運送業が新事業・研究開発に使える補助金は?採択された使い方と事例

この記事の要点

運送業の採択事例20件のうち16件がものづくり・新事業進出補助金でした(前身のものづくり補助金を含む)。採択事例をもとに、新事業・研究開発の計画例、対象者の基準、補助上限、見落としやすい経費の決まりを整理しました。

この記事の目次
  1. ものづくり・新事業進出補助金が80%
  2. 設備や運行管理と組み合わせる計画
  3. 持続化補助金が15%
  4. その他の補助金は1件だけ
  5. 運送業は運輸業の基準で中小企業を判断
  6. 新事業進出枠は従業員数で上限が変わる
  7. 採択率は公募回で変わる
  8. 専門家から見たポイント
  9. 間違えやすい点
  10. よくある質問
結論

運送業が新事業・研究開発に使える補助金は、ものづくり・新事業進出補助金が中心です。採択事例では、2026年10月時点で運送業の事例20件のうち16件(80%、前身のものづくり補助金を含む)がこの制度でした。

次に多いのは持続化補助金の3件で、観光ツアーなどの販路拡大・集客と組み合わせた例です。前身のものづくり補助金の事例は平成の公募回なので、補助上限や経費の決まりは今の公募要領で確かめる必要があります。

運送の強みを生かして観光ツアーや試作品づくりを始めたいが、運送業で採択された新事業はどんな計画なのか分からない。その実例を知りたい方に向けた記事です。

ものづくり・新事業進出補助金は、新しい設備やシステムの導入、新しい事業への進出などを補助する国の制度です。公募要領の内容は公募要領の台帳で確かめられます。

ものづくり・新事業進出補助金が80%

運送業の採択事例20件のうち、16件がものづくり・新事業進出補助金です。内訳は次のとおりです。

補助金 件数 割合
ものづくり・新事業進出補助金(前身のものづくり補助金を含む) 16件 80%
持続化補助金 3件 15%
その他の補助金 1件 5%

割合は運送業の採択事例20件に対するものです。ほかの事例はものづくり・新事業進出補助金の採択事例で見られます。

次に挙げる3件は、前身のものづくり補助金(平成25〜26年度)の採択事例で、産廃の端材の再利用、観光向けのデジタルアート、水上アートの試作開発といった新事業・研究開発の計画です。外壁コーナーの作製技術開発の例では、生産効率が20%向上した成果が示されています。

3水上アートの試作開発

屋外で大きな竜を滑らかに動かす油圧機構を開発し、出張演出の受注へ

一本松海運株式会社✓ 経産省などの認定・選定

成果ラッキードラゴンは自社の油圧技術を応用して製作され、イベント船で道頓堀川を運航した際には水柱の中で水を噴く演出も成功し、大勢の見物客から歓声が上がりました。

新事業・研究開発新製品・技術開発

設備や運行管理と組み合わせる計画

新事業・研究開発を、設備やシステムの導入と組み合わせた計画もあります。尿素水の製造装置の例では、自社で尿素水を作れるようになり、排気管の閉塞による故障が発生しなくなった成果が示されています。以下の3件は、前身のものづくり補助金(平成25〜29年度)の採択事例です。

1尿素水の製造装置

2タブレットの運行管理

電話やFAXの配車を地図連動のタブレット運行管理システムに一元化

有限会社黒潮重機興業✓ 経産省などの認定・選定

成果配車予定と現場の詳細情報をシステムで一元管理できるようになり、ドライバーが現場へ正確に迷わず移動できるようになりました。

設備導入業務システム・IT在庫・受発注・物流予約・顧客管理新事業・研究開発

運送業の事例は運送業の採択事例で一覧できます。

持続化補助金が15%

持続化補助金の事例は3件で、いずれも新事業と販路拡大・集客を組み合わせた計画です。看護師添乗型ツアーの例では、定員12名のモニタリングツアーに47件の申し込みがありました。

1看護師添乗型ツアー

2おとなの修学旅行

3ポイント制の販路拡大

採択事例の全体は運送業の採択事例にあります。

その他の補助金は1件だけ

その他の補助金の事例は1件で、運送の強みを林業に生かした例です。事業承継後の8年間に従業員が15名増えた成果が示されています。新事業・研究開発の採択事例は新事業・研究開発の採択事例でも見られます。

1林地残材のチップ商品化

運送業は運輸業の基準で中小企業を判断

運送業は運輸業の基準で、資本金か常勤従業員数が基準以下であれば中小企業者として対象になります。御社が当てはまるかは、次の3点で確かめます。基準の全文は公募要領の台帳で確かめられます。

確かめること 公募要領の決まり
本社と事業を行う場所 日本国内に本社及び補助事業実施場所を有する(1)中小企業者~(6)対象リース会社(小規模企業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、農事組合法人を含む)
中小企業者の基準 資本金又は常勤従業員数が基準以下:製造業・建設業・運輸業 3億円/300人、卸売業 1億円/100人、サービス業 5,000万円/100人、小売業 5,000万円/50人 等
小規模企業・小規模事業者の基準 小規模企業者・小規模事業者:常勤従業員数 製造業その他20人以下、商業・サービス業5人以下(宿泊業・娯楽業は20人以下)

出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.17『1-4-1. 補助対象者』台帳で見る

観光ツアーや試作品づくりのような新事業を考えている御社が、運輸業の基準で対象になるかは、会社のURLを入れるだけでAIが確かめられます。

AIで対象か確認する

新事業進出枠は従業員数で上限が変わる

新事業進出枠の補助上限は、従業員数の区切りで変わります。賃上げ特例を使うと上限が上がります。枠ごとの条件はものづくり・新事業進出補助金の公募要領の台帳で確かめられます。

従業員数 補助上限 賃上げ特例適用時
1〜20人 2,500万円 3,000万円
21〜50人 4,000万円 5,000万円
51〜100人 5,500万円 7,000万円
101人以上 7,000万円 9,000万円

補助率は中小企業者(小規模企業・小規模事業者、再生事業者含む)1/2(地域別最低賃金引上げ特例適用時 2/3)です。申請の締切は2026年10月30日(金)18:00(この回は締切済み)です。

出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.8『1-2-2. 新事業進出枠』台帳で見る

採択率は公募回で変わる

旧ものづくり補助金の採択率は、最新回(23次)で35.1%です。回ごとの推移は、次のグラフのとおりです。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の採択率(公募回ごと)

ものづくり・全23回の平均46.8%
主要7制度の平均47.9%

最新の23次は35.1%(全23回の平均は46.8%)

棒の下の数字は公募回・応募数・採択数です。横にスクロールすると過去の回が見られます。

公募回応募採択採択率
23次 2026/08/071,27544835.1%
22次 2026/04/301,55258237.5%
21次 2026/01/231,87263834.1%
20次 2025/10/272,45382533.6%
19次 2025/07/285,3361,69831.8%
18次 2024/06/255,7772,07035.8%
全23回の平均4,3472,03446.8%

出典:ものづくり補助金 事務局「採択結果」・中小企業庁「採択結果」(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、各回の公表資料)。採択率は採択数÷応募数で当社が計算しています。公募回の名前から各回の発表ページを開けます。

ほかの補助金の採択率と採択事例を見る

※ グラフと採択率は、今のものづくり・新事業進出補助金になる前の、旧ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)の採択結果です。今の制度の採択結果は、公表されたら差し替えます。

採択されなかったときに理由を聞けるかは、補助金の不採択の理由は教えてもらえる?で取り上げています。

専門家から見たポイント

運送業の採択事例では、新事業の試作や観光ツアーの開発と、設備や運行管理の仕組みを組み合わせる計画が見られます。

旧ものづくり補助金の直近の公募回は、応募1,275件に対して採択が448件でした。新事業・研究開発の実例は新事業・研究開発の採択事例でも確かめられます。

新事業から始めたい会社

試作品の開発から始める会社は、成果をどう示すかを先に確かめると計画を組みやすいです。水上アートの試作開発の例では、水を噴く演出を成功させ、見物客から歓声が上がったという成果が示されています。

設備と仕組みを一緒に入れたい会社

配車や手配のシステムと設備を組み合わせる計画は、経費の区分を分けて考えると整理しやすくなります。タブレットを使った運行管理の例では、配車予定と現場の詳細情報を一元管理できるようになった成果が示されています。

販路拡大とセットで始めたい会社

ツアーなどの新サービスは、持続化補助金の例のように、集客の成果を申し込み数や会員数で示した計画もあります。

新事業と設備を組み合わせた計画がどの経費区分に入るかは、専門家に無料で相談して確かめられます。

間違えやすい点

間違えやすいのは、借用の契約時期、機械の単価、同じ支出先の経費、事例の公募回の4点です。

  1. 借用は交付決定後の契約。借用(リース・レンタル)は交付決定後に契約したもので、補助事業実施期間中の経費のみ(期間超過分は按分)
  2. 単価の下限がある。補助対象となる機械装置等は単価10万円(税抜き)以上
  3. 同じ支出先の経費。技術導入費、外注費、専門家経費の支出先に同一の事業者(みなし同一事業者を含む)を含めることはできない
  4. 事例は前身の制度の公募回。紹介したものづくり補助金の事例は平成25年度から平成29年度の公募回のもので、補助上限や経費の決まりは今の公募要領で確かめます。

試作や開発の経費は、開発費・試作品開発費に使える補助金も合わせて見ると整理しやすくなります。

よくある質問

運送業の会社でも申請できますか?

運送業は運輸業の基準で、資本金か常勤従業員数が基準以下であれば対象になります。基準の数字は、公募要領の台帳で確かめられます。

観光ツアーのような新事業にも使えますか?

採択事例には、観光ツアーの開発や観光向けのデジタルアートの計画が、ものづくり補助金と持続化補助金の両方にあります。ただし事例は過去の公募回なので、今の対象かどうかは公募要領で確かめます。

新事業進出枠の補助上限はどう決まりますか?

従業員数の区切りで決まり、賃上げ特例を使うと上限が上がります。区切りごとの金額は公募要領の台帳で確かめられます。

リースやレンタルの費用も対象になりますか?

借用の経費は、交付決定後に契約したものが対象になります。詳しい条件は公募要領の台帳の経費の行で確かめられます。

紹介された事例の使い道は、今も同じように使えますか?

ものづくり補助金の事例は平成25年度から平成29年度の公募回のものです。補助上限や対象経費は公募回で変わるため、今の決まりは公募要領の台帳で確かめます。

採択事例は運送業の採択事例で一覧できます。

ほかの質問も見るものづくり・新事業進出補助金のよくある質問
出典

公募の受付状況

新事業進出・ものづくり補助金

公募回
第1回
締切
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公募要領の台帳より(2026年10月30日確認)

よく採択されているテーマ

ものづくり補助金で採択された計画39,169件を、やりたいことで分けました。

ものづくり補助金では「設備導入」が24%で一番多く、次が「新事業・研究開発」(17%)です。

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「設備導入」で採択された計画名の例

  • ウォーターPPP対応の下水道管理・運営サービス向け設備の導入
  • 匠の技の技術承継と自動化による生産性向上を実現する
  • 最新ベンダー導入によるボイラー向け大型特殊煙道の製品化事業

まだ相談は早いと感じる方は、まず資料で全体をつかんでください。

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