運送業が設備導入に使える補助金は?採択された使い方と事例

この記事の要点

運送業が設備導入に使える補助金は、採択事例ではものづくり・新事業進出補助金が中心です。採択事例37件をもとに、省エネ補助金・省力化補助金の上限や対象経費、対象の確認表、冷凍設備や配車システムなどの実例を整理しました。

この記事の目次
  1. 37件中28件がものづくり・新事業進出補助金
  2. 冷凍庫や24時間拠点の設備を導入
  3. 配車や手配をシステムで一元管理
  4. 省エネ補助金は3件、年215万円削減の例も
  5. 冷凍機の空冷化はその他の補助金で
  6. 省力化は無人搬送車の1件、上限は従業員数で決まる
  7. 対象は本社の場所と会社の規模で決まる
  8. 採択率は公募回で変わる
  9. 専門家から見たポイント
  10. 間違えやすい点
  11. よくある質問
結論

運送業が設備導入に使える補助金は、採択事例ではものづくり・新事業進出補助金が中心で、ほかに省エネ補助金と省力化補助金があります。

採択事例では、2026年10月時点で運送業の設備導入の事例は37件あり、76%にあたる28件がものづくり・新事業進出補助金です(前身のものづくり補助金を含みます)。省エネ補助金は3件(8%)、省力化補助金は1件(3%)でした。

冷凍庫や配車システムを入れたいが、運送業ではどの補助金で採択された例が多いのか分からない。設備導入の使い道と実例を知りたい方に向けた記事です。

ものづくり・新事業進出補助金は、新しい設備やシステムの導入、新しい事業への進出などを補助する国の制度です。公募要領の内容は公募要領の台帳で確かめられます。

37件中28件がものづくり・新事業進出補助金

運送業の設備導入の採択事例では、ものづくり・新事業進出補助金が28件(76%)で最も多く、2026年10月時点の補助金ごとの内訳は次のとおりです。

補助金 件数 割合
ものづくり・新事業進出補助金 28件 76%
その他の補助金 3件 8%
省エネ補助金 3件 8%
省力化補助金 1件 3%
事業承継・M&A補助金 1件 3%
持続化補助金 1件 3%

割合は運送業の設備導入の採択事例37件に対するもので、ものづくり・新事業進出補助金には前身のものづくり補助金の事例を含みます。個別の事例は運送業の採択事例で見られます。

冷凍庫や24時間拠点の設備を導入

ものづくり・新事業進出補助金(前身のものづくり補助金を含む)では、温度管理の設備や輸送の拠点など、物流の設備を整える計画が見られます。

前身のものづくり補助金(平成26年度)の例では、大型冷凍庫の導入で温度管理の種類が1種類から3種類に増えました。トラックの排ガス浄化に使う尿素水を自社で作る装置を入れ、排気管の閉塞による故障がなくなった例もあります。

224時間のコンテナ拠点

3尿素水の製造装置

ほかの業種を含めた設備導入の使い方は、設備導入の採択事例で確かめられます。

配車や手配をシステムで一元管理

設備導入にシステムを組み合わせる計画では、宅配や港湾運送の手配・運行の管理を一つにまとめる例が見られます。

前身のものづくり補助金(平成25年度)の宅配の例では、毎月の作業時間が合わせて5,430分短縮されました。平成26年度の港湾運送の例では、「手配遅れ」や「手配間違い」が激減しています。

2クラウド型の物流システム

3タブレットの運行管理

電話やFAXの配車を地図連動のタブレット運行管理システムに一元化

有限会社黒潮重機興業✓ 経産省などの認定・選定

成果配車予定と現場の詳細情報をシステムで一元管理できるようになり、ドライバーが現場へ正確に迷わず移動できるようになりました。

設備導入業務システム・IT在庫・受発注・物流予約・顧客管理新事業・研究開発

省力化やITツールを含めた選び方は、省力化・省人化に使える補助金は?設備・ITツール別の選び方と注意点で比べられます。

省エネ補助金は3件、年215万円削減の例も

省エネ補助金の事例は3件あり、倉庫の冷凍冷蔵設備の更新や、空調をガスヒートポンプに替える計画が見られます。

倉庫の冷凍冷蔵設備を更新した例(2021年度)では、省エネ率が19.6%でした。冷凍冷蔵設備4台を更新した例では、年間の削減コストが215万円です。

1冷凍冷蔵設備の更新

2空調のガス化

3冷凍冷蔵設備4台

今の省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)の決まりは、次のとおりです。細かな条件は省エネ・非化石転換補助金の公募要領の台帳で確かめられます。

