事業承継・M&A補助金は省エネ・脱炭素に使える?採択された使い方と注意点
この記事の要点
事業承継・M&A補助金は、省エネ設備の導入や省エネ製品の新事業化、遮熱工事の事業化などに使えます。採択事例3件をもとに、件数の少なさも含めて、実例の成果、対象の線、経費の注意点、補助上限の見方まで整理しました。
この記事の目次
事業承継・M&A補助金は、省エネ設備の導入や省エネ製品の新事業化、遮熱工事の事業化に使えます。採択事例では、省エネ・脱炭素に使った例が2026年10月時点で3件あり、使い方は設備導入・製品開発・遮熱工事の3つに分かれます。
事例は3件と少ないため、傾向として断定はできません。中古品や委託費の上限など、経費の決まりは台帳で確かめる必要があります。
省エネ設備を入れたいが、事業承継・M&A補助金でどう使えるのか判断がつかない。採択された使い方と注意点を知りたい方に向けた記事です。
事業承継・M&A補助金とは、事業承継やM&Aに伴う設備や専門家への経費を補助する国の制度です。制度の全体は、事業承継・M&A補助金の公募要領の台帳で確かめられます。
事例は3件で使い方は3つ
採択事例では、省エネ・脱炭素に使った例は2026年10月時点で3件あり、設備導入・省エネ製品の新事業化・遮熱工事の3つの使い方に分かれます。使い道の内訳は次のとおりです。
| やりたいこと | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 省エネ・脱炭素 | 3件 | 100% |
| 事業承継・M&A | 3件 | 100% |
| 設備導入 | 2件 | 67% |
| 新事業・研究開発 | 2件 | 67% |
| 創業・開業 | 1件 | 33% |
割合は、この組の採択事例3件に対するものです。1件の事例が複数の使い道に当たるため、合計は100%を超えます。業種と地域はそれぞれ異なり、農業・林業(栃木県)、建設業(静岡県)、小売業・卸売業(三重県)の3件です。事例が少ないため、ほかの使い道の傾向は省エネ・脱炭素の採択事例で確かめてください。
省エネ設備を入れる
設備導入と省エネ・脱炭素を一つの計画にまとめた例は、農業の栽培施設に見られます。令和2年度の公募回の事例で、作付け開始から2か月の収穫量が前年同期より約40%増えたと示されています。
省エネ製品を新事業にする
新事業・研究開発と省エネ・脱炭素を組み合わせる例は、園芸用の保水材を生かした製品化に見られます。令和4年度の公募回の事例で、実証により夏の消費電力量が30〜60%ほど減り、大量出荷に備えられる倉庫も確保できたと示されています。
1経営者交代型|省エネマットの製品化
園芸用の保水材で室外機を冷やす断熱マットを開発、夏の電力量を30〜60%減
南出株式会社✓ 経産省などの認定・選定
成果実証で夏の消費電力量が30〜60%ほど減り、大量出荷に備えられる倉庫も確保できました。
施工の技術を新事業にする
建設業の例は、瓦職人の技術を工場向けの遮熱工事に広げた計画です。令和3年度の公募回の事例で、チラシの反響で4件の問い合わせがあり、3件を受注したと示されています。
1創業支援型|遮熱工事の新事業化
暑さに悩む工場へ遮熱工事を始め、チラシから3件を受注
長澤瓦商店株式会社✓ 経産省などの認定・選定
成果チラシの反響で4件の問い合わせがあり、3件を受注しました。
規模の線で対象が決まる
御社が対象になるかは、中小企業者等の定義と対象外の法人形態で決まります。まず、業種ごとの資本金と従業員数の基準を確かめます。
| 確かめること | 公募要領の決まり |
|---|---|
| 中小企業者等の定義 | 製造業その他:資本金3億円以下又は従業員300人以下/卸売業:1億円以下又は100人以下/小売業:5千万円以下又は50人以下/サービス業:5千万円以下又は100人以下 |
| 小規模事業者等の定義 | 製造業その他:従業員20人以下/商業・サービス業:5人以下/サービス業のうち宿泊業・娯楽業:20人以下 |
