが自社用に作る | 当たる(業務に合わせて専用に設計) |
| 古いNC旋盤を、同じ種類の新しいNC旋盤1台に入れ替える | 当たりにくい(汎用の機械を単体で入れるだけ) |
| カタログに載っている配膳ロボットを1台そのまま入れる | 当たらない(カタログ注文型で申請する) |
この表は、公募要領と手引きの考え方を当てはめた例です。実際に当たるかは、計画書の書き方と審査で判断されます。製造業での使い方は製造業での省力化投資補助金の使い方で取り上げています。
SIerに頼む費用はどの経費に入る?
オーダーメイド設備はSIerに設計や組み立てを頼むことが多く、頼む中身で経費の区分が変わります。手引きは「SIerに発注する場合:システムの製作→システム構築費、システム構築のアドバイス→専門家経費、構築の一部のみの制作やセキュリティ診断→外注費」としています4。
区分ごとに上限がある点にも気をつけます。外注費は「外注費(任意):専用設備の設計等の一部を外注する経費。上限額=補助対象経費総額(税抜)の2分の1。外注先が設備を購入する費用は対象外」で、機械装置・システム構築費のほかの経費は「機械装置・システム構築費」以外の経費は総額で500万円(税抜き)までを補助上限額とするです。SIerへの発注を「システム一式」とまとめた見積は認められないため、作業ごとの単価と工数が分かる見積書と仕様書を早めにもらいます。
システムを入れる場合は、保守の契約も必要です。公募要領は「システム構築費を計上する場合は3~5年の保守・メンテナンス契約の締結が必要。保守・メンテナンス費用は補助対象外」としています。経費のほかの決まりは省力化投資補助金の対象者と経費ルールで取り上げています。
計画書でオーダーメイド性を示すには?
事業計画書の参考ガイドは、省力化投資の中身として「導入予定の設備・システムを示し、自社専用に一から設計する設備か、標準品でも自社向けにカスタマイズしたり複数を組み合わせて工程を見直すなど独自性・革新性があるか(オーダーメイド設備か)を書く。」としています(省力化投資補助金 一般型 事業計画書作成の参考ガイド p.2『2. 省力化投資の具体的内容』)。
書くときは、次の3つを図と数字でつなげます。
- 今の工程:どの作業に、何人が、1日何時間かけているか
- 設備の構成:どの機械とシステムを組み合わせ、自社用に何を設計するか
- 入れた後の工程:人の作業がどこまで減り、空いた人を何の仕事に回すか
減る作業の時間は、省力化指数の計算にもそのまま使います。公募要領は省力化指数を「省力化指数=(設備導入で削減される業務に要していた時間-設備導入後に発生する業務の時間)÷設備導入で削減される業務に要していた時間。新規出店では潜在的・将来的な人手の削減時間も組み込める」と定めています。指数の根拠になる作業時間は、ストップウォッチで測った記録や作業日報で示せるようにしておきます。外部の支援を受けるときの決まりは省力化投資補助金の申請サポートとは?で取り上げています。
専門家から見たオーダーメイド設備のポイント
省力化投資補助金の採択事例28件のうち、一般型の経費である機械装置・システム構築費を使った事例は12件です。その中心は製造の現場で、手作業の工程をいくつかまとめて機械に置き換えた計画が目立ちます。
オーダーメイド設備で申請すると向いている会社
職人の手作業や目視の検査など、カタログの製品では置き換えられない工程がある会社です。SIerと一緒に工程を見直し、複数の機械をつないで人の作業を減らす計画なら、オーダーメイド設備として説明しやすくなります。
オーダーメイド設備か迷う会社
入れたい機械が汎用の製品1台に近い会社です。周辺機器や組み合わせで自社用に変える所が無いなら、カタログ注文型に同じカテゴリの製品が無いかを先に確かめます。カタログの製品なら、計画の手間も軽く済みます。2つの型の選び方は省力化投資補助金の申請類型で取り上げています。
間違えやすい点
オーダーメイド設備の計画で間違えやすいのは、設備のまわりの費用です。
公募要領は「設置場所の整備工事や基礎工事に要する費用は対象外。「据付け」は設置と一体の軽微なものに限る」としています。大型の設備を置くための床の補強や基礎の工事は、自己負担で見込んでおきます。
オーダーメイド設備の一部であっても、汎用性があり目的外使用になり得るものの例:事務用パソコン・プリンタ・文書作成ソフト・スマートフォン・タブレット端末・カメラ・キュービクル・乗用エレベータ・家具(本事業でのみ使えるものを除く)は対象外です。設備を動かすための専用のパソコンなどは、本事業でしか使わないことを説明できるようにします。交付決定の前に発注しない点は交付決定通知書とは?で取り上げています。
よくある質問
システムだけの導入でもオーダーメイド設備になりますか?
一般型では「機械装置・システム構築費(必須):必ず1つ以上、単価50万円(税抜)以上の機械装置等の設備投資が必要(借用に要する経費は含まない)」とされています。システムを自社用に作る計画でも、条件に合う機械装置などを1つ以上入れます。
自社で設計して組み立てた設備も対象ですか?
自社で機械を作るための部品の購入費は、機械装置・システム構築費に入ります。社内の部署に発注した費用や、自社の人件費は対象外です。
中古の機械を組み合わせてもいいですか?
一般型では中古品の購入費は対象外です。組み合わせる機械も新品で計画します。
口頭審査ではオーダーメイド設備について聞かれますか?
口頭審査は、ソフトウェアの投資やシステムの開発など、書面だけでは分かりにくい計画を中心に選ばれます。対象になった場合は、設備の構成や選んだ理由を経営者が自分の言葉で説明します。
出典(4件)
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募) p.9『1-4(1)③ 補助率』
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募) p.7『1-2 定義(1)』
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)応募申請の手引き(第8回公募) p.72『8-1 書面審査2 技術面』
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)応募申請の手引き(第8回公募) p.44『5-3 SIerへの発注した場合の経費』
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