  • 補助率:1/3以内(中小企業者等・大企業・その他とも)
  • 補助上限:1億円/事業全体(中小企業者等・大企業・その他とも)
  • 対象経費:補助事業の実施に必要な機械装置の購入に要する経費(補助対象は設備費のみ)

出典:省エネ・非化石転換補助金 設備単位型 3次公募 公募要領 p.38『2-3.補助率及び補助金限度額』台帳で見る

冷凍機の空冷化はその他の補助金で

その他の補助金の事例は3件で、冷凍機の空冷化のように、冷凍設備の更新でCO2排出量を減らす計画が見られます。

2023年度の例では、冷凍機の空冷化と太陽光の導入で、事業所全体のCO2排出量を約34%減らしました。主要システムでは43%の削減です。

1冷凍機の空冷化

運送業の事例を一覧で確かめたいときは、運送業の採択事例が使えます。

省力化は無人搬送車の1件、上限は従業員数で決まる

省力化補助金の事例は1件で、倉庫内の搬送を無人搬送車に任せた計画です。

申請時期が2024年12月のこの例では、倉庫間の部品と書類の運搬を無人搬送車2台に任せ、1人・1日142分を削減しました。担当者の残業時間も減っています。

1カタログ注文型|無人搬送車2台

省力化投資補助事業(一般型)の補助上限は、従業員数で変わります。

従業員数 補助上限 大幅賃上げ特例適用時
5人以下 750万円 1,000万円
6〜20人 1,500万円 2,000万円
21〜50人 3,000万円 4,000万円
51〜100人 5,000万円 6,500万円
101人以上 8,000万円 1億円

出典:中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募) p.9『1-4(1)② 補助上限額』台帳で見る

補助率と対象経費の決まりは、次のとおりです。制度の全体は省力化投資補助金の公募要領の台帳で確かめられます。

  • 中小企業 1/2(最低賃金引き上げ特例適用時 2/3)
  • 小規模企業者・小規模事業者、再生事業者 2/3
  • 機械装置・システム構築費(必須):必ず1つ以上、単価50万円(税抜)以上の機械装置等の設備投資が必要(借用に要する経費は含まない)

対象は本社の場所と会社の規模で決まる

御社が対象になるかは、本社と事業を行う場所、小規模事業者の基準、決算の状況で分かれます。省力化補助金と省エネ補助金で確かめることは、次のとおりです。

確かめること 公募要領の決まり
本社と事業を行う場所(省力化投資補助事業の一般型) 日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する中小企業等(個人事業主を含む)。特定事業者の一部、NPO法人、社会福祉法人、歯科医業を営む医療法人も対象
小規模事業者の基準(省力化投資補助事業の一般型) 小規模企業者・小規模事業者:常勤従業員数が製造業その他・宿泊業・娯楽業20人以下、卸売業・小売業・サービス業5人以下
対象となる事業者(省エネ・非化石転換補助金) 国内で事業活動を営む法人と個人事業主
経営基盤(省エネ・非化石転換補助金) 事業の継続性があること。設備の所有者が直近の決算で債務超過なら対象外

ものづくり・新事業進出補助金の対象者の条件は、ものづくり・新事業進出補助金の公募要領の台帳で確かめられます。

冷凍車や冷蔵倉庫の設備更新が、どの補助金の対象になるかは、会社のURLを入れるだけでAIが確かめます。

AIで対象か確認する

採択率は公募回で変わる

旧ものづくり補助金の最新回(23次)は、応募1,275件に対して448件が採択され、採択率は35.1%でした。回ごとの推移は、次のグラフのとおりです。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の採択率(公募回ごと)

ものづくり・全23回の平均46.8%
主要7制度の平均47.9%

最新の23次は35.1%(全23回の平均は46.8%)

棒の下の数字は公募回・応募数・採択数です。横にスクロールすると過去の回が見られます。

公募回応募採択採択率
23次 2026/08/071,27544835.1%
22次 2026/04/301,55258237.5%
21次 2026/01/231,87263834.1%
20次 2025/10/272,45382533.6%
19次 2025/07/285,3361,69831.8%
18次 2024/06/255,7772,07035.8%
全23回の平均4,3472,03446.8%