| 課税所得の上限 | 直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者等は対象外 |
| 対象外の法人形態 | 社会福祉法人、医療法人、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人、学校法人、農事組合法人、組合、法人格のない任意団体は対象外 |
| 親会社と子会社の扱い | 親会社が議決権50%超を有する子会社は同一法人とみなし、いずれか1社の申請しか認められない |
出典:事業承継・M&A補助金 16次 事業承継促進枠 公募要領 p.10『5. 補助対象者【対象となる中小企業者等】』台帳で見る
資本金や従業員数が基準に収まるか、親会社との関係で同一法人とみなされないかは、AIで御社の条件を入れて確かめられます。
補助上限は賃上げで変わる
補助上限、補助率、補助下限は次の表のとおりです。賃上げ要件など枠ごとの細かな条件は、事業承継・M&A補助金の公募要領の台帳で確かめられます。
| 項目 | 公募要領の決まり |
|---|---|
| 補助上限 | 800万円(賃上げ要件を満たした場合1,000万円) |
| 補助率 | 小規模事業者等は2/3以内、それ以外は1/2以内。800万円超~1,000万円部分は1/2以内 |
| 補助下限 | 100万円(補助対象経費×補助率が100万円を下回る申請は受け付けない) |
| 廃業費を併用する場合 | +300万円(廃業費の補助率は事業費の補助率に従う) |
出典:事業承継・M&A補助金 16次 事業承継促進枠 公募要領 p.19『10. 補助上限額、補助率等』台帳で見る
省エネ機器は設備費で見る
省エネ機器を入れる経費は設備費に当たります。一方で、中古品購入費や不動産の購入費は設備費の対象外で、委託費にも対象外の経費があるため、区分ごとに確かめます。同じ補助金で採択された計画の経費の使い方は、事業承継・M&A補助金の採択事例でも見られます。
| 経費の区分 | 公募要領の決まり |
|---|---|
| 設備費 | 国内の店舗・事務所等の工事、国内で使用する機械器具等調達費用(品目1件20万円以上(税抜き)) |
| 設備費の対象外 | 中古品購入費、不動産の購入費、道路運送車両法の自動車の購入費(リース・レンタルは対象) |
| 委託費の対象外 | Webサイトの新規制作・更新、ソフトウェア・システム開発、広告に係る費用は委託費の対象外 |
| 共通の対象外 | 求人広告、通信運搬費、消耗品、研修費、税理士等の申告費用、公租公課、振込手数料、借入金利息等 |
間違えやすい点
間違えやすいのは、支払い先の決まりと、委託費や謝金の上限、事例の公募回です。
- 被承継者への支払いは対象外。被承継者に支払う譲受費用(土地、資産購入費用等)など被承継者に支払う費用は原則対象外
- 委託費には上限がある。業務の一部を第三者に委託(委任)する経費。事業費合計額(税抜)の2分の1が上限
- 謝金は対象の専門家に限られる。補助対象事業実施のために依頼した専門家等に支払う経費(専門家は士業及び大学博士・教授等に限る)
- 事例は過去の公募回のもの。紹介した事例は令和2〜4年度の公募回の採択で、補助上限や経費の決まりは今の公募要領で確かめます。
採択後の交付申請と実績報告で経費をどう扱うかは、事業承継・M&A補助金の採択後の手続きで取り上げています。
採択率は公募回で変わる
事業承継・M&A補助金の採択率は、最新回(15次)で61.3%です。回ごとの推移は、次のグラフのとおりです。
事業承継・M&A補助金の採択データ
事業承継・M&A補助金(10次までは事業承継・引継ぎ補助金)の15次の採択率は61.3%でした。採択事例では製造業が45%と最も多く、経費は設備費が93%の事例で使われています。
採択率の推移
採択の多い業種
よく使われた経費
採択事例 141件採択事例を見る ›
出典(1件)
採択されなかったときに理由を聞けるかは、補助金の不採択の理由は教えてもらえる?で取り上げています。
