協働ロボットに使える補助金は?溶接・プレス・ピッキングの対象と上限
この記事の要点
協働ロボットを溶接・プレス・ピッキングなどの工程に入れるときに使える補助金を、省力化投資補助金のカタログ注文型と一般型、新事業進出・ものづくり補助金に分けて整理します。カタログの製品カテゴリと、SIerが組むロボットセルの扱いも取り上げます。
この記事の目次
協働ロボットを人手の作業を減らすために入れるなら、中心になるのは中小企業省力化投資補助金です。溶接やプレス、ピッキングなどカタログの製品カテゴリに当てはまればカタログ注文型、SIerが自社の工程に合わせて組み上げるロボットセルなら一般型を使います。
新しい製品の開発のためにロボットを入れる場合は、新事業進出・ものづくり補助金も候補になります。
溶接・組立・搬送などの工程に協働ロボットを入れたいときに、どの補助金のどの型が使え、補助の上限がどう決まるかを知りたい方に向けた記事です。
省力化投資補助金のカタログ注文型と一般型、新事業進出・ものづくり補助金の公募要領から、ロボットの導入に関係する所を整理します。
中小企業省力化投資補助金とは?
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業が、ロボットやIoTで人の作業を置き換える設備を入れる費用の一部を国が補助する制度です。カタログ注文型と一般型の2つの型があり、ロボットはどちらの型でも対象になり得ます。
2つの型の上限と手続きの違いは省力化投資補助金の申請類型で取り上げています。
協働ロボットはカタログ注文型の対象?
カタログに製品カテゴリがあり、そのカテゴリで登録された製品なら対象です。公募要領は製品カテゴリを「製品カテゴリ:特定の業務に使われ類似の効能を持つ製品の分類。工業会等の登録申請を受け中小企業庁が業所管省庁等と協議して認定し、カテゴリごとに省力化指数が策定される」と定めています。
「協働ロボット」という名前のカテゴリはありません。ロボットは、溶接やプレスなど作業ごとのカテゴリに分かれて載っています。製造の現場で協働ロボットに近いものは、次のカテゴリです。
| 作業 | カタログの製品カテゴリ |
|---|---|
| 溶接 | 精密板金向けTIG溶接協働ロボットシステム、アーク溶接ロボット、ファイバーレーザ溶接ロボットシステム |
| プレス・曲げ | プレス用多関節ロボット、プレスブレーキ用ロボットシステム、プレス間搬送ロボット |
| 工作機械への着脱 | 工作機械用自動ワーク交換装置、パイプベンダー用投入・排出ロボット |
| 成形品の取り出し | 後工程自動化機能付成形品取出しロボット |
| ピッキング・積み付け | バラ積みピッキングロボットシステム、パレタイズロボット |
出典:省力化投資補助金 カタログ注文型 製品カテゴリ
同じカテゴリでも、補助の対象になるのはカタログに登録された型番だけです。製造業の会社が選びやすい製品は製造業での省力化投資補助金の使い方で取り上げています。
カタログ注文型で入れるときの上限は?
補助の上限は、会社の従業員の数で決まります。公募要領の補助上限は次のとおりです。
- 従業員5人以下:500万円(大幅な賃上げを行う場合750万円)
- 従業員6~20人:750万円(大幅な賃上げを行う場合1,000万円)
- 従業員21人以上:1,000万円(大幅な賃上げを行う場合1,500万円)
補助率は「1/2以下。省力化製品の購入価格が製品毎に設定された補助上限額の2倍を上回る場合、補助率は1/2未満」とされています1。ロボットは製品ごとにも補助の上限が決められているため、高い構成を選ぶほど、自社の負担の割合が増えます。
カタログ注文型の申請は、登録された販売事業者と一緒に進めます。申請の手順は省力化投資補助金カタログ注文型の申請方法で取り上げています。
SIerが組むロボットセルは一般型で出せる?
出せます。一般型の公募要領はオーダーメイド設備を「オーダーメイド設備:ICT・IoT・AI・ロボット・センサー等を活用し、生産工程を自動化するため、SIerとの連携などを通じて事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム」と定めています2。
協働ロボット本体は多くのメーカーが作る汎用品です。一般型では、ロボットにハンドや治具、カメラ、安全柵の代わりのセンサーを組み合わせ、自社のワークと工程に合わせて動きを作り込んだ一式として出します。ロボット1台を単体で買うだけの計画は、一般型では対象になりません。
一般型の補助上限は従業員の数で5段階に分かれ、たとえば従業員21~50人:3,000万円(特例適用時4,000万円)です。審査から採択後までの手順は省力化投資補助金 一般型の審査と採択後の流れで取り上げています。
ものづくり補助金でロボットは対象になる?
新しい製品やサービスを作るためのロボットなら対象になり得ます。新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠は、「革新的な新製品・新サービス開発が対象。既存の製品・サービスの生産等のプロセスの改善・向上を図る事業は補助対象外」としています3。
今の製品の溶接を人からロボットに替えるだけなら、生産の工程の改善にあたり、この枠では対象外です。公募要領は「単に機械装置・システム等を導入するにとどまり、新製品・新サービスの開発を伴わないものは対象外。同業で相当程度普及しているものも該当しない」とも書いています。ロボットで、今まで作れなかった精度の部品や新しい加工のサービスを始めるなら、この枠を考えます。
上限は、たとえば従業員数21~50人:1,500万円(賃上げ特例適用時 2,500万円)です。制度の全体は新事業進出・ものづくり補助金とは?で取り上げています。
ロボットの目的で補助金をどう選ぶ?
選ぶ順番は、ロボットを入れる目的と、カタログに当てはまる製品があるかの2つで決まります。
| ロボットを入れる目的 | 合う補助金と型 |
|---|---|
| 今の作業を早く楽にしたい、登録された製品がある | 省力化投資補助金 カタログ注文型 |
| 今の作業を自動にしたい、工程に合わせた作り込みが要る | 省力化投資補助金 一般型 |
| ロボットで新しい製品や加工のサービスを始めたい | 新事業進出・ものづくり補助金 革新的新製品・サービス枠 |
出典:中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募) p.12『1-5(2)④ その他の要件』台帳で見る
同じロボットの費用に2つの補助金を重ねて受けることはできません。リースで入れる場合の扱いはリース・割賦で補助金は使える?で取り上げています。
専門家から見た協働ロボットのポイント
省力化投資補助金の採択事例28件のうち、製造業の事例は11件です。ロボットの計画では、1人が張り付いている繰り返しの作業を任せ、空いた人を検査や段取りに回す形が書きやすくなります。
協働ロボットの補助金が向いている会社
同じワークを毎日まとまった数だけ扱い、ロボットに任せる作業の時間を測れる会社です。省力化の効果を作業の分数で示せるので、カタログ注文型でも一般型でも計画が書きやすくなります。ロボットの教示を自社で覚える人を決めている会社は、導入の後も効果が続きます。
協働ロボットの補助金に迷う会社
品種が多く、ワークが毎回変わる会社です。ロボットの段取り替えに時間がかかると、減る時間が少なく見えます。治具やビジョンでどこまで段取りを減らせるかをSIerと先に詰め、一般型で出すかを決めます。人手不足を示す書類の準備はカタログ注文型の人手不足要件の証拠書類で取り上げています。
間違えやすい点
ロボットの補助金で間違えやすいのは、費用の範囲と、補助の外になる経費です。
一般型でSIerに頼む場合、費用の入れ先は分かれます。手引きは「SIerに発注する場合:システムの製作→システム構築費、システム構築のアドバイス→専門家経費、構築の一部のみの制作やセキュリティ診断→外注費」としています。見積書の段階で、どの費用がどの経費に入るかを分けてもらいます。
カタログ注文型では、カタログの構成にない部品や工事を足しても、その分は補助の対象になりません。ハンドや周辺機器が製品の構成に入っているかを、販売事業者に先に確かめます。賃上げの約束も申請の条件になるため省力化投資補助金の賃上げ要件とは?も合わせて確かめます。
よくある質問
協働ロボットの本体だけを買っても補助されますか?
カタログ注文型で、その本体がカテゴリに登録された製品なら補助されます。一般型では、本体1台だけの導入は汎用設備の単体の導入にあたり、対象になりません。
中古の協働ロボットは対象になりますか?
カタログ注文型は登録された新品の製品が対象のため、中古は対象になりません。一般型も、公募要領で中古品の購入費は対象外とされています。
ロボットを動かすプログラムの作成費は対象ですか?
一般型では、SIerがシステムを作る費用はシステム構築費に入ります。カタログ注文型では、製品の構成に含まれる設定の費用だけが対象です。
人と同じ場所で動かすための安全対策の費用は入りますか?
ほかの質問も見る補助金のよくある質問出典(3件)
- 中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領 p.7『2-1(1) 補助率及び補助上限額』
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募) p.7『1-2 定義(1)』
- 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.6『1-2-1. 革新的新製品・サービス枠』
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