出典:ものづくり補助金 事務局「採択結果」・中小企業庁「採択結果」(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、各回の公表資料)。採択率は採択数÷応募数で当社が計算しています。公募回の名前から各回の発表ページを開けます。

ほかの補助金の採択率と採択事例を見る

※ グラフと採択率は、今のものづくり・新事業進出補助金になる前の、旧ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)の採択結果です。今の制度の採択結果は、公表されたら差し替えます。

採択されなかったときに理由を聞けるかは、補助金の不採択の理由は教えてもらえる?で取り上げています。

専門家から見たポイント

運送業の採択事例は、設備の導入を軸に、配車などのシステム、省エネの設備更新、搬送の自動化を組み合わせる計画に分かれます。補助金は計画の中身に合わせて選びます。

ほかの業種を含めた使い方は、ものづくり・新事業進出補助金の採択事例でも確かめられます。

冷凍設備や車両設備を入れ替える会社

冷凍冷蔵設備の更新は、省エネ補助金の事例のように、導入前と後の省エネ率や削減コストで成果を示す形が参考になります。省エネ・非化石転換補助金の設備単位型は対象が設備費のみなので、据付けや工事の費用の扱いを先に確かめます。

配車や手配の流れを変えたい会社

宅配の管理システムの例は、毎月の作業時間を合わせて5,430分短縮した成果を示しています。設備より作業の流れを変えたい会社は、この型の計画を参考にできます。

搬送作業を機械に任せたい会社

無人搬送車の例は、1人・1日142分の削減という数字で省力化の効果を示しています。省力化補助金は、単価50万円(税抜)以上の機械装置かシステム構築費を必ず含める決まりなので、導入する機械の単価を先に確かめます。

車両や冷凍庫などの設備と、配車や手配のシステムを組み合わせる計画がどの経費に当たるかは、専門家に無料で相談して確かめられます。

参考に、前身のものづくり補助金の直近の公募回(23次)では、応募1,275件に対して448件が採択されました。

間違えやすい点

間違えやすいのは、事例の公募回、交付決定前の契約、設置工事や中古品の扱いです。

  1. 事例は過去の公募回のもの。紹介した事例は平成25〜29年度や2021〜2024年度の採択で、補助上限や経費は今の公募要領で確かめます。
  2. 交付決定前の契約や発注は対象外。交付決定前の経費(事前調査費等)と契約・発注行為の経費は対象外(省エネ・非化石転換補助金の設備単位型の決まりです)
  3. 設計費と工事費は制度で扱いが違う。省エネ・非化石転換補助金の設備単位型では設計費は対象外し、工事費は対象外。
  4. 省力化は設置場所の整備が対象外。設置場所の整備工事や基礎工事に要する費用は対象外。「据付け」は設置と一体の軽微なものに限る(省力化投資補助事業の一般型の決まりです)
  5. 中古品は対象外。省力化投資補助事業の一般型の対象外経費には、中古品購入費が入っています。

採択後の交付申請と実績報告の流れは採択後の交付申請と実績報告で取り上げています。

よくある質問

運送業の会社でも申請できますか?

運送業の採択事例は、ものづくり・新事業進出補助金、省エネ補助金、省力化補助金などで見られます。対象かどうかは、本社と事業を行う場所や会社の規模などの条件で決まるため、各制度の公募要領の台帳で確かめます。

冷凍庫の入れ替えには、どの補助金を使えますか?

採択事例では、冷凍庫の導入はものづくり・新事業進出補助金(前身を含む)、冷凍冷蔵設備の更新は省エネ補助金で見られます。省エネ率や削減コストを数字で示せる計画は、省エネ補助金の事例が参考になります。

配車システムの導入も対象になりますか?

配車や手配のシステムは、前身のものづくり補助金の採択事例に複数あります。今の公募回で対象になる経費は、公募要領の台帳で確かめられます。

紹介された事例の使い道は、今も同じように使えますか?

紹介した事例は過去の公募回です。補助上限や対象経費は公募回で変わるため、今の決まりは公募要領の台帳で確かめます。

採択後に何を出せばよいですか?

交付決定の前に契約や発注をしないことが先です。手続きの流れは採択後の交付申請と実績報告で取り上げています。

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ほかの質問も見るものづくり・新事業進出補助金のよくある質問
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