事業承継・M&A補助金は省エネ・脱炭素に使える?採択された使い方と注意点

この記事の要点

事業承継・M&A補助金は、省エネ設備の導入や省エネ製品の新事業化、遮熱工事の事業化などに使えます。採択事例3件をもとに、件数の少なさも含めて、実例の成果、対象の線、経費の注意点、補助上限の見方まで整理しました。

この記事の目次
  1. 事例は3件で使い方は3つ
  2. 省エネ設備を入れる
  3. 省エネ製品を新事業にする
  4. 施工の技術を新事業にする
  5. 規模の線で対象が決まる
  6. 補助上限は賃上げで変わる
  7. 省エネ機器は設備費で見る
  8. 間違えやすい点
  9. 採択率は公募回で変わる
  10. 専門家から見たポイント
  11. よくある質問
結論

事業承継・M&A補助金は、省エネ設備の導入や省エネ製品の新事業化、遮熱工事の事業化に使えます。採択事例では、省エネ・脱炭素に使った例が2026年10月時点で3件あり、使い方は設備導入・製品開発・遮熱工事の3つに分かれます。

事例は3件と少ないため、傾向として断定はできません。中古品や委託費の上限など、経費の決まりは台帳で確かめる必要があります。

省エネ設備を入れたいが、事業承継・M&A補助金でどう使えるのか判断がつかない。採択された使い方と注意点を知りたい方に向けた記事です。

事業承継・M&A補助金とは、事業承継やM&Aに伴う設備や専門家への経費を補助する国の制度です。制度の全体は、事業承継・M&A補助金の公募要領の台帳で確かめられます。

事例は3件で使い方は3つ

採択事例では、省エネ・脱炭素に使った例は2026年10月時点で3件あり、設備導入・省エネ製品の新事業化・遮熱工事の3つの使い方に分かれます。使い道の内訳は次のとおりです。

やりたいこと 件数 割合
省エネ・脱炭素 3件 100%
事業承継・M&A 3件 100%
設備導入 2件 67%
新事業・研究開発 2件 67%
創業・開業 1件 33%

割合は、この組の採択事例3件に対するものです。1件の事例が複数の使い道に当たるため、合計は100%を超えます。業種と地域はそれぞれ異なり、農業・林業(栃木県)、建設業(静岡県)、小売業・卸売業(三重県)の3件です。事例が少ないため、ほかの使い道の傾向は省エネ・脱炭素の採択事例で確かめてください。

省エネ設備を入れる

設備導入と省エネ・脱炭素を一つの計画にまとめた例は、農業の栽培施設に見られます。令和2年度の公募回の事例で、作付け開始から2か月の収穫量が前年同期より約40%増えたと示されています。

省エネ製品を新事業にする

新事業・研究開発と省エネ・脱炭素を組み合わせる例は、園芸用の保水材を生かした製品化に見られます。令和4年度の公募回の事例で、実証により夏の消費電力量が30〜60%ほど減り、大量出荷に備えられる倉庫も確保できたと示されています。

施工の技術を新事業にする

建設業の例は、瓦職人の技術を工場向けの遮熱工事に広げた計画です。令和3年度の公募回の事例で、チラシの反響で4件の問い合わせがあり、3件を受注したと示されています。

規模の線で対象が決まる

御社が対象になるかは、中小企業者等の定義と対象外の法人形態で決まります。まず、業種ごとの資本金と従業員数の基準を確かめます。

確かめること 公募要領の決まり
中小企業者等の定義 製造業その他:資本金3億円以下又は従業員300人以下/卸売業:1億円以下又は100人以下/小売業:5千万円以下又は50人以下/サービス業:5千万円以下又は100人以下
小規模事業者等の定義 製造業その他:従業員20人以下/商業・サービス業:5人以下/サービス業のうち宿泊業・娯楽業:20人以下
課税所得の上限 直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者等は対象外
対象外の法人形態 社会福祉法人、医療法人、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人、学校法人、農事組合法人、組合、法人格のない任意団体は対象外
親会社と子会社の扱い 親会社が議決権50%超を有する子会社は同一法人とみなし、いずれか1社の申請しか認められない

出典:事業承継・M&A補助金 16次 事業承継促進枠 公募要領 p.10『5. 補助対象者【対象となる中小企業者等】』台帳で見る

資本金や従業員数が基準に収まるか、親会社との関係で同一法人とみなされないかは、AIで御社の条件を入れて確かめられます。

AIで対象か確認する

補助上限は賃上げで変わる

補助上限、補助率、補助下限は次の表のとおりです。賃上げ要件など枠ごとの細かな条件は、事業承継・M&A補助金の公募要領の台帳で確かめられます。

項目 公募要領の決まり
補助上限 800万円(賃上げ要件を満たした場合1,000万円)
補助率 小規模事業者等は2/3以内、それ以外は1/2以内。800万円超~1,000万円部分は1/2以内
補助下限 100万円(補助対象経費×補助率が100万円を下回る申請は受け付けない)
廃業費を併用する場合 +300万円(廃業費の補助率は事業費の補助率に従う)

出典:事業承継・M&A補助金 16次 事業承継促進枠 公募要領 p.19『10. 補助上限額、補助率等』台帳で見る

省エネ機器は設備費で見る

省エネ機器を入れる経費は設備費に当たります。一方で、中古品購入費や不動産の購入費は設備費の対象外で、委託費にも対象外の経費があるため、区分ごとに確かめます。同じ補助金で採択された計画の経費の使い方は、事業承継・M&A補助金の採択事例でも見られます。

経費の区分 公募要領の決まり
設備費 国内の店舗・事務所等の工事、国内で使用する機械器具等調達費用(品目1件20万円以上(税抜き))
設備費の対象外 中古品購入費、不動産の購入費、道路運送車両法の自動車の購入費(リース・レンタルは対象)
委託費の対象外 Webサイトの新規制作・更新、ソフトウェア・システム開発、広告に係る費用は委託費の対象外
共通の対象外 求人広告、通信運搬費、消耗品、研修費、税理士等の申告費用、公租公課、振込手数料、借入金利息等
出典:事業承継・M&A補助金 16次 事業承継促進枠 公募要領 p.55『(別紙)補助対象経費(3)(1)設備費』台帳で見る
ほか2件事業承継・M&A補助金 16次 事業承継促進枠 公募要領 p.63『(別紙)補助対象経費(6)委託費』台帳で見る
事業承継・M&A補助金 16次 事業承継促進枠 公募要領 p.67『(別紙)その他、補助対象とならない経費の主なもの』台帳で見る

間違えやすい点

間違えやすいのは、支払い先の決まりと、委託費や謝金の上限、事例の公募回です。

  1. 被承継者への支払いは対象外。被承継者に支払う譲受費用(土地、資産購入費用等)など被承継者に支払う費用は原則対象外
  2. 委託費には上限がある。業務の一部を第三者に委託(委任)する経費。事業費合計額(税抜)の2分の1が上限
  3. 謝金は対象の専門家に限られる。補助対象事業実施のために依頼した専門家等に支払う経費(専門家は士業及び大学博士・教授等に限る)
  4. 事例は過去の公募回のもの。紹介した事例は令和2〜4年度の公募回の採択で、補助上限や経費の決まりは今の公募要領で確かめます。

採択後の交付申請と実績報告で経費をどう扱うかは、事業承継・M&A補助金の採択後の手続きで取り上げています。

採択率は公募回で変わる

事業承継・M&A補助金の採択率は、最新回(15次)で61.3%です。回ごとの推移は、次のグラフのとおりです。

事業承継・M&A補助金の採択データ

事業承継・M&A補助金(10次までは事業承継・引継ぎ補助金)の15次の採択率は61.3%でした。採択事例では製造業が45%と最も多く、経費は設備費が93%の事例で使われています。

採択率の推移

15次61.3%
直近5回の平均61.0%

採択事例 141件採択事例を見る ›

出典(1件)
  1. 事業承継・M&A補助金 事務局「採択結果」・中小企業庁「採択結果」(11次〜15次)
採択率は採択数÷応募数で計算しています。業種・経費は、国・省庁などが公開している採択事例141件を数えた割合です(1つの事例で複数使うため、合計は100%を超えることがあります)。

採択されなかったときに理由を聞けるかは、補助金の不採択の理由は教えてもらえる?で取り上げています。

専門家から見たポイント

採択事例(1,102件)のうち、事業承継・M&A補助金で省エネ・脱炭素に使った例は3件です。件数は少ないため、計画の方向を決める材料として見てください。ほかの使い道との比べ方は、事業承継・M&A補助金の採択事例で確かめられます。

省エネ設備を増やしたい会社

農業の栽培施設のように、設備導入と省エネを一つの計画にまとめた例があります。設備を増やす計画では、経費の区分を先に確かめると、計画の筋道を組み立てやすくなります。

新事業として製品を作りたい会社

省エネの製品を新たに作る計画は、新事業・研究開発と組み合わせる例です。試作から製品化までの経費がどの区分に入るかを先に整理すると、判断の材料になります。

施工の技術を広げたい会社

既存の施工技術を新しい分野に広げる例は、建設業にあります。技術の延長で新事業を組むのか、設備を入れるのかで、経費の区分が変わります。

遮熱工事や省エネマットのように設備と新事業が重なる計画では、設備費と委託費のどちらに入るかで、上限や対象外の扱いが変わります。どの区分に入るかは、専門家に無料で相談して確かめられます。

よくある質問

省エネ設備は補助の対象になりますか?

国内で使う機械器具の調達は設備費に入ります。中古品は対象外なので、新品の導入を前提に計画を組みます。経費の細かな条件は、「省エネ機器は設備費で見る」の表で確かめられます。

補助上限はいくらですか?

補助上限と補助下限は、「補助上限は賃上げで変わる」の表で確かめられます。賃上げ要件を満たした場合の上限も、同じ行に出ています。

売上の大きい会社でも申請できますか?

課税所得の年平均額が一定の額を超える会社は対象外です。基準の数字は、「規模の線で対象が決まる」の表で確かめられます。

採択後に何を出せばよいですか?

交付申請と実績報告の流れは、事業承継・M&A補助金の採択後の手続きで取り上げています。

ほかの質問も見る事業承継・M&A補助金のよくある質問
出典

いま申請できる回

事業承継・M&A補助金

公募回
16次
締切
2026年11月6日(金)17:00

公募要領の台帳より(2026年10月30日確認)

この補助金の採択事例

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同じ取り組みで、実際に採択された会社です。

VOICE

この補助金を使った人の声

出典:国・省庁などの公開情報をもとに当社が加工

中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事にある事業者の発言を引用しています。

まだ相談は早いと感じる方は、まず資料で全体をつかんでください。

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