10億宣言とは?新事業進出・ものづくり補助金の新しい要件と準備

この記事の要点

10億宣言は、売上を大きく伸ばしたい中小企業が金融機関の伴走のもとで目標を宣言・公表する仕組みで、新事業進出・ものづくり補助金の要件になる案が出ています。中小企業政策審議会と概算要求の資料をもとに、対象・項目・準備を整理しました。

この記事の目次
  1. 10億宣言とは?
  2. 対象は成長途中の中小企業
  3. 宣言に書く5つの項目
  4. 補助金の要件になる案
  5. 今の公募の上限と補助率
  6. 100億宣言との違い
  7. 宣言の前に集める材料
  8. 専門家から見たポイント
  9. 間違えやすい点
  10. よくある質問
結論

10億宣言は、売上10億円を目指す中小企業が、その目標を金融機関の伴走のもとで宣言し公表する仕組みです。新事業進出・ものづくり補助金で要件になるのは来年度の案で、今の公募回では要りません。

10億宣言が新事業進出・ものづくり補助金の要件になると聞き、何を準備するか知りたい方に向けた記事です。国の審議会と概算要求の資料をもとに、宣言の中身と今の公募との違い、採択事例から見た準備を整理します。

10億宣言とは?

10億宣言は、売上10億円を目指す中小企業を国が後押しするための、新しい宣言の仕組みです。中小企業庁が2026年6月に公表した「稼ぐ力」強化戦略で、成長志向の中小企業を増やす柱として打ち出されました。

中小企業政策審議会の資料では、宣言の内容を公表し、宣言した会社に補助金などの投資支援を集中させる方向が書かれています。仕組みの詳しい作りは、2026年度から仕組みの詳細の検討を始めるとしています。

出典:労働供給制約社会における中堅・中小企業の「稼ぐ力」強化戦略(案)に伴う政策の見直しについて(概要) p.5

売上100億円を目指す会社向けには、すでに成長加速化補助金の100億宣言があります。10億宣言は、その一つ手前の規模の会社に向けた仕組みです。

対象は成長途中の中小企業

10億宣言の対象として資料が挙げているのは、売上高1〜10億円の成長志向の中小企業(約60万者)です。今の売上が1億円に届かない会社や、すでに10億円を超えている会社は、想定の中心から外れます。

資料は、売上1〜10億円の層のうち、成長の軌道に乗っている約3割の会社を念頭に置いています。売上の大きさだけでなく、伸ばしていく見込みがあるかが問われる作りです。

小規模事業者が売上1億円を目指す場合は、別に検討されている成長志向の経営計画(仮称)の宣言が近い仕組みです。

宣言に書く5つの項目

10億宣言に書く項目は、中小企業政策審議会の資料に次の5つが案として挙がっています。

  1. 経営者のビジョン:10億円に向けて会社をどう育てるか
  2. 事業価値の磨き上げ:強みになる製品・サービスをどう伸ばすか
  3. 経営基盤の構築:人材・設備・管理の仕組みをどう整えるか
  4. 地域経済への貢献:雇用や取引で地域にどう効くか
  5. 金融機関の伴走支援方針:メインバンクがどう支えるか

出典:労働供給制約社会における中堅・中小企業の「稼ぐ力」強化戦略(案)に伴う政策の見直しについて(概要) p.8

10億宣言の特徴は、5つ目の金融機関の伴走支援方針です。資料には「金融機関の伴走のもとで宣言し、地域金融機関(メインバンク)が伴走支援を表明する」とあり、会社だけで書いて出せるものではありません。

成長資金の借り方は補助金と組み合わせる融資の記事で取り上げています。

事業価値を磨く採択事例

事業価値の磨き上げと地域への貢献に近い採択事例です。

2地域の産品で町おこし

設備投資で事業を伸ばしたほかの計画はものづくり補助金の採択事例で見られます。

補助金の要件になる案

令和9年度の概算要求の段階で、新事業進出・ものづくり商業サービス補助事業には2,200億円が要求されています。あわせて、10億宣言について売上高10億円を目指す「10億宣言」を原則として要件にする方向が示されています。