専門家から見たポイント
採択事例(1,102件)のうち、事業承継・M&A補助金で省エネ・脱炭素に使った例は3件です。件数は少ないため、計画の方向を決める材料として見てください。ほかの使い道との比べ方は、事業承継・M&A補助金の採択事例で確かめられます。
省エネ設備を増やしたい会社
農業の栽培施設のように、設備導入と省エネを一つの計画にまとめた例があります。設備を増やす計画では、経費の区分を先に確かめると、計画の筋道を組み立てやすくなります。
新事業として製品を作りたい会社
省エネの製品を新たに作る計画は、新事業・研究開発と組み合わせる例です。試作から製品化までの経費がどの区分に入るかを先に整理すると、判断の材料になります。
施工の技術を広げたい会社
既存の施工技術を新しい分野に広げる例は、建設業にあります。技術の延長で新事業を組むのか、設備を入れるのかで、経費の区分が変わります。
遮熱工事や省エネマットのように設備と新事業が重なる計画では、設備費と委託費のどちらに入るかで、上限や対象外の扱いが変わります。どの区分に入るかは、専門家に無料で相談して確かめられます。
よくある質問
省エネ設備は補助の対象になりますか?
国内で使う機械器具の調達は設備費に入ります。中古品は対象外なので、新品の導入を前提に計画を組みます。経費の細かな条件は、「省エネ機器は設備費で見る」の表で確かめられます。
補助上限はいくらですか?
補助上限と補助下限は、「補助上限は賃上げで変わる」の表で確かめられます。賃上げ要件を満たした場合の上限も、同じ行に出ています。
売上の大きい会社でも申請できますか?
課税所得の年平均額が一定の額を超える会社は対象外です。基準の数字は、「規模の線で対象が決まる」の表で確かめられます。
採択後に何を出せばよいですか?
交付申請と実績報告の流れは、事業承継・M&A補助金の採択後の手続きで取り上げています。
いま申請できる回
事業承継・M&A補助金
- 公募回
- 16次
- 締切
- 2026年11月6日(金)17:00
公募要領の台帳より(2026年10月30日確認)
この補助金の採択事例
一覧へ同じ取り組みで、実際に採択された会社です。
申請枠:M&A型
老朽化したゴルフ練習場を会員証で顧客管理し、リピート率を45%に
株式会社ウィルトラスト✓ 経産省などの認定・選定
成果リピート率が20%から45%に上がり、収益と労働生産性がそれぞれ5%ほど良くなりました。
申請枠:創業支援型
1社頼みの乾燥エビを粉末化、粉砕の時間効率を5%改善
株式会社エス・ワーク✓ 経産省などの認定・選定
成果原料の供給量を見直し、粉砕作業の時間効率が5%ほど上がりました。
申請枠:経営者交代型
後継ぎ不在の建具会社、外部人材を迎え車中泊家具を共同開発し新規取引先が1割以上
株式会社岡田建具製作所✓ 経産省などの認定・選定
成果新商品の共同開発が始まり、今期の売上見込みの1割以上を新しい取引先が占める見込みになりました。
VOICE
この補助金を使った人の声
千葉県のプレス機械メーカー従業員53名社長に就任してからは、会社が掲げたビジョンに向けて、経営者と従業員が一丸となって前に進むために、会社の情報を定期的に全従業員に発信しています。
富山県の鋳物メーカー従業員253名この意見を聞いて、来場されるお客様と当社社員との間に関係性を築けるサービスを提供したいと考えるようになりました。
宮城県のコーヒー豆販売店・レストラン従業員5名お客様に居心地の良い時間と空間をご提供することで、お客様から感謝や喜びのお言葉を直接いただけたことが、自分の夢と目標の出発点になりました。
出典:国・省庁などの公開情報をもとに当社が加工
中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事にある事業者の発言を引用しています。
まだ相談は早いと感じる方は、まず資料で全体をつかんでください。
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