医療・福祉が業務システム・ITに使える補助金は?採択された使い方と事例

この記事の要点

医療・福祉の業務システム・ITに使える補助金を、採択事例53件と公募要領をもとに整理しました。歯科技工、記録・請求のデジタル化、情報連携の実例と、交付決定前の購入など見落としやすい経費の決まりを載せています。

この記事の目次
  1. 53件中44件がものづくり・新事業進出補助金
  2. 歯科技工の設備とシステムを入れる
  3. 記録と請求をデジタル化する
  4. 患者と利用者の情報をつなぐ
  5. 対象かどうかは本社の場所と規模で決まる
  6. 補助上限は対応プロセス数で決まる
  7. 間違えやすい点
  8. 採択率は公募回で変わる
  9. 専門家から見たポイント
  10. よくある質問
結論

医療・福祉が業務システム・ITに使える補助金は、ものづくり・新事業進出補助金とデジタル化・AI導入補助金です。

採択事例では、医療・福祉の事例53件のうち44件がものづくり・新事業進出補助金(前身のものづくり補助金を含む)、8件がデジタル化・AI導入補助金で、2026年10月時点の数です。交付決定前の購入やリースなど、見落としやすい決まりもあります。

記録や請求のシステムを入れたいが、どの補助金で採択された例が多いのか分からない。医療・福祉の事業所で、業務システム・ITに使われた実例を知りたい方に向けた記事です。

ものづくり・新事業進出補助金は、新しい設備やシステムの導入、新しい事業への進出などを補助する国の制度です。デジタル化・AI導入補助金は、業務ソフトやクラウドの導入を支える制度です。公募要領の内容は公募要領の台帳で確かめられます。

53件中44件がものづくり・新事業進出補助金

採択事例のうち、医療・福祉の事例は2026年10月時点で53件です。使われた補助金の内訳は次のとおりです。

補助金 件数 割合
ものづくり・新事業進出補助金(前身のものづくり補助金を含む) 44件 83%
デジタル化・AI導入補助金 8件 15%
事業承継・M&A補助金 1件 2%

割合は医療・福祉の採択事例53件に対するものです。ものづくり・新事業進出補助金の事例の多くは、前身のものづくり補助金(平成24〜28年度)の採択です。個別の事例は医療・福祉の採択事例で見られます。

歯科技工の設備とシステムを入れる

前身のものづくり補助金(平成24〜26年度)の採択事例には、CADやCAMなどの設備と業務システムを入れ、作業時間や納期を短くした計画があります。標準納期が8営業日から6営業日になった例や、1本あたりの作業時間が45分から20分になった例が示されています。

記録と請求をデジタル化する

デジタル化・AI導入補助金の採択事例には、記録や請求の仕事をシステムに移し、利用者と向き合う時間を増やした計画があります。バイタル記録をタブレット化した例では、パソコンの順番待ちと帳票への転記がなくなったと示されています。

1バイタル記録のタブレット化

2支援記録と請求

3オンライン療育とWeb会議

患者と利用者の情報をつなぐ

前身のものづくり補助金(平成25〜28年度)の採択事例には、介護と医療の情報をつなぐシステムや、見守りの流れを組み替えた計画があります。有料老人ホームの例では、入居者の行動を確認してから駆けつける流れに変え、状況を素早く把握できるようになったと示されています。

1医療介護の連携システム

ケアの属人性を、多職種連携システムで標準化し記録を効率化

有限会社イトーファーマシー✓ 経産省などの認定・選定

成果介護事業所では、サービス熟達度の向上、入力・記録の効率化が図られ、交通費・通信費・人件費などのコスト削減が見込まれます。

設備導入業務システム・ITサーバー・PC・ネットワーク新事業・研究開発

2見守りの流れを変える

コールのたびの駆けつけを見守りICTシステムの映像確認に替え、対応を的確に

株式会社フレーバー✓ 経産省などの認定・選定

成果ワークフローを「コールが鳴る→駆けつける」から「入居者の行動を確認する→駆けつける」へ変えたことで、状況を素早く把握して的確に対応できるようになりました。

設備導入業務システム・IT

3創業支援型|オンライン服薬指導

対象かどうかは本社の場所と規模で決まる

ものづくり・新事業進出補助金の対象になるかは、本社と事業を行う場所、会社の規模で決まります。詳しい条件はものづくり・新事業進出補助金の公募要領の台帳にまとめています。

確かめること 公募要領の決まり
本社と事業を行う場所 日本国内に本社及び補助事業実施場所を有する(1)中小企業者~(6)対象リース会社(小規模企業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、農事組合法人を含む)
中小企業者の基準 資本金又は常勤従業員数が基準以下:製造業・建設業・運輸業 3億円/300人、卸売業 1億円/100人、サービス業 5,000万円/100人、小売業 5,000万円/50人 等
小規模企業・小規模事業者の基準 小規模企業者・小規模事業者:常勤従業員数 製造業その他20人以下、商業・サービス業5人以下(宿泊業・娯楽業は20人以下)

出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.17『1-4-1. 補助対象者』台帳で見る

歯科技工所や介護事業所の記録システムの導入が対象になるか、御社の法人形態と規模から3分ほどで確かめられます。

AIで対象か確認する

補助上限は対応プロセス数で決まる

デジタル化・AI導入補助金の通常枠では、導入するITツールが対応する業務プロセスの数で補助上限が変わります。導入例は業務システム・ITの採択事例で見られます。

類型 補助上限
通常枠(1プロセス以上) 5万円~150万円未満(1プロセス以上)
通常枠(4プロセス以上) 150万円~450万円以下(4プロセス以上)

通常枠の補助率は1/2以内です。

出典:デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 公募要領(第7回からの改訂版) p.16『2-3 補助対象経費、補助率及び補助額』台帳で見る

ものづくり・新事業進出補助金の申請の締切は2026年10月30日(金)18:00(この回は締切済み)です。デジタル化・AI導入補助金の通常枠は、公募要領に締切日の記載がなく、受付スケジュールは事業のホームページで公表されます。

間違えやすい点

間違えやすいのは、交付決定前の購入とリース、機械の単価、そして事例の公募回です。

  1. 交付決定前の購入は対象外。デジタル化・AI導入補助金の通常枠では、対象外の経費として「交付決定前に購入したITツール」が挙げられています。
  2. リースや中古は対象外。同じく対象外の経費に「リース・レンタル契約のITツール(お助け隊サービスを除く)、中古品」があります。
  3. 機械の単価に下限がある。ものづくり・新事業進出補助金では、補助対象となる機械装置等は単価10万円(税抜き)以上と決まっています。
  4. 借用は交付決定後の契約。ものづくり・新事業進出補助金では、借用(リース・レンタル)は交付決定後に契約したもので、補助事業実施期間中の経費のみ(期間超過分は按分)
  5. 事例は過去の公募回のもの。ものづくり・新事業進出補助金の事例には前身のものづくり補助金(平成24〜28年度)の採択が多く、補助上限や経費の決まりは今の公募要領で確かめます。

採択後の交付申請と実績報告の流れは採択後の交付申請と実績報告で取り上げています。

採択率は公募回で変わる

旧ものづくり補助金の採択率は、最新回(23次)で35.1%です。回ごとの推移は、次のグラフのとおりです。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の採択率(公募回ごと)

ものづくり・全23回の平均46.8%
主要7制度の平均47.9%

最新の23次は35.1%(全23回の平均は46.8%)

棒の下の数字は公募回・応募数・採択数です。横にスクロールすると過去の回が見られます。

公募回応募採択採択率
23次 2026/08/071,27544835.1%
22次 2026/04/301,55258237.5%
21次 2026/01/231,87263834.1%
20次 2025/10/272,45382533.6%
19次 2025/07/285,3361,69831.8%
18次 2024/06/255,7772,07035.8%
全23回の平均4,3472,03446.8%

出典:ものづくり補助金 事務局「採択結果」・中小企業庁「採択結果」(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、各回の公表資料)。採択率は採択数÷応募数で当社が計算しています。公募回の名前から各回の発表ページを開けます。

ほかの補助金の採択率と採択事例を見る

※ グラフと採択率は、今のものづくり・新事業進出補助金になる前の、旧ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)の採択結果です。今の制度の採択結果は、公表されたら差し替えます。

採択されなかったときに理由を聞けるかは、補助金の不採択の理由は教えてもらえる?で取り上げています。

専門家から見たポイント

医療・福祉の採択事例は、設備とシステムを組み合わせる計画と、記録や請求だけをデジタル化する計画に分かれます。旧ものづくり補助金の最新回では、公式の採択データで応募1,275件に対して448件が採択されており、計画の筋道が問われる制度です。

設備と業務を一緒に変えたい事業者

歯科技工や医療機器のように、設備を入れる計画とシステムを組み合わせる例は、ものづくり・新事業進出補助金の採択事例に多く見られます。作業時間や納期を数字で示した例が参考になります。

記録や請求の手間を減らしたい事業者

記録や請求を移すだけなら、デジタル化・AI導入補助金の例が参考になります。対応するプロセスの数で上限が変わる点を先に確かめてください。

計画がどの経費区分に入るか、医療法人や社会福祉法人で対象になるかは、専門家に無料で相談して確かめられます。

医療・福祉の採択事例で、ほかの事例も確かめられます。

よくある質問

医療法人や社会福祉法人は補助の対象になりますか?

対象の法人は補助金ごとに決まっています。事業承継・M&A補助金の事業承継促進枠では、公募要領に対象外の法人として「社会福祉法人、医療法人、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人、学校法人、農事組合法人、組合、法人格のない任意団体は対象外」が挙げられています1。デジタル化・AI導入補助金とものづくり・新事業進出補助金は、各公募要領の補助対象者の節で、法人の種類が含まれるかを確かめます。

業務システムの導入費用は、どこまで補助の対象になりますか?

デジタル化・AI導入補助金の通常枠では、ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)、導入関連費が対象です。実例は業務システム・ITの採択事例で確かめられます。

交付決定の前に購入したシステムは補助の対象になりますか?

交付決定前に購入したITツールは、補助の対象外です。購入の順番は、採択後の流れと合わせて確かめてください。

紹介された事例の使い道は、今も同じように使えますか?

ものづくり・新事業進出補助金の事例の多くは、前身のものづくり補助金(平成24〜28年度)の採択です。補助上限や対象経費は公募回で変わるため、今の決まりは公募要領の台帳で確かめます。

採択後に何を出せばよいですか?

交付申請と実績報告の流れは、採択後の交付申請と実績報告で取り上げています。

ほかの「よくある質問」を見る

ほかの質問も見るものづくり・新事業進出補助金のよくある質問
出典(1件)
  1. 事業承継・M&A補助金 16次 事業承継促進枠 公募要領 p.11『5. 補助対象者【対象となる中小企業者等】』

公募の受付状況

新事業進出・ものづくり補助金

公募回
第1回
締切
この回の受付は終了しました

公募要領の台帳より(2026年10月30日確認)

よく採択されているテーマ

ものづくり補助金で採択された計画39,169件を、やりたいことで分けました。

ものづくり補助金では「設備導入」が24%で一番多く、次が「新事業・研究開発」(17%)です。

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「設備導入」で採択された計画名の例

  • ウォーターPPP対応の下水道管理・運営サービス向け設備の導入
  • 匠の技の技術承継と自動化による生産性向上を実現する
  • 最新ベンダー導入によるボイラー向け大型特殊煙道の製品化事業

まだ相談は早いと感じる方は、まず資料で全体をつかんでください。

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