項目 今の公募 来年度の案
10億宣言 求められていない 原則として申請の要件
賃上げの見方 これからの賃上げ計画 申請時点までの賃上げの状況も審査する方向
決まる時期 今の公募要領のとおり 12月の予算案と来年度の公募要領

出典:令和9年度 中小企業・小規模事業者・地域経済関係 概算要求等のポイント p.2

新要件は概算要求の段階の案なので、今公募中の回では10億宣言は求められていません。宣言の様式や例外は、予算案と来年度の公募要領で決まります。

制度の全体は新事業進出・ものづくり補助金とは?で取り上げています。

今の公募の上限と補助率

申請枠ごとの上限

新事業進出・ものづくり補助金の新事業進出枠は、上限が従業員数で変わり、補助率は1/2です。

区分 補助上限 賃上げ特例のとき
従業員1〜20人 2,500万円 3,000万円
従業員21〜50人 4,000万円 5,000万円
従業員51〜100人 5,500万円 7,000万円
従業員101人以上 7,000万円 9,000万円

革新的新製品・サービス枠は、従業員51人以上で上限2,500万円、補助率は1/2です。グローバル枠の補助率は2/3です。

成長加速化補助金は、上限5億円・補助率1/2です。対象は売上高が 10 億円以上 100 億円未満の会社で、10億宣言の先の規模にあたります。

申請受付と締切

制度 申請受付 締切
新事業進出・ものづくり補助金 2026年9月30日(水)から 2026年10月30日(金)18:00
成長加速化補助金 2026年9月29日(火)から 2026年11月12日(木)15:00

新事業進出枠で対象になる新事業は新事業進出・ものづくり補助金の新事業進出枠で取り上げています。

売上の規模と投資の中身によって、新事業進出・ものづくり補助金と成長加速化補助金のどちらが自社に合いそうかは、会社のURLを入れるとAIで確かめられます。

AIで対象か確認する

100億宣言との違い

10億宣言と100億宣言は名前が似ていますが、目指す売上の大きさと、関係する補助金が違います。

項目 10億宣言 100億宣言
目指す売上 10億円 100億円
今の売上の目安 1〜10億円 10〜100億円
関係する補助金 新事業進出・ものづくり補助金(来年度の案) 成長加速化補助金(今も要件)
特徴 金融機関の伴走支援方針を書く案 ポータルサイトで公表される
始まった時期 仕組みづくりの段階 すでに運用中

成長加速化補助金では、申請時までに100億宣言がポータルサイトで公表されていることが要件です。100億宣言を出していても、10億宣言の代わりになるかは決まっていません。

100億宣言の項目と公表までの日数は成長加速化補助金の100億宣言とはで取り上げています。

成長加速化補助金の要件は成長加速化補助金の台帳で確かめられます。

宣言の前に集める材料

材料を集める順番

10億宣言の様式はまだ公表されていませんが、5つの項目の材料は今から集められます。

  1. 直近3期の売上・利益と、10億円までの差を数字で書き出す。
  2. 売上を伸ばす柱になる製品・サービスと、そのための設備投資を決める。
  3. 人の採用・育成と、従業員一人あたりの給与の伸びを計画にする。
  4. メインバンクに成長の計画を説明し、伴走してもらえるか相談する。

計画の数字と今の要件

新事業進出・ものづくり補助金の今の公募でも、計画の数字は要件に直結します。付加価値額は年平均4.0%以上の伸びが基本の要件です。

一人当たり給与支給総額は、年平均3.5%以上の伸びが求められます。宣言の売上目標と、この2つの数字をそろえておくと計画がぶれません。

年平均でどれだけ伸ばせば届くかの計算は年平均成長率の求め方で取り上げています。

注意

交付決定日より前に契約・発注した設備は、補助の対象外です。宣言や採択を待つ間に、設備の発注を先に進めないようにします。

新分野へ進む採択事例

新しい市場向けの設備投資に近い採択事例です。

1既存技術で新分野

2医療分野への参入

同じ業種のほかの計画は製造業の採択事例で見られます。

申請までの準備の流れと書類のそろえ方は、「補助金ガイドブック」の資料にまとめています。

申請準備の資料を無料で受け取る

専門家から見たポイント

来年度に向けては、計画の中身に加えて「どこまで伸ばすか」を数字で語れるかが問われます。10億宣言が入口に加わると、売上の目標と投資・採用の計画のつながりが、より見られるためです。

今の公募でも審査の差はつきます。新事業進出・ものづくり補助金の採択率は33.9%(第4回)です。

向いている会社

売上が数億円で、新しい市場向けの製品やサービスに設備投資を考えている会社です。メインバンクと日ごろから計画を話している会社は、宣言の5つ目の項目を早くそろえられます。

迷う会社

売上が1億円前後の会社は、10億宣言と成長志向の経営計画(仮称)のどちらが合うかを、来年度の公募要領を見て決めます。今の公募の結果の時期は新事業進出・ものづくり補助金の採択結果はいつ?で取り上げています。

よくある失敗

宣言の売上目標だけを大きく書き、設備投資や採用の計画と数字がつながっていないことです。審査では、計画どうしの整合が見られます。

今の公募で先に申請するか、10億宣言の様式を待って来年度に回すかは、売上の規模と投資の時期で変わります。迷う場合は、専門家に無料で相談して御社の順番を確かめるのが早いです。

専門家に無料で相談する

間違えやすい点

  1. 今の公募では要らない:10億宣言を求めるのは来年度の案です。今公募中の回は、今の公募要領の要件で申請します。
  2. 100億宣言とは別の宣言:100億宣言は成長加速化補助金向けで、目指す売上の規模が違います。出していても、10億宣言として扱われるとは限りません。
  3. 宣言は会社だけで書けない:金融機関の伴走支援方針を書く案です。メインバンクとの話し合いの時間を見込んでおきます。
  4. 「原則」には例外がありうる:例外の範囲は来年度の公募要領で決まります。宣言できない会社が申請できなくなると決まったわけではありません。

今の申請で見落としやすい書類は業者選定理由書とは?で取り上げています。

よくある質問

10億宣言はいつから出せる?

国は仕組みの詳しい検討を始めた段階で、受付の開始日はまだ公表されていません。来年度の公募に合わせて始まる見込みで、決まりしだい公式サイトで告知されます。

10億宣言をすると補助上限は上がる?

今の公表資料には、補助上限を上げるとは書かれていません。補助上限や補助率は、来年度の公募要領で決まります。

個人事業主でも10億宣言を出せる?

資料には、個人事業主を外すとも含めるとも書かれていません。なお、今の新事業進出・ものづくり補助金では、応募申請時点で従業員数が0名の事業者は対象外です。

宣言の金融機関と、補助金の確認書は同じもの?

別のものです。今の公募では、金融機関から資金を借りる場合にだけ「金融機関による確認書」を出します。10億宣言の伴走支援方針との関係は、まだ示されていません。

ものづくり補助金で探していても10億宣言は関係ある?

関係があります。今のものづくり補助金は新事業進出・ものづくり補助金として公募されていて、10億宣言を要件にする案はこの補助金についてのものです。

ほかの質問はほかの「よくある質問」を見るでまとめています。

ほかの質問も見る補助金のよくある質問
出典

いま申請できる回(たとえばこの補助金)

小規模事業者持続化補助金

公募回
第20回
締切
2026年12月15日(火)17:00
補助上限
50万円一般型 通常枠(第20回)

公募要領の台帳より(2026年10月30日確認)

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VOICE

この補助金を使った人の声

出典:国・省庁などの公開情報をもとに当社が加工

中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事にある事業者の発言を引用しています。

まだ相談は早いと感じる方は、まず資料で全体をつかんでください。

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