小売店が使える補助金は?店舗改装・ネット販売・レジ別の選び方
この記事の要点
小売店の補助金は取り組みで選びます。店の改装やネットショップは持続化補助金、セルフレジは省力化投資補助金、POSや在庫管理のソフトはデジタル化・AI導入補助金です。経費の区分と条件、間違えやすい点を公募要領で整理しました。
この記事の目次
小売店の補助金は、やりたい取り組みで選びます。店の改装・陳列棚・ネットショップで客を増やすなら持続化補助金、セルフレジなど人手を減らす機器なら省力化投資補助金、POSや在庫管理のソフトならデジタル化・AI導入補助金です。
仕入れて売る商売から、自社の商品を作って卸す事業に広げるなら、新事業進出・ものづくり補助金が候補になります。
小売店を営んでいて、店舗の改装、ネット販売、レジや在庫の管理にどの補助金が使えるかを知りたい方に向けた記事です。
持続化補助金、省力化投資補助金、デジタル化・AI導入補助金、新事業進出・ものづくり補助金の公募要領と、卸売・小売業の採択事例をもとに、取り組みごとの使い分けを整理します。
小売店の取り組み別に合う補助金
小売店がよく考える5つの取り組みは、それぞれ合う制度が違い、1つの制度ですべてをまかなうことはできません。
| やりたい取り組み | 合う制度と経費の区分 | 押さえる条件 |
|---|---|---|
| 店の改装・売り場の作り直し | 持続化補助金の委託・外注費 | 販路開拓につながる改装に限る。増築など不動産の取得は対象外 |
| ショーケース・陳列台の入れ替え | 持続化補助金の機械装置等費 | 単なる買い替えは対象外 |
| ネットショップを始める | 持続化補助金のウェブサイト関連費 | ほかの経費と一緒に申請し、申請額に上限がある |
| セルフレジ・自動精算機 | 省力化投資補助金のカタログ注文型 | カタログに登録された製品を、登録した販売事業者から買う |
| POS・在庫・発注のソフト | デジタル化・AI導入補助金 | 登録されたITツールを、IT導入支援事業者と一緒に申請する |
同じ店でも、改装は持続化補助金、セルフレジは省力化投資補助金、と経費ごとに分ければ両方を使える場合があります。組み合わせの決まりは補助金の併用ルールで整理しています。
店舗改装は委託・外注費で計上する
持続化補助金で店を改装する費用は委託・外注費に入り、客を増やすための改装であることが条件です。公募要領は委託・外注費を「①〜⑦に該当しない経費で、自ら実行することが困難な業務を第三者に委託・外注する経費(店舗改装等を含む)」と定めています1。
対象になるのは、入りやすい入口に変える、試着室や体験コーナーを作る、高齢の客のために段差をなくす、といった工事です。店の移転だけを目的にした工事、住宅兼店舗の住宅部分、物置やコンテナハウスの設置など建物を取得する費用は対象外です。
改装の費用が高くなると、改装した部分も処分の制限を受け、数年間は勝手に用途を変えられません。改装で採択された事例は店舗改装・内外装の採択事例で読めます。
ネットショップの費用には上限と条件がある
ネットショップを作る費用はウェブサイト関連費で計上でき、申請できる額に上限があり、それだけでは申請できません。公募要領は「ウェブサイト・ECサイト・システム等の開発・構築・更新・改修・運用。補助金交付申請額の上限30万円(税込)。ウェブサイト関連費のみの申請不可」と書いています2。
ネットショップを始める小売店は、商品の撮影用の機材やチラシ、店頭の看板など、ほかの経費と組み合わせて計画を組みます。たとえば「店の常連客にチラシでネットショップを知らせ、遠方の客にも売る」という流れにすると、経費どうしがつながります。
ネット販売を始めた事例と、サイト制作で気をつける点はECサイト・ネット販売の採択事例で取り上げています。
レジと在庫管理は2つの制度を見比べる
レジまわりは、機器で人手を減らすなら省力化投資補助金、ソフトで売上や在庫の管理を楽にするならデジタル化・AI導入補助金と、目的で選ぶ制度が分かれます。デジタル化・AI導入補助金の通常枠は、小売業向けの業務として「小売業(小P-06):MD支援、賞味期限・検品・破棄管理、品質管理、標準商品規格書、クレジット・ローンシミュレーション、FC・代理店・販売店管理」を挙げています3。
- セルフレジ・自動精算機:省力化投資補助金のカタログに載った製品なら、レジ担当の時間を減らす投資として申請できます。製品本体の価格は「製品本体価格:製品毎に事前登録されている額を上限に申請。購入に係る製品本体価格は単価50万円以上」とされています。
- POSレジの本体:デジタル化・AI導入補助金のインボイス枠で、会計や決済のソフトと一緒に買う場合に対象になります。補助額は「レジ・券売機:下限なし~20万円、補助率1/2以内」です。
- 在庫・発注のソフト:デジタル化・AI導入補助金の通常枠で、IT導入支援事業者が登録したソフトから選びます。
セルフレジの製品選びはセルフレジに使える補助金で取り上げています。
仕入れ販売から自社製造へ広げる場合
仕入れた商品を売るだけでなく、自社の商品を作って卸やネットで売る事業に広げるなら、新事業進出・ものづくり補助金が候補になります。今の売り場の改善ではなく、新しい製品や市場に向けた設備投資を支える制度です。
革新的新製品・サービス枠は、従業員5人以下の会社で「従業員数1~5人:750万円(賃上げ特例適用時 850万円)」が上限です4。持続化補助金よりはるかに大きい投資ができる一方、付加価値額と賃金を上げる目標を数年にわたって守る必要があります。
制度のしくみと申請枠は新事業進出・ものづくり補助金とはで確かめられます。
専門家から見た小売店の補助金のポイント
小売店の補助金は、「店の外の客に知らせる」取り組みを軸にすると計画がまとまりやすく、設備やソフトはその手段として足す形が向いています。採択事例でも、卸売・小売の事例78件の課題は「販路・情報発信」が66.7%と、知られていないことの悩みが最も多くなっています。
卸売・小売の事例で使われた経費は、広報費が53.8%、ウェブサイト関連費が19.2%、委託・外注費が11.5%です。チラシや看板で店を知らせ、ネットや改装で買いやすくする組み合わせが多く見られます。
持続化補助金から始める店
商品には自信があるのに、商圏の外に知られていない店です。看板、チラシ、ネットショップ、売り場の改装を1つの販路開拓の計画にまとめられ、小さな店でも申請の準備が進めやすい制度です。
省力化やデジタル化を先に考える店
客は来ているのに、レジ待ちや棚卸しの手間で人が足りない店です。レジや在庫管理の時間が月に何時間減るかを数えると、どちらの制度で申請するか判断できます。
卸売・小売の採択事例は採択事例のデータで業種と経費を選んで探せます。
間違えやすい点
小売店の補助金で間違えやすいのは、仕入れの費用、汎用の機器、販売事業者の選び方の3つです。
販売する商品の仕入れは、どの制度でも補助の対象になりません。ネットショップを始める場合も、在庫の商品代は自社で用意します。
持続化補助金では、パソコンやタブレット、事務用のプリンターは対象外です。売り場で使うタブレットのレジを考えている場合は、デジタル化・AI導入補助金の対象かを先に確かめます。
省力化投資補助金のカタログ注文型とデジタル化・AI導入補助金は、登録された販売事業者やIT導入支援事業者と一緒に申請する制度です。登録の無い店で買った機器やソフトは対象になりません。
持続化補助金での卸売・小売の採択事例は卸売・小売業の持続化補助金で業種ごとに読めます。
よくある質問
個人の小さな商店でも申請できますか?
できます。小売業は従業員5人以下で持続化補助金の小規模事業者に当たり、個人事業主も対象です。
フランチャイズの店でも使えますか?
使える制度はありますが、フランチャイズ本部との取引や本部が作る広告物は、持続化補助金では対象外になります。加盟料も新事業進出・ものづくり補助金の対象外経費です。
ネットショップの月額利用料は対象ですか?
持続化補助金では、補助事業の期間に当たる分だけがウェブサイト関連費の対象になります。期間を越える分は按分して外します。
2店舗目の出店費用に使えますか?
ほかの質問も見る補助金のよくある質問出典(4件)
- 持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版・商工会議所地区 p.17『7.(3)⑧ 委託・外注費』
- 持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版・商工会議所地区 p.14『7.(3)③ ウェブサイト関連費』
- デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 公募要領 第7回からの改訂版 p.38『別紙2 業種・プロセス一覧』
- 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.6『1-2-1. 革新的新製品・サービス枠』
参考資料
- 全国商工会議所「持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区)」
- 中小企業基盤整備機構「省力化投資補助金 カタログ注文型 公募要領」
- 中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 公募要領(第7回からの改訂版)」
- 中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(インボイス対応類型)公募要領(改訂版)」
- 中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領」
- 公募要領の台帳(持続化補助金)
- 公募要領の台帳(省力化投資補助金)
- 公募要領の台帳(デジタル化・AI導入補助金)
- 公募要領の台帳(新事業進出・ものづくり補助金)
確認日:2026年10月17日
専門家が内容を確認しました(2026年10月17日